ニュース

岡山国際サーキットに現われた豊田章男会長に、間もなく開幕するジャパンモビリティショーについて聞いてみた

岡山国際サーキットにルーキーレーシングのチームオーナーとして現われた豊田章男氏

岡山国際サーキットに現われた豊田章男会長

 10月21日~22日の2日間にわたってスーパー耐久第6戦岡山が開催されていた岡山国際サーキット。その岡山国際サーキットに、14号車 中升 ROOKIE AMG GT3を参戦させているルーキーレーシングのチームオーナーである豊田章男氏が現われた。

 週末、しかも今回はドライバーのモリゾウ選手ではなくオーナーの豊田章男氏ということでルーキーレーシングのパーカーに身を包み、足下はルーキーレーシング統一のアシックスのBOAワークシューズ(安全靴)で登場。豊田章男氏はトヨタ自動車 代表取締役会長であり、自工会(日本自動車工業会)会長も務めている。豊田章男氏がルーキーレーシングルックのときには、(週末でもあることなので)極力ルーキーレーシングについて聞くようにしているものの、間もなく自動車業界にとって一大イベントの「ジャパンモビリティショー2023」(一般公開日:10月28日~11月5日、場所:東京ビッグサイト)が開幕することもあって、ジャパンモビリティショーについて聞いてみた。

豊田章男会長の足下は、アシックスのBOAワークシューズ。アシックスはルーキーレーシングのスポンサーでもあり、チーム一同オンラインショップ限定モデルのカラー(ブラック×ホワイト)で統一されていた

 豊田章男会長も、記者の意図が分かっているようで「間もなくジャパン~」と尋ねたところで、「ああ、モビリティショーのことね」と返答。会長自ら、東京モーターショーから、ジャパンモビリティショーに改革した意図などを教えてくれた。

東京モーターショーからジャパンモビリティショーに変わり、出展社数は倍以上に

──(岡山は)ルーキーレーシングの姿なのですが、自工会会長としての豊田章男氏に聞いてみてもいいですか? ジャパンモビリティショーの開幕まであと数日、1週間を切りました。今回は、(東京モーターショー時代を通じて)過去最大の約475社が参加しますが、手応えはどうでしょうか?

豊田章男会長:今回は、東京モーターショーからジャパンモビリティショーに名前が変わりました。名前を変えただけではない準備が進んでいます。いろいろな方に東京からジャパンに変わったんだ、自動車ショーからモビリティショーに変わったんだなという実感を得ていただくための準備はできているということですね。

 ただ正直、初めて130万人集まった前回(東京モーターショー2019)に比べると、私の役割ってのはね、応援団でしょうね。やはり、あのときは本当に俗人的なリーダーシップで、とにかく100万人超えるぞということでやったと思います。だから、ある面で力ずくだったんですよ。

 ただ力ずくではね、やはり持続的に認知もされないし、持続的に運営されるものにはならないと思います。そういう意味で、今回そこにも注目いただきたいと思います。

──今回のモビリティショーでは、副会長も登壇するし、出展社数も約475社と2倍以上になりました。

豊田章男会長:そう、副会長もいろいろ登壇するし、出展社数も400社を超えるね。新しいスタートアップ企業も来るし、いろいろな方に登壇していただき、日本版ダボス会議って言っていますけど情報発信も積極的に行なう。みなさんに関心を持っていただき、我々もやっていきたいなと。日本にいろいろな見本市がある中で自動車が軸だと100万人集まるよねと。100万人集まってスタートアップ企業とかにチャンスが与えられる。世界に発信もできる。自動車がらみになるとやりやすい。この場を活用していただき、ぜひ日本を支える自動車業界の応援というかね、一緒に戦う仲間としてご参加いただきたいなと思います。

──今回のモビリティショーでは、モータースポーツエリアが(東京モーターショー時代を通じて)初めて設けられます。会期中にはマシンの展示やスーパーフォーミュラのパブリックビューイングなども行なわれます。ここへの期待を教えてください。

豊田章男会長:今までオートサロンの幕張メッセではモータースポーツ展示などありましたが、東京ビッグサイト、お台場近辺ではなかなかそういうことができませんでした。初トライアルですから。

