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輸送でフォーミュラEを支えるDHLのアンバサダーに野田樹潤選手が就任 梱包されたままの機材が並ぶピットエリアを見学

2024年3月27日 開催

フォーミュラEの開幕に合わせ、DHLが記者発表会を開催

脱炭素に向けた取り組みをフォーミュラEとともに実施

 DHLは3月27日、日本初となるABB FIAフォーミュラE世界選手権東京大会が3月30日に開催されるのに合わせて、「フォーミュラE世界選手権 東京大会 DHLグループ記者発表会」を開催した。

 DHLはフォーミュラEの創設となる2014年以来、オフィシャルファウンディング・ロジスティクスパートナーとしてフォーミュラE専属チームがレース機材一式の輸送を担当。レースの実施に必要なフォーミュラEで使われるマシンはもちろん、バッテリ、専用の充電ユニット、放送機材、マーケティングやホスピタリティに関する資材など、1レースあたり380tにものぼる貨物を全世界のレース会場に輸送してきた。

 また、フォーミュラEが取り組む炭素排出量の削減に貢献すべく、すべての陸上・海上輸送でバイオ燃料を使用するとともに、環境に配慮した専用の輸送パッケージを利用し、重量を減らすなどの工夫を取り入れることで、輸送面において2019年シーズン比で8%のCO2削減を達成したという。

DHLグループとは

 記者発表会では、DHLジャパン 代表取締役社長 トニー・カーン氏がDHLグループの戦略について説明。DHLはマーケットをリードする責任者として、2050年までにCO2エミッションを実質ゼロにする「ミッション2050」を宣言し、気候保護のために環境負荷を少なくするロジスティクスを実現するクリーンオペレーション、コンプライアンスを守り最も信頼される企業となること、最高のサービスを提供するためにすべての人にとって働きがいのある職場をつくる、の3分野へコミットしていくと説明した。

DHLジャパン株式会社 代表取締役社長 トニー・カーン氏

 今後、DHLが運行する貨物機や船舶燃料のうち、持続可能な燃料を全体の30%以上にするとともに、貨物機の機材をSAF対応が可能で燃費のよい最新の機材に入れ替えていくといった、CO2エミッションを減らす取り組みを進めていくという。さらに、2024年度中に完全電気式の貨物機12機をオーダーしているとのことで、「世界初の電気で動くゼロエミッションの飛行機を今年中に飛ばす予定にしています。楽しみに期待していてください」と述べた。

DHLのサステナビリティ戦略

 続けてDHLサプライチェーン 代表取締役社長 ジェローム・ジレ氏が地上輸送について「グローバルで稼働している5万2000台の車両のうち、2030年までに集配車両の60%をEV(電気自動車)化したい」とグローバルでの今後の展望を紹介。日本では2024年末までに車両や電動三輪車、電動バイクなど計73台を導入する予定と紹介するとともに、今後水素トラックの試験を行ない、市場で展開していく見込みであるとした。

DHLサプライチェーン株式会社 代表取締役社長 ジェローム・ジレ氏

 フォーミュラE サステナビリティ部門ディレクター ジュリア・パレ氏は、フォーミュラEのサステナブルな取り組みやDHLとのパートナーシップについて説明。「なぜフォーミュラEの日本開催を決めたかというと、“ゼロエミッション”という目的を共有しており、東京都と足並みがそろっていたことに加え、日産が何年も前のシーズンから参加してくれていることもあり、日本の自動車産業の素晴らしさを見せたいということもありました」と話し、「日本でフォーミュラEを開催できることが本当にうれしい」とよろこびを語った。

フォーミュラE サステナビリティ部門ディレクター ジュリア・パレ氏

 DHLとフォーミュラEのパートナーシップについては、「DHLはフォーミュラE創業メンバーの1社でもあり、約10年前に真新しいチャンピオンシップを築く中で、本当にスペシャルで特別なパートナーシップであり続けています。そして、サステナビリティに関してもイノベーションに関しても、リーダーシップに関しても、パイオニアとして一緒に働いてくれています。カーボンフットプリントの75%は物流に由来するものです。なのでその課題を共有して、一緒にロードマップを描いてCO2排出量を継続的に引き下げています。DHLの部門が協力してくださったことによって得られているイノベーションとして、バイオフューエルを道路輸送や海上輸送で使っています。そして、私たちはサステナブル航空燃料の領域でも一緒に歩んでいきたいと思っています」と、DHLはフォーミュラEの開催に欠かせないパートナーであると述べた。

 DHLグローバルフォワーディング モータースポーツ部門ヘッド マヌエラ・ジャンニ氏はフォーミュラE実現の舞台裏として、「DHLは380tもの荷物を世界中さまざまなロケーションに短時間で届けると同時に、持続可能性のパートナーからの要求にも応え続けるというタスクを負っています。DHLには40年のモータースポーツの経験があり、グローバルレベルでも、ローカルレベルでもモータースポーツプロジェクトに携わってきています。どのレースでも新しい課題に直面しますが、シームレスにローカルチームとの素晴らしい協力が得られます」と、長年の経験によるサポートでレースを支えているとした。

DHLグローバルフォワーディング モータースポーツ部門ヘッド マヌエラ・ジャンニ氏

 また、女性レーサーの野田樹潤選手がDHLブランドアンバサダーに就任したことも発表され、野田選手が会場に登場。「モータースポーツで活躍するDHLの一員になれるっていうのはドライバーにとってすごく憧れでもありますし、世界で活躍するグローバルな会社に声をかけていただいたっていうことは、ほんとにすごくうれしいことでもありますし、自分の自信にもつながりました」とよろこびを語った。

「ヨーロッパでレースをやっていた際、急遽部品が必要になったときにDHLさんには本当にすごくお世話になりました」と語った野田樹潤選手

各チームのクルーがマシンの開封待ちをするピットに潜入

 フォーミュラE世界選手権 東京大会 DHLグループ記者発表会に続き、会場準備が進むピットレーンツアーが行なわれた。

 フォーミュラEでは到着したマシンなどの開封解禁時間が決まっているため、今回ピットレーンを訪問したときはブラジル サンパウロから運ばれたままの機材一式がずらっと並んだままとなっており、各チームのクルーが開封解禁時間を待っていた。

3月16日にブラジル・サンパウロで開催されたレース後に運ばれてきた機材が並ぶ
チームのクルーがパッケージの開封時間を待っていた

 フォーミュラEの機材は専用のパッケージで梱包され、それぞれのパッケージの重量は細かく定められているとのこと。パッケージにはどのチームのどの場所に運ぶかが記載されており、DHLのフォーミュラE専属スタッフはその記載をもとに機材を指定の場所に運ぶという。

きれいに並べられているパッケージには、大きいものが交換パーツなど、小さいものがフォーミュラEマシンとバッテリ、スペアのシャシーなどが入っているという
パッケージを運ぶフォークリフトも専用品とのこと

 機材の解禁時間が迫っていたためあまりじっくりとは見ることができなかったものの、週末のレースに向けて着々と準備が進む有明エリアは、“祭りの開演”が待ち遠しくなる雰囲気であふれていた。