ニュース

ポルシェ、バッテリEV「タイカンターボGT」「タイカンターボGTヴァイザッハパッケージ」予約開始 ニュル最速の4ドア車

2024年3月12日 予約開始

タイカンターボGT:3132万円

タイカンターボGTヴァイザッハパッケージ:3132万円

「タイカンターボGTヴァイザッハパッケージ」(左)、「タイカンターボGT」(右)

軽量化とエアロダイナミクスの強化でパフォーマンスを向上

 ポルシェジャパンは3月12日、「タイカンターボGT」「タイカンターボGTヴァイザッハパッケージ」の予約を開始した。価格はタイカンターボGTが3132万円、タイカンターボGTヴァイザッハパッケージが3132万円。

 ベースとなるバッテリEV(電気自動車)のタイカンは、2月に行なわれたアップグレードにより全体的なシステム出力が向上。新しいリアアクスルモーターを備えて強化されたパワートレーンにより、先代モデルよりもさらにダイナミックなパフォーマンスが可能となっている。

 今回予約が開始されたタイカンターボGTとタイカンターボGTヴァイザッハパッケージは、タイカンのパフォーマンスを次のレベルに引き上げる新しいスポーツフラグシップモデルとして、さまざまな軽量設計とエアロダイナミクス対策を組み合わせ、ドライビングダイナミクスの水準をさらに引き上げたモデル。両モデルともに最高出力580kWを発生し、ローンチコントロール使用時のオーバーブーストパワーは最高760kW、最高出力測定法に従うと2秒間で最大815kWに達するとのこと。

 タイカンターボGTの0-100km/h加速は2.3秒、ヴァイザッハパッケージ装着車両は2.2秒で、タイカンターボSより0.1~0.2秒速くなり、0-200km/h加速は、タイカンターボGTが6.6秒、タイカンターボGTヴァイザッハパッケージが6.4秒で、タイカンターボSより最大1.3秒速くなるとしている。

タイカンターボGTヴァイザッハパッケージ

 タイカンターボGTの両モデルには、リアアクスルに最大電流900Aのパルスインバーターを使用。これらはタイカンターボSの600Aのパルスインバーターを上まわる出力とトルクを提供。効率を高めるために、パルスインバーターの半導体材料として炭化ケイ素を使用することで、PWRのスイッチング損失が大幅に低減され、より高いスイッチング周波数が可能になるとのこと。変速比とギアボックスの堅牢性も改善されてさらに高いトルク値を実現しており、両バージョンとも最大トルクは1340Nmを発生。タイカンターボGTモデルの航続距離は最大555km(WLTP)となる。

両モデルともリアアクスルに最大電流900Aのパルスインバーターを使用

 搭載されるアタックモードは、ほかのタイカンモデルのプッシュ・トゥ・パス機能をベースとしており、ボタンを押すだけで最大120kWのパワーブーストを10秒間追加可能。このシステムはサーキット走行用に最適化され、ポルシェがABB FIAフォーミュラE世界選手権で使用しているレーシングカー「99X」と同様の機能を備えており、ほかのタイカンモデルに装備されているプッシュ・トゥ・パス機能に比べて50kW高いブーストパワーを提供するとのこと。

 タイカンターボGTは、Bピラートリム、ドアミラーのアッパーシェル、サイドスカートのインレイなどにカーボンファイバーを使用し、CFRP製のフルバケットシート、軽量ラゲッジコンパートメント、テールゲートの電動ソフトクローズ機能の削除などにより、タイカンターボSと比較して最大75kg軽量化。

 タイカンターボGTにはダイナミクスパッケージが標準装備され、ダイナミックな走行条件でホイール荷重をバランスよく配分して路面とのほぼ完璧な接続を実現する、GT専用チューニングを施したポルシェアクティブライドサスペンションも含まれている。パッケージには、さらにスペシャルパフォーマンスサマータイヤと21インチ軽量鍛造ホイールも含まれている。

