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三菱自動車、新型「トライトン」説明会 価格は「GLS」が498万800円、「GSR」が540万1000円

2024年2月15日 発売

498万800円~540万1000円

新型「トライトン」の2024年2月15日発売に先立ち、開発陣による新型「トライトン」の説明会を開催

日本仕様は2列シートのダブルキャブで、スポーツモード付6速AT&4WD車

 三菱自動車工業は12月21日、1tピックアップトラックの新型「トライトン」を2024年2月15日に発売すると発表した。標準グレードの「GLS」、上級グレードの「GSR」の2モデルをラインアップし、価格はGLSが498万800円、GSRが540万1000円。

 この発表にあわせ、新型トライトンの説明会を開催し、CPS(チーフ・プロダクト・スペシャリスト)の増田義樹氏、PDD(プログラム・デザイン・ダイレクター)の吉峰典彦氏、アジアクロスカントリーラリー(AXCR)2023に新型「トライトン」で参戦し、チーム三菱ラリーアートの総監督を務めた増岡浩氏が登壇して概要について語った。

三菱自動車工業株式会社 CPS(チーフ・プロダクト・スペシャリスト)の増田義樹氏(中央)、PDD(プログラム・デザイン・ダイレクター)の吉峰典彦氏(左)、チーム三菱ラリーアートの総監督を務めた増岡浩氏(右)

 新型トライトンは7月にタイで世界初公開された1tピックアップトラックで、日本市場へは約12年ぶりに投入することとなる。「Power for Adventure」と呼ばれる商品コンセプトのもとで開発を進め、内外装デザインからシャシー、ラダーフレーム、エンジンなどを一新。SUVの快適性とトラックの実用性を兼ね備えた2列シートのダブルキャブ、1列シートのベーシックなシングルキャブ、そしてフロントシート後ろに荷室スペースを設けることでリクライニングも可能なクラブキャブと、用途に応じた3タイプのボディを設定するが、日本仕様は2列シートのダブルキャブでスポーツモード付6速AT&4WD車のみの設定となる。

 発表会で登壇した増田CPSは、トライトンについて「ピックアップトラックは日本ではあまりなじみがない方もいらっしゃいますが、世界では幅広く使われている自動車のカテゴリーです。生活を支える商用車として使われる一方、レジャーユースも増加しています。代表的なお客さまとしては、カスタマイズで自分のスタイルを表現、アウトドア系の趣味など、本当にさまざまな使い方や思考があるのが特徴です」と語るとともに、新型トライトンについては「エンジン、ボディ、サスペンション、内外装、すべて刷新して、三菱らしさを表現する、体現するモデルとして今般日本仕様を投入することとなった運びです。長年続けてきた歴史の中で、やはりこのトライトンのファンが本当にたくさんいらっしゃって、そういった方たちに支えられてクルマ作りをしてきたと思ってます」と語る。

標準グレードの「GLS」
上級グレードの「GSR」。外観ではオーバーフェンダーの有無でグレードの判別がつきやすい
ピックアップトラックについて
トライトンの歴史
新型トライトンの商品コンセプト

 新開発となるラダーフレームは従来型から大幅に剛性を高める一方で、ハイテン鋼の採用比率を大幅に増加することで重量増を最小限に抑制。これにより走行性能や乗り心地の向上に大きく寄与するとともに、積載時の耐久性、衝突時のエネルギー分散性も向上するなど堅牢性を高めた。また、ボディも同様に新たに超ハイテン鋼を採用するなど、従来車に比べ軽量化を図るとともに、衝突時のエネルギー吸収とキャビンの変形抑制を両立させた衝突安全強化ボディ「RISE(Reinforced Impact Safety Evolution)」を採用している。

 カーゴベッドはベッドライナー(荷台カバー)装着状態でもJIS規格パレット(1100×1100×144mm)積載に対応したほか、820mmの荷台高(GLSの場合。GSRは825mm)やバンパーコーナー上面をフレームで補強し足を乗せるスペースとして使えるようにするなど、実用的な仕様に仕上げた。また、2×4(ツーバイフォー)材を使用してカーゴスペースを自由に仕切れる2×4ランバーアタッチメントを採用することで、荷物の整理を容易とした。

