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ホンダの“夢と挑戦の物語”を体感できる「ホンダコレクションホール」 ホンダジェットの実物大インテリアも登場

2024年3月1日 リニューアルオープン

2024年3月1日にリニューアルオープンしたホンダコレクションホール

 ホンダは、モビリティリゾートもてぎ(栃木県)にある「ホンダコレクションホール」(以下 コレクションホール)を2024年3月1日にリニューアルオープンした。

 ホンダの歴史を伝えるコレクションホールはモビリティリゾートもてぎ(オープン当初は ツインリンクもてぎ)の利用者なら誰でも無料で見学できる施設として1998年3月にホンダの創業50周年を記念して設立された。その内容はクルマやバイクにとどまらず発電機などのパワープロダクツや2足歩行するヒューマロイドロボットASIMOなどホンダのすべてを感じられるものだ。設立26年目となる今年に大規模リニューアルを行ない、オープン前日の2月29日には報道関係者向け内覧会が行なわれたので本記事ではその模様をお伝えする。

ホンダコレクションホール

 これまでのコレクションホールは4つの展示ブースにクルマとバイク、おのおののレーシングモデルと市販車モデルと4つのカテゴリーに分け展示し、その台数は約300台という充実ぶりが大きな特徴だった。一方でこれまでの区分けではホンダが歩んできた歴史を時系列で捉えにくいところもあり、今回のリニューアルではホンダの夢と挑戦の歴史が強く感じられる展示へと方向転換した。

 1つ目(CHAPTER1)は創業から1970年前後、CHAPTER2は1985年前後まで、CHAPTER3は2000年代まで、そしてCHAPTER4が2000年代以降と年代別に分けられた展示は同時代のバイクとクルマが合わせて見られるので、時代ごとのホンダの空気感が感じられる。また展示台数は通常展示を160台程度に抑え、ホンダの歴史の中でも特徴的なモデルはゆとりあるスペースの中で充実した解説をともなった展示をしているのが印象的だ。

リニューアルを指揮し、内覧会での解説も務めたホンダコレクションホールリニューアルプロジェクト責任者 朝日嘉徳氏

 内覧会時はリニューアル記念の企画展「CBヒストリーPart1 スーパースポーツバイクの先駆者たち」が開催されており、企画展+通常展示合わせて約200台の展示台数であった。ちなみにこの企画展は6月30日まで開催しており、この期間もてぎではSUPER BIKE RACE(4月13~14日)、FIMトライアル世界選手権 第2戦が開催される。企画展の第2弾は7月6日より開催される「レーサーレプリカ特集Part1ワークスレーサーの血統NSR250R」。この期間にはFIM MotoGP(10月4~6日)が開催される。

リニューアル記念の企画展「CBヒストリーPart1 スーパースポーツバイクの先駆者たち」
ホンダドリームCB450のDOHCエンジン(左)をベースに排気量を下げOHC化したのがホンダN360のエンジン。ホンダならではの展示だ
企画展では他メーカーのモデルも積極的に展示している

 今回のリニューアルに伴い施設名をホンダミュージアムへと変更する案もあったそうだが、すでにアメリカ・カリフォルニア州に「American Honda Collection Hall」という施設があり、ホンダコレクションホールという名前自体も伝統の1つと捉えこれまで通りの名称を継いだとのこと。

CHAPTER1(創業~1970年代前後)

「自転車用補助エンジンの試作機に燃料タンクの代用として使われた湯たんぽ」ホンダの歴史はここからはじまる

 戦後間もない1945年、小さなエンジンから始まる創業期の展示は自転車用補助エンジンの試作機に燃料タンクの代用として使われた湯たんぽから始まる。以降スーパーカブの登場、4輪への進出、初期の発電機、耕運機など今なお続くホンダ製品の原点が並ぶ。圧巻はドリームC70の展示。これまでの欧州車を手本にしてきた国産バイクのデザインを脱却し”神社仏閣スタイルと呼ばれる角形デザインで登場したモデルだ。リニューアル前なら10台以上展示できるスペースをこの1台に割き、この1台に「誰かにまねされても、誰のまねもしない」とのコピーとともに、このバイクに込められたホンダのスピリットを表現している。また、3台のF1マシンが展示されたコーナーでは1067年に0.2秒の僅差でデビューウインを果たしたRA300とともにその瞬間を捉えた巨大パネルが展示されるなど、すべてのマシンを並べた従来の展示とは違った充実ぶりが素晴らしい。

