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日産、フォーミュラE第5戦「2024 TOKYO E-PRIX」の参戦会見 2030年までのフォーミュラE継続参戦を発表
2024年3月29日 11:04
- 2024年3月28日 開催
東京都江東区の特設コース(東京ビッグサイト周辺)にて、3月30日に開催されるABB フォーミュラE チャンピオンシップの第5戦「2024 TOKYO E-PRIX」。このレースに参戦する日産自動車は、3月28日に記者会見をヒルトン東京お台場(東京都港区台場)で開催した。
フォーミュラEはEV(電気自動車)レースの最高峰として、世界中の市街地サーキットでレースが行なわれている次世代のモータースポーツ。世界に先駆けてEVの量産に取り組んできた日産は、2018年のシーズン5からフォーミュラEへの参戦を開始し、日本の自動車メーカーとして唯一このレースに参戦している。
そして2024年3月30日に有明で開催される「2024 TOKYO E-PRIX」はフォーミュラE史上、初めて日本での開催となる。このレースに日産は2台のフォーミュラEマシンを走らせて優勝を狙う。
日産はこの会見に先立って、コンストラクターとして2030年までフォーミュラEに継続参戦すると発表。これにより日産はフォーミュラEに対して初参戦から12年間継続で参戦することとなる。
これに関連して、日産は2023年よりフォーミュラEチームの本拠地をフランス パリへ移転。より優れた開発環境を整えてレースでの競争力を高め、2026年から2030年の間ではフォーミュラEの第4世代マシンとなる「ジェネレーション4(Gen4)」の開発も行なっていく。Gen4マシンではエネルギー効率がさらに向上し、回生量は最大で700kW、最大出力は600kWとなる見込み。
また、日産は長期ビジョンとして、2050年までにカーボンニュートラルとゼロエミッション車を実現し、電動車を誰でもどこでも利用できるようにするための「Nissan Ambition 2030」を掲げていて、2023年までに34車種の電動車を登場させると発表している。これによりグローバルでの電動車の比率は2026年度に40%、2030年度に60%となる見込みだ。
この発表は日産フォーミュラEチームの監督 トマソ・ヴォルペ氏より行なわれたもので、ヴォルペ氏は「長期的な参戦を表明できたこと、そして2030年までの契約を結んだ最初のメーカーとなったことに誇りを感じます。また、われわれが掲げる“Nissan Ambition 2030”の実現を目指すことにとってフォーミュラEは重要なプラットフォームです」と、企業としての目標を達成するためにフォーミュラEへの参戦は大事なことであると語った。
なお、この記者会見には特別ゲストとしてFIA(国際自動車連盟)からシニア サーキット スポーツディレクターであるマレク・ナワレツキ氏と、フォーミュラEの最高経営責任者であるジェフ・ドッズ氏が招かれ、日産による2030年までの参戦契約書へのサインの場に立ち会った。
ドッズ氏は「フォーミュラEは始まって10年ほどです。モータースポーツとしては赤ちゃんのようなものです。このレースには3つの強い想いがありました。1つ目が世界で最もエキサイティングでより競争力のあるレースにしていくこと。つぎにテクノロジーを変革し、レーストラックから公道を走る電動車に技術を伝えていくこと。3つ目が気候変動について、そしてサスティナビリティについて教育する、啓蒙する、プラットフォームにするということです。そういった思いを持つ組織としてよいパートナーを探すことは大変なことではありますが、参戦して5年目の日産は企業として名声もあり、モータースポーツの歴史においても偉大な存在です。また、リーフの成功などクルマの電動化の歴史をリードする日産はさまざまな面で完璧と言えるパートナーです」と語った。
続いてはFIA シニア サーキット スポーツディレクターのマレク・ナワレツキ氏より発言があった。ナワレツキ氏は「FIAの観点としまして本日は特別な日になりました。また、レース自体も特別なレースなると信じています。フォーミュラEは世界選手権でありまして、電動車によるレースです。これはパートナーの皆さまとともに作り上げたものであります。パートナーの協力なしではここまでたどり着くことはできなかったでしょう。そして今後は信頼をさらに継続して長期的なビジョンとロードマップを推し進めていきたいと思います。本日は来るGen4の時代に向けて日産が最初の契約となりました。これは大変素晴らしく、重要なステップであります。この契約によりフォーミュラEの新たな時代が開かれると確信しております」と語った。
日産フォーミュラEチームの参戦会見
続いては日産フォーミュラEチームによるABB フォーミュラE チャンピオンシップの第5戦「2024 TOKYO E-PRIX」への参戦会見となった。参加したのは日産フォーミュラEチーム チーム代表兼マネージングディレクターのトマソ・ヴォルペ氏、日産フォーミュラEチームのドライバーであるサッシャ・フェネストラズ選手、同じくオリバー・ローランド選手、そしてチーフパワートレインエンジニアを務める日産自動車の西川直志氏だ。
会見では日産自動車がフォーミュラEの参戦する目的がチーム監督のヴォルペ氏より紹介された。ヴォルペ氏は「われわれは2014年に最初の電動車を販売して以来、販売するクルマの電動化を進めています。この取り組みは単に新しいクルマを出すということだけではなく、ワクワクするカタチで進めていきたいと考えています。そしてフォーミュラEはそのための手段の1つです。レースといったカタチで電動車がいかにエキサイティングなものなのかを皆さまにお伝えしていくことが重要です」と語った。
また、フォーミュラEについて、将来的に4WD化されていくことを望んでいることも語られた。これは日産がすでに実用化して市販車へ取り入れている電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」の技術を活用すること、さらに進化させることからの発言だ。
西川氏からはフォーミュラEマシンと市販EVとの違い、そしてパワートレイン開発についての説明があった。西川氏は「モータースポーツのパワートレインは、市販車に対してだいぶ制約条件が違うところがあると思っています。特にコストだったり、あとはNVH(騒音・振動・ハーシュネス)ですね。一般のお客さまにとってここを重視するのはとても大事ですけども、われわれのドライバーに対してそこに何かをする必要はないです(笑)。ただ、その一方で電動車としての性能を突き詰めていくとどうなっていくのかという見極めをするには、やっぱりモータースポーツをやることが非常に大事だと思ってます」と説明した。
また、西川氏からはフォーミュラEレースの見どころとして、レース中に行なっているエネルギーマネージメントによる駆け引きを挙げた。それに電動車のレースは音がないと思われているが、実際の走行音は迫力のあるものなので、そういった面からもフォーミュラEが注目されていくことを望んでいるとの発言もあった。