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日産フォーミュラEチームがフォーミュラE第5戦「2024 TOKYO E-PRIX」について語る チームを支えるシェルの存在とは?
2024年3月27日 12:48
- 2024年3月26日 開催
2024年3月30日に東京都江東区の特設コース(東京ビッグサイト周辺)にて開催されるABB フォーミュラE チャンピオンシップの第5戦「2024 TOKYO E-PRIX」を前に、シェルモータースポーツはパートナーシップを組む日産自動車のショールーム「NISSAN CROSSING」で報道陣向けのカンファレンスを開催した。
イベントには日産フォーミュラEチーム チーム代表兼マネージングディレクターのトマソ・ヴォルペ氏、日産フォーミュラEチームのドライバーであるサッシャ・フェネストラズ選手、同じくオリバー・ローランド選手が出席。
シェルモータースポーツは2018年より、オフィシャルパートナーである日産フォーミュラEチームとともにフォーミュラEに参戦。レースの現場を最新EV技術の試験場として活用しながら、これからのeモビリティを作り上げていくための技術革新についてのさまざまな取り組みを進めている。
シェルはガソリンのほか、オイルなども作っているメーカーだが、EV(電気自動車)向けの「Shell EV-Plus」という電動パワートレーン専用フルードも開発している。EVの駆動システムは高い絶縁性、ギヤの保護性、それにモーターなどの冷却性が求められるため、その役目をするフルードが充填されている。
フォーミュラEのパワートレーンも同様の理由でフルードを必要とするが、エネルギー効率のよさが勝敗に大きく影響するレースなので、市販車用のフルードよりも高性能なものが要求される。そこでシェルは「Shell EV-Plus」をさらに進化させて、最新のフォーミュラEカーであるジェネレーション3(Gen3)マシンにも対応する「Shell EV-Plus サーマルフルード」を日産フォーミュラEチームと共同で開発した。
このフルードはGen2用製品と比べて粘度が39%低く、密度も2.2%低いのでトランスミッションで発生する抵抗を軽減。その結果、使用するエネルギーを減少できるのでレースでのパフォーマンスを向上させるものになっている。さらに電気部品の性能を最大限に引き出すために最適な絶縁を行なう性能もあるので、短絡や沿面放電などからの損傷を防ぐ性能も備えている。
また、日産フォーミュラEチームのマシンに使われるシェル特注の「Eトランスミッションフルード」は、再生可能な原料から作られた天然エステルベースオイルを使用。シェルによると、少なくとも70%は生分解性の成分から作られているため、フォーミュラEおよび日産フォーミュラEチームが目指している持続可能性をサポートするものである。
なお、フォーミュラE Gen3には変速用のギヤはなく、上記フルードはモーターの駆動をタイヤに伝えるためのギヤボックスに使用されているものだ。
シェルモータースポーツと日産フォーミュラEチームの関係
今回のカンファレンスでは、日産フォーミュラEチーム代表兼マネージングディレクターのトマソ・ヴォルペ氏から、日産フォーミュラEチームの取り組みとシェルモータースポーツとのパートナーシップについての紹介が行なわれた。
ヴォルペ氏はまず日産のEV化の流れについて説明。「日産はクルマの電動化を進めることに大きな志を持っていて、そうしたことから2018年にフォーミュラEに参戦するという大きな行動を起こした」とい言う。フォーミュラEに参戦することでEV化の技術を高め、その経験とデータを生かした市販車用のハイパフォーマンスパワートレーンの研究開発などを進めているそうだ。
そうした活動に欠かせない存在がシェル。ヴォルペ氏はシェルのことを「非常に重要なパートナー」と表現する。
2024 TOKYO E-PRIXについて
日本初開催となるフォーミュラE「2024 TOKYO E-PRIX」だが、このレースを迎えるにあたりヴォルペ氏は、「2024 TOKYO E-PRIXが日産にとっての母国レースであることを重視していて、さらに東京で初開催される市街地レースというところにも大いに注目している」と語った。
なお、ローランド選手に質問できる機会があったのでフォーミュラEマシンの走らせ方を聞いたところ、面白い話を聞くことができた。
まず、Gen3になってからフロントにも回生ブレーキが付いたことについては、以前のクルマと走らせ方は違うが、そこよりもやはり回生の機能を生かす走り方が大事だという。
このフロント回生モーターはレギュレーションですべてのクルマに同じものが使われていて、回生の能力も同じ設定。また、駆動やベクタリングなどの能力差もないとのことだ。ちなみにフォーミュラEマシンにはパワーステアリングがないので、フロントに回生ブレーキが付いたことで操作感が重くなったとそうで、このコメントのときローランド選手はボディビルダーのようなポーズを取っておどけてみせてくれた。
そのほか、以前のマシンはEVながらシフトチェンジのためのギヤがあったが、現在はないこと。ステアリングのパドルを操作することでリアの回生ブレーキを任意に効かせてチャージできることを教えてくれた。また、フォーミュラEはバッテリマネージメントが勝敗に大きく関わることから、ステアリングにはバッテリの能力を調整するためのダイヤルも付いているそうだ。