ドリームC70(1957)
スーパーカブなどホンダの小型バイク群
RA300(1967)とデビューウインを飾ったゴールシーンのパネル(1967イタリアGP)
ディテールを眺めるだけでも楽しい
年代別展示のため同年代のバイク、クルマが共存する
バイク・クルマだけじゃないホンダも充実

CHAPTER2(1970年代前後~1985年代前後)

空冷エンジンとその搭載車が並ぶCHAPTER2の入り口

 創業者 本田宗一郎の挑戦が花開き、そして引退。ホンダの第2幕と言える時代の展示がCHAPTER2だ。まず目に飛び込むのが空冷エンジンとその搭載モデル。エンジン単体とホンダ1300、第一期F1最後のマシンRA302。ホンダの歴史の中で決して成功作とは言い難いこれらの展示からCHAPTER2は始まる。ここからシビックやアコードの登場、そしてホンダエンジンを搭載したウイリアムズやマクラーレン、ロータスのF1マシン、ロスマンズカラーも鮮やかなWGPマシンなどが続く。

ライフ、シビック、アコード
世界のサーキットで戦ったホンダ
どのモデルも当時の若者に人気だった

CHAPTER3(1985年代前後~2000年代前後)

アコード、アコードエアロデッキ、レジェンド

 日本中が好景気へと向かっていた80年代半ばからスタートするCHAPTER3では初代NSXや斬新なデザインのアコードエアロデッキ、そしてオデッセイ、ステップワゴンなどの身近なモデルが並ぶ。ホンダは発電機の歴史も長く、1995年の阪神淡路大震災で起きた広域停電がきっかけで生まれた自動起動式の発電機も展示。

発電機E2010、自動起動式設置型発電機 EX4.5D-ATS

CHAPTER4(2000年代前後~)

ロボットの歴史から最新のジェット機までが揃うCHAPTER4

 ホンダが人間の2足歩行を研究するために作った最初のロボット「E0」からASIMOの最終モデルまでが迎えるCHAPTER4はGE Hondaの航空機用ジェットエンジンやホンダジェットELITEの大型スケールモデルなどが展示される。最新のパーソナルモビリティ「UNI-ONE」の試乗体験ができるスペースも用意されている。

ホンダジェットELITEのスケールモデル
GE Honda Aero Engines
バックに描かれているのは「勝てないという苦難を超えて。」の文字

 内覧会では展示ホールの中庭ではホンダに初優勝をもたらした第1期のF1マシンRA272(1965年)と世界GPチャンピオンマシン RC166(1966年)のエンジン始動パフォーマンスが行なわれた。MCは宮城光氏とホンダスマイルの2人。展示車両のほぼすべてが動態保存されるホンダコレクションホールならではのパフォーマンスだ。今日まで大切に整備されてきたマシンやエンジンサウンドを間近で楽しめた。

RA272(1965年)
1495cc水冷横置きV型12気筒DOHC48バルブのRA272Eの最高回転数は12000rpm
RC166(1966年)と宮城光氏
空冷4サイクル並列6気筒DOHC4バルブエンジンがこの角度だと良く見える。

 エントランスホールにはこれまでのバイク、クルマ、発電機に加え実物大のホンダジェットELITE IIが展示され来場者を迎える。

 館内ではこれまで通りのガイドツアーのほか新たにスマートフォンを使用するこだわりの音声ストーリーガイドも用意され、楽しみ方にも幅が出た。

ホンダジェットELITE IIの胴体部分がエントランスホールに展示され誰でも乗り込むことができる
ホンダジェットELITE IIのキャビン
エントランスホール右側にあるホンダの歴史をコンパクトに網羅したコーナー
ガイドツアーは健在
ミュージアムショップ
ライブラリー&デザインギャラリー

 創業期から今もなお流れ続けるホンダのアイデンティティを表現すべく2年の歳月を経てリニューアルされたホンダコレクションホール。モータースポーツはもちろん、「ハローウッズ」「森と星空のキャンプヴィレッジ」や3月2日にオープンした「空のアスレチックひろばKONOMI」などでマルチに楽しめ、ホンダの夢と挑戦の歴史も感じられるモビリティリゾートもてぎの充実ぶりは注目だ。

空のアスレチックひろば KONOMIのイメージ