 標準装備の軽量セラミックブレーキはポルシェセラミックコンポジットブレーキ(PCCB)をベースにしたシステムで、ブレーキディスクチャンバーとブレーキキャリパーハウジングの設計変更によって2kg以上の軽量化が図られた。これにより、ドライビングダイナミクスとパフォーマンスの両方にプラスの効果をもたらし、バネ下質量と回転質量を減らすことにつながり、パフォーマンスが向上している。

タイカンターボGT

 タイカンターボGTヴァイザッハパッケージはサーキット走行に特化したモデルで、パワーウェイトレシオを向上させるためにリアシートなどのサーキット走行に必要ない装備をすべて取り外すことで、タイカンターボGTと比較して約70kgの軽量化を実現。運転席と助手席シートシェルの後部は、収納コンパートメントを備えたテーラーメイド高品質軽量カーボンクラッディングが通常のリアシートシステムの代わりに装備される。メーターパネルに通常装備されるスポーツクロノパッケージのアナログ時計や、フットマットとトランクマットも削除され、断熱材の使用量も低減される。

タイカンターボGTヴァイザッハパッケージ

ラグナセカとノルドシュライフェで市販EVの最速記録を達成

 タイカンターボGTヴァイザッハパッケージは2024年2月23日(現地時間)に、カリフォルニア州のウェザーテックレースウェイ・ラグナセカで、市販EVの最速のタイトルを獲得。ポルシェの開発ドライバーであるラース・ケルン氏は1分27秒87というラップタイムを記録し、あらゆる公道走行可能なEVのドライバーを上まわるファステストラップを記録した。

タイカンターボGTヴァイザッハパッケージは、カリフォルニア州のウェザーテックレースウェイ・ラグナセカで市販EV最速タイトルを獲得

 さらに、同じニューモデルの試作バージョンがニュルブルクリンクでクラス新記録を樹立。その際もケルン氏がステアリングを握り、ノルドシュライフェで7分7秒55のラップタイムを記録した。この公式ラップタイムは2022年8月に「タイカンターボSスポーツセダン」のパフォーマンスパッケージでケルンが記録したレコードラップを26秒も上まわると同時に、現在の市販EVの記録でもあり、タイカンターボGTはすべてのパワートレーンタイプの中でニュルブルクリンク最速の4ドア車となった。

ニュルブルクリンクのノルドシュライフェで市販EVの新記録を樹立。ニュルブルクリンク最速の4ドア車となった

 モデル責任者のケビン・ギーク氏は、「ラグナセカとノルドシュライフェでの2つの記録は、タイカンのサーキットにおけるポテンシャルの高さを示しています。サーキットで実力を証明するには、単にパワーがあればいいというものではありません。加速とブレーキング、コーナリング時のグリップ、エアロダイナミクス、安定性、ファインチューニングの総合的なパッケージが適切でなければなりません。特に、タイカンターボGTとタイカンターボGTヴァイザッハパッケージでは、当社のエンジニアが見事な方法でこれを達成しました。彼らはすでに、最近アップグレードされた既存のタイカンモデルで素晴らしい仕事をしています。しかしポルシェの新しいGTモデルは、ドライビングダイナミクスの基準をさらに高く引き上げていることは明らかです」とコメント。

 開発ドライバーのケルン氏は、「ラグナセカのコースは、タイカンターボGTを限界まで追いつめます。違いを生むのは総合的なパッケージです。タイカンターボGTヴァイザッハパッケージは、ほぼすべての指標で新たな基準を打ち立てています。加速とブレーキ、直感的に使用できるアタックモード、最大のトラクションとパフォーマンスを発揮するように設計されたパワートレーンなどです。コーナリング時のグリップレベルも素晴らしくコントロール性とフットワークの軽さは信じられないほどです。タイヤはとてもよく機能しているし、どのような走行条件でも適切なバランスを保ちます。ラグナセカの起伏に富んだコースをこのクルマで走るのは本当に楽しいです」とコメントしている。