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室屋義秀選手、小松基地航空祭でフライトパフォーマンス エアレースX開幕直前のデモフライト

室屋義秀選手のEXTR EA-300S/Cによるフライトパフォーマンス

 10月7日、LEXUS PATHFINDER AIR RACINGとして活動するエアレースパイロット室屋義秀選手が航空自衛隊小松基地航空祭でEXTRA EA-300S/Cによるエアロバティックの妙技を披露した。

 小松基地は日本海に面した唯一の戦闘機配備基地で、F-15戦闘機約50機が配備されている。例年この季節に航空祭が行なわれ、県内外から多くのファンが訪れる北陸の一大イベントになる。ブルーインパルスのショーも呼び物の一つだが、今年は鹿児島市で開催される特別国民体育大会「燃ゆる感動かごしま国体」の祝賀飛行のため不参加。一方の室屋選手は、小松基地航空祭初登場とのことで、先日の福島空港「空の日フェスティバル」のようなブルーインパルスとの共演こそ実現しなかったが、地元小松基地所属のF-15が大迫力の機動飛行を、室屋選手が華麗なアクロバットをそれぞれ披露した。

室屋機はエプロン(駐機場)中央に。今回はF-15とのコラボレーション

 室屋選手にとっては、翌10月8日~15日で開催するエアレースXの予選初日を翌日に控えたタイミングでのショー参加になる。ただ、航空祭前日まで北陸の天候は安定せず、室屋氏のホームベースである福島スカイパークからは遠いうえ山越えで飛ぶ必要があり、おそらく小松へのフェリーフライト(移動)もギリギリの判断だったと思われる。なお、帰路の小松から福島スカイパークの行程も同様で、室屋氏は後日「凍えながら帰ってきました(笑)」と語っていた。軽量化のため、EXTRA EA-300S/Cにはエアコンはない。それでも翌10月8日のエアレースX予選1日目はその疲れも見せずにフライトを行なっている。

 小松航空祭当日の天気も晴れたり曇ったり、また風が強くなったりとコンディションも常に変化していた。しかし室屋選手のフライト時刻には青空が広がり、青空に純白のスモークが映えた。航空祭の主役であるF-15の圧倒的なパワーと耳を弄する轟音とは打って変わった、軽快な動きと乾いた甲高いレシプロエンジンの音が、会場に訪れた約5万人の観客を魅了した。

コクピットに乗り込み、エンジンを始動する。小松航空祭では初めてのショーとなる
室屋選手のパフォーマンス
背面状態での宙返り「アウトサイド・ループ」。戦闘機にはできない芸当
室屋選手のパフォーマンスを楽しむ5万人の観衆
フライトを終えエンジンカット、観客に大きく手を振る室屋選手
小松基地所属の飛行教導群“アグレッサー”のF-15は2機での機動飛行を実施
8月23日~9月15日にかけて実施の日豪共同訓練“武士道GUARDIAN”記念塗装機
F-15用のF100-IHI-220Eターボファンエンジンが展示されていた。その名のとおりIHIがライセンス生産しているもので、馬力に換算すると約10万馬力という。こうした技術は自動車用ターボチャージャーなどにも活かされる
航空祭終了後、福島スカイパークに戻るためただちに給油。燃料はいわゆるアブガス(Aviation Gasoline=AVGAS)だが、ジェット機しか運用していない小松基地/小松空港では手に入らないため、こうして自分たちで搬入する