新開発のラダーフレームや大径化したショックアブソーバーなどにより快適な乗り心地を実現し、広い室内空間も備えた

ランサーエボリューションで使っていた技術をトライトンに採用

 パワートレーンには環境性能と動力性能を大幅に向上したという新開発の直列4気筒DOHC 2.4リッタークリーンディーゼルターボ「4N16」型エンジンを搭載。回転数と負荷に応じて2つのタービンを協調させる2ステージターボシステムを採用しており、最高出力は150kW(204PS)/3500rpm、最大トルクは470Nm(47.9kgfm)/1500-2750rpmとした。また、排出ガスをクリーンに浄化する尿素SCRシステムを採用し、尿素水溶液であるAdBlueにより、窒素酸化物(NOx)を安定して除去する。この4N16型エンジンについて、増田CPSは「2ステージターボチャージャーを採用し、低速から高速まで安定した力強いトルクとパワーを生み出すとともに、燃費を両立した新設計エンジンとなります。WLTCモード燃費は11.3km/L」と、その特徴について解説する。

パワートレーンについて

 サスペンションはフロントにダブルウィッシュボーン式を踏襲し、アッパーアーム取り付け部を上方に移動したハイマウントタイプを採用。リアサスペンションは強度を維持しながら軽量化したリーフスプリング式を採用し、大径化されたショックアブソーバーとともに快適な乗り心地を実現したという。この足まわりについて、増田CPSは「ピックアップトラックは荷物を載せたときのことを考えて、特にリアの乗り心地を硬めにセッティングするというのが一般的で、通常時はちょっと跳ねるような感じになるのですが、今回、新設計のフレーム、あるいはサスペンションのチューニングによって長くストロークをとって、軽量化したり剛性を上げたりとやれることは全部やりましたけども、これをもって本当にSUVのようなソフトな吸収力のある乗り心地に仕上がっております」と評価した。

 一方で4WDシステムは走行中にダイヤル式のセレクターで簡単に4WDモードを変更することができ、前40%、後60%に駆動力を配分し、トラクション性能とコーナリング性能を両立するトルク感応式LSDを備えた三菱自動車独自のスーパーセレクト4WD-IIを採用した。

 スーパーセレクト4WD-II搭載車は後輪駆動の「2H」、フルタイム4WDの「4H」、センターディファレンシャル直結の「4HLc」、さらによりローギヤの「4LLc」の4種類が選択可能で、ドライブモードは7モードを用意。すべての4WDモードに設定されている「NORMAL」モードをはじめ、2Hには経済性を重視した「ECO」、4Hに「GRAVEL(未舗装路)」と「SNOW(氷雪路)」、4HLcにトラクション性能を引き出す「MUD(泥濘)」と「SAND(砂地)」、4LLcには「ROCK(岩場)」モードが設定され、あらゆる路面で最適なドライブモードを選択できるようになっている。

独自のスーパーセレクト4WD-IIを採用するとともに7つのドライブモードを設定
スーパーセレクト4WD-IIについて
ドライブモードについて

 また、新たにアクティブヨーコントロール「AYC」を採用し、コーナー内側の前輪に弱くブレーキをかけることで旋回性を向上させることが可能。さらにアクティブLSD(ブレーキ制御タイプ)や下り坂で一定のスピードを保持するヒルディセントコントロール(HDC)、坂道発進での交代を防止するヒルスタートアシスト(HSA)なども採用。このAYC採用について、増田CPSは「以前ランサーエボリューションで使っていた技術を今回トライトンに入れました。これによりヘアピンや、あるいは曲がりにくいスリッピーな滑りやすい路面でもすごく気持ちよく楽に曲がってくれるので、この大きなクルマでも軽快に運転できるという三菱の技術です」とアピールした。

電動パワーステアリングやAYCを備えた
走行機能について

ピックアップらしい押しが強いデザイン

 デザインコンセプトは「BEAST MODE」(勇猛果敢)。ピックアップトラックに求められるタフさや力強さに加え、三菱自動車らしい堅牢さを持ちながら俊敏さも併せ持つ堂々としたたたずまいを表現。フロントデザインコンセプト「ダイナミックシールド」は、力強く立体的なフロントグリルやフェンダーからつながる力強い造形、それを強調するプロテクターでピックアップトラックに最適化された。3連のL字型LEDランプを配したデイタイムランニングランプは猛禽類を思わせる眼光鋭い造形とし、その下に立体的な3眼プロジェクター式のヘッドライトを組み合わせることで圧倒的な存在感とたくましさを感じさせるデザインに仕上げたという。