 ラリージャパンも控えているし、その盛り上げにもつながっていくので、モビリティショー単体だけではなく、モータースポーツへのつながりというような見方をしてもらうと面白いんじゃないのかな。今までモーターショーはモーターショー、新車のワールドプレミア。モータースポーツはモータースポーツ、何となくバラバラだったなと。そこがつながりながら、少しずつ盛り上がりつつあるんじゃないかなと。そこはね、私という自工会会長が、ドライバーのモリゾウがね、一つの貢献だったんじゃないのかなというふうに思いますけどね。ええ。

新たな試みを行なうモビリティショー、豊田会長の思いが詰まったモータースポーツエリア

 東京モーターショーの過去最高出展社数は1995年の361社。そこから2019年まで減り続け、2019年の出展社数は約200社。展示会のスコープをクルマからモビリティへと広げることで、今回のモビリティショーには約475社が出展する。その背景には、CASEに代表される100年に一度の変革期がクルマ業界に訪れていることもあるが、自工会自身も視野を広げて変わろうとしている。

 豊田会長もコロナ禍時代は、550万人の自動車産業を守っていくというスタンスから、「モビリティは将来1000万人の成長産業」という攻めのスタンスへすでに変化しており、自工会会長一人だけでなく、正副会長一体となった体制で業界を盛り上げていこうとしている。

 自工会 モーターショー委員会 委員長 長田准氏の発表によると、未来の東京などを体験できるTokyo Future Tourの参加社が約200社、Start up Future Factoryなどに参加するスタートアップが90社、そのほか約200社が自動車メーカーや部品メーカーになる。

 豊田会長は、この新たにモビリティショーに加わるスタートアップに言及し、「仲間としてご参加いただきたい」と語る。100万人規模のイベントを実施できる自工会や自動車業界をうまく使って、成長へつなげてほしいという。

 また、豊田会長の言及する日本版ダボス会議とは、モビリティショーで行なわれるJapan Future Sessionのこと。カーボンニュートラルなどさまざまなテーマに沿って有識者と、自工会 正副会長が加わってトークショーを行なっていく。海外のテック系イベントなどではテックトークなどが行なわれているが、そのような感じと思えばよいだろうか。これも、モビリティショーから加わった新しい試みになる。

 豊田会長がモリゾウ選手の貢献を語るように、モータースポーツエリアには、会長自身の思いがいろいろ詰まっているようだ。実際、豊田章男氏が自工会の2度目の会長になってからは、自工会の会見でモータースポーツの露出は増えた。とくによく覚えているのが2度目の就任初年度となった2018年12月20日の会見。そこでは、自動車業界の振り返り映像が流されたのだが、各メーカーのモータースポーツ活動もしっかり取り上げられていた。

 これは、自工会の会見ではあまりなかったことで、豊田会長の1度目の就任時にも記憶にない。とくに豊田会長の1度目は、東日本大震災からの復興や円高への対応が大きなテーマとなっており、2020年から2023年前半のコロナ禍と同様、常に厳しい表情だったのを覚えている。

自工会「日本の自動車業界 2018年の活動について」

 豊田会長自身も、このジャパンモビリティショー2023ではいろいろな場所に赴くと語っており、会期中は会場でふと見かけることもありそうだ。

スーパー耐久第6戦岡山、ルーキーレーシングの14号車 中升 ROOKIE AMG GT3が優勝

 ちなみに、スーパー耐久第6戦岡山はルーキーレーシングの14号車 中升 ROOKIE AMG GT3がポールトゥウィンで優勝。2日間応援したオーナーの前で表彰台の真ん中に立った。次戦富士では、水素カローラの参戦が予定されており、モリゾウ選手として走ることが期待されるほか、チームオーナーとしてシリーズ総合チャンピオンも目指していくことになる。

スーパー耐久第6戦岡山は、ST-Xクラスの14号車 中升 ROOKIE AMG GT3が優勝
チームの優勝を願っていた豊田章男チームオーナー
片岡龍也選手権監督、平良響選手、蒲生尚弥選手、鵜飼龍太選手で挑み、14号車 中升 ROOKIE AMG GT3が優勝

【お詫びと訂正】記事初出時、豊田章男氏のシューズをアシックスのスニーカーと表記しておりましたが、正しくはアシックスオンラインストア限定で販売されている安全靴のウィンジョブ CP209 BOA RR2 3E相当(ブラック×ホワイト)となります。お詫びして訂正させていただきます。