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マツダ、ラージ商品群の最終モデルとなる新型「CX-80」を柴田浩平主査、玉谷聡デザイナー、髙橋達矢主幹が詳説

2024年8月22日 発表

マツダの3列シートSUV新型「CX-80」(日本仕様)

 マツダは8月22日、新型クロスオーバーSUV「CX-80(シーエックス エイティ)」の日本仕様を公開した。2024年秋の発売予定に先駆け、商品開発本部 CX-80主査 柴田浩平氏、デザイン本部 CX-80チーフデザイナー 玉谷聡氏、R&D戦略企画本部 企画設計部 主幹髙橋達矢氏の3名による、商品説明が行なわれた。

商品コンセプトは「心の豊かさをもたらす、Graceful Driving SUV」

マツダ株式会社 CX-80主査 柴田浩平氏

 マツダは2017年に「新しい市場を生み出したい」という志から「CX-8」を導入。ミニバン主体の国内3列シート車市場で、デザインや走りの情緒的な価値を実現しつつ、パッケージや安全性などの実用的な価値もしっかり両立させたことで、独自のポジションを築いてきた。結果CX-8は、SUVだけではなく、セダンやミニバン、輸入車など、多種多様なセグメントのユーザーから乗り換えがあったという。

CX-8の振り返り
CX-80の狙い

 CX-80は、プラットフォームやエンジン、トランスミッションなど主要技術を一新して、心を解き放つ力強い走りとマツダが目指す人馬一体のさらなる進化を両立し、より上級志向のユーザーニーズを満たすべく、マツダがラージ商品群と位置付けるミッドサイズSUVの4番目の車両。日本と欧州をメイン市場とした、ロングホイールベースの3列シートのモデル。マツダのラインアップの中で最高価格帯となる。

マツダの新たな商品群

 商品コンセプトは「心の豊かさをもたらす、Graceful Driving SUV」と定め、力強く意のままに操れる加速と、気持ちのいいハンドリングやクルマとの一体感を実現しつつ、ドライバーだけでなく乗員全員が快適で心地いい空間で楽しめ、余裕を持てる走りを両立。また「美しい」や「かっこいい」だけではなく、使用しているさまざまな場面で乗員の生活を彩り、センスを感じさせるたたずまいを具現化。

 さらに、「どんどん遠くに行って、どんどん遊んでほしいといった思いを込めて、余裕のある室内空間と快適装備を両立。合わせて低燃費や安全性の高さも持ち合わせるなど、走り・デザイン・実用性の、3つの価値を提供します」と柴田氏は言及。

CX-80の商品コンセプト

 新型プラットフォームだからこそ実現できた独自の力強いプロポーションやデザインを武器に、新型エンジンは排気量アップして6気筒化することで、さらに効率をよくして、力強い走りとともにクラス概念を超える低燃費により、環境負荷低減を実現させている。

 またパワートレーンも、ラージ商品群として主要技術をしっかり継承し、独自のエンジン縦置き方式プラットフォームや直列6気筒エンジンなど、一新した技術、この車系にふさわしい力強い走りとマツダの走る歓びの進化を実現。ガソリンエンジンやディーゼルエンジン、PHEV(プラグインハイブリッド)とMHEV(マイルドハイブリッド)など、市場の電力事情やユーザーのライフスタイルに合わせて選択できるラインアップをそろえた。

ラージ商品群のテクノロジ
多彩なパワートレーンを設定

 さらに、乗り込むだけで感じられる余裕のある室内空間と快適性を両立した2列目シートや、CX-8に比べて視界の広がりや開放感を作り込むことで、より自然な着座姿勢へと進化した3列目シートなど、乗員と荷物をフレキシブルに積載できる室内空間を実現している。加えて、空間の気持ちよさをさらに際立たせる“パノラマルーフ”や“リア席サンシェード”など、快適装備も充実させている。

 柴田氏は新型CX-80について、「価格帯も高く、目の肥えたユーザー層がターゲットになるので、クルマに詳しくとても強い情熱を持っているユーザーの期待に応えるだけでなく、その期待を超えることがまず1つ、同時にユーザー自身だけでなく周囲にいる大切な人たちと過ごす時間をより豊かな時間にしたいという、この2つをしっかりと両立させ、CX-8で築いてきた独自のポジションをフラグシップモデルとしてしっかりと強化、確立させた。独自の存在であり続けること、マツダを愛し続けていただきたいという思いを込めて作り込んできました」と語った。

デザインコンセプトは「Graceful Toughness」

 続いてデザイン本部 CX-80チーフデザイナー 玉谷聡氏よりデザインについての解説が行なわれた。

マツダ株式会社 デザイン本部 CX-80チーフデザイナー 玉谷聡氏

 CX-80は、「Noble Toughness(ノーブル・タフネス)」をデザインコンセプトに持つCX-60をベースとしつつ、CX-60よりもさらに上質で強い存在感を追求。「CX-80のデザインコンセプトは、タフなSUVに豊かで優雅な美しさを持たせるという思いを込めた、Graceful Toughness(グレイスフル・タフネス)です」と玉谷氏。

マツダがラージ商品群と位置付けているミッドサイズSUVの4番目のモデル「CX-80」
ボディサイズは4990×1890×1710mm(全長×全幅×全高/ルーフレールなしは全高1705mm)、ホイールベースは3120mm、最小回転半径は5.8m

 CX-8は、CX-5のスポーティさスリーク(なめらか)さをそのままに、3列レイアウトを表現したもので、CX-5と同じデザイン言語を使い、当時のマツダのスポーティさを表現した完成形ともいえた。

 しかし玉谷氏は、「新型CX-80では、CX-60とは違った“さらに優雅な表現”をさせたかった」と言い、3列レイアウトの空間を強調しながらもマツダの鼓動デザインのエレガンスさを追求するという、ちょっと難しいバランスのアイデアを展開。スポーティさは少しトーンダウンさせつつ、空間のリッチさをしっかりと表現できる、どちらかというと直線的で建築的な骨格を持たせるという1つの回答にたどり着いたという。

グリルメッシュはCX-60と同じデザインの縦フィンに統一し、左側にCX-80を表す専用のアクセントが配される

 デザインそのものは奇をてらわずCX-60と同じくシンプルに、美しさの正統を追求。しかしCX-80では、ロングノーズ、ロングキャビンという明らかに3列レイアウトであるという伸びやかな骨格的な豊かさと、余分な要素を削ぎ落とし、優雅さを磨き上げることで、これまでのマツダ車にはないレベルの堂々とした優雅な存在感を表現している。

 また、無垢の金属を削り出したようなジュエリー感があり、リアまで伸びやかに続くサイドウィンドウのブライトモールディングの上側は、できる限り下げずに後方まで引っ張って、ベルトライン(下側)も後方までズバッと突き抜くことで、豊かな空間を演出。また、Dピラーの部分を太く直線的に構成して、3列目の乗員空間の豊かさをさりげなく強調したという。

豊かさの象徴としてブライトモールディングは全グレード標準装備となる。
CX-80ももちろん鼓動デザイン

 さらに、ボディサイドの光の移ろいは、伸びやかにボディいっぱいに躍動し唯一無二の美しさを実現しながら、造形面もしっかりと作り込むことで、高い車格と優雅さをトップレベルで両立しつつ、縦置き後輪駆動ベースの堂々とした骨格の強さと、キャビン空間のリッチさ、また新しい造形のシンプルな強さも表現している。

ホイールはグレーメタリックと切削部分とのコントラストを柔らげ、品格の高さを表現している

 インテリアの1列目はCX-60と同じく、ワイドで縦置き、後輪駆動の頼もしさを感じられる空間に。2列目と3列目はSUVでありながら余裕を持って包み込む豊かな空間とした。ボディカラーは、ブランドを象徴するブランドサポートカラー=匠塗(TAKUMINURI)の「アーチサンレッド」と、新たな価値を創造するニューバリューカラーに「メルティングカッパー」を新採用。CX-60よりも1色多い、計8色を設定するという。

こだわりぬいた「室内空間」と「ボディサイズ」

マツダ株式会社 R&D戦略企画本部 企画設計部 主幹 髙橋達矢氏

 最後は企画設計部 髙橋主幹によるパッケージ説明。髙橋氏によると、「CX-80の提供価値は、“乗員を新しい体験へといざなう高い機能性”で、それを実現するために“室内空間”と“ボディサイズ”という2つの空間設計にこだわった」と紹介。

 1列目シートは、“意のままに運転できる楽しさと安心感が得られる環境”を目指し、「人間中心の設計思想で、リラックスできるドライビングポジション、アクセルやブレーキの適切な配置、必要な情報を容易に確認できる視認性のよさなど、1つ1つの性能を徹底的に磨き上げ、適切なドライビングポジションで疲れにくく、安心・安全に運転を楽しめます」と髙橋氏は説明。

ドライビングを楽しめる1列目シート

 2列目シートは、同乗者がゆとりと心地よさを感じられる環境を目指し、室内の高さをCX-8よりも拡大し、より体格の大きい人でも着座できるようにした