 ボディサイズはGLSが5320×1865×1795mm(全長×全幅×全高)、GSRが5360×1930×1815mm(同)で、ホイールベースは310mm。最低地上高は220mmで、最大積載量はともに500kg。車両重量はGLSが2080kg、GSRが2140kgとなっている。日本市場ではかなり大型のボディサイズとなるが、これについて増田CPSは「その分、迫力と力強さがあります。至近距離で見るとすごい圧力、存在感というよりも威圧感まで感じるかなと思いますが、ピックアップは押しが強すぎるぐらいがちょうどいいのです。ただ、大きくて存在感があるのですが、最小回転半径は6.2mということで、このサイズとしては比較的小さく、取り回しのよさも考えて設計いたしました」と説明した。

ボディサイズ

 ボディカラーは鮮やかさとメタリック感を強めたヤマブキオレンジメタリックと、輝度感を向上させたブレードシルバーメタリックを新たに投入。高品質なベーシックカラーとしてホワイトダイヤモンド、レッドソリッド、グラファイトグレーメタリック、ジェットブラックマイカをラインアップする。

 また、GSRではフロントグリルをボディ同色に、ドアミラー、フロントバンパーガーニッシュ、ドアハンドルなどをブラックに、フロント、サイド、リアの各アンダーガードはダークチタニウムとした。

デザインコンセプトは「BEAST MODE」(勇猛果敢)
アプローチアングル、ランプブレークオーバー、デパーチャーアングルについて
エアロボディを採用
GSRのボディカラー
GLSのボディカラー

 一方、インテリアでは走行時の車体姿勢の変化をつかみやすい水平基調で力強い造形の「HORIZONTAL AXIS(ホリゾンタル アクシス)」コンセプトを進化させたインストルメントパネルを採用。プロフェッショナルユースを意識し、乗員を保護するためにソフトパットを要所に採用し、実用性の高さを確保。

 モニターやメーター、コントラストをつけたスイッチ類は視認性にこだわり、セレクター、ダイヤル、スイッチ類は手袋をしたままでも確実に操作ができるよう程よい節度感を実現。ステアリングホイール、グリップ、ドアハンドル類は握り心地やたくましさを追求するなど「MITSUBISHI TOUCH(三菱タッチ)」という考え方に基づいてデザインされた。

 フロントシートは腰まわりをしっかりサポートし、肩付近は動きやすく開放的な形状としてドライバーの疲労を軽減。また、アップライトな乗車姿勢とすることで室内からの視認性を向上させつつ、フロントピラーを立ててドア開口部を広げるとともにサイドステップの幅を広げるなど、乗降性も向上させている。

インテリアの装備について

 そのほか先進安全装備については、先行車の加速・減速に追従走行し、設定した車間距離を保ちながら走行するレーダークルーズコントロールシステム「ACC」をはじめ、衝突被害軽減ブレーキシステム「FCM」、踏み間違い防止アシスト「EAPM」、車線逸脱警報システム「LDW」&車線逸脱防止支援機能「LDP」、後側方車両検知警報システム(レーンチェンジアシスト機能付)「BSW/LCA」、後退時交差車両検知警報システム「RCTA」、オートマチックハイビーム「AHB」、標識認識システム「TSR」、ふらつき警報「DAA」を採用し、先進安全装備の強化を図っている。

 増田CPSは「『Power for Adventure』というコンセプトのもと、圧倒的な力強さ、そして能力で、お客さまのへの配慮、気持ちといったことも兼ね備えているのがこの新型トライトンです。われわれの自信作として投入いたします。値段はGLS標準グレードが498万800円、GSR上級グレードが540万1000円。発売が2024年2月15日といよいよ迫ってまいりました。われわれが自信を持って投入する新型トライトン、ついに日本上陸ということで皆さまぜひよろしくお願いいたします」と述べプレゼンテーションを締めくくった。

安全装備について
便利装備も用意
純正アクセサリー
装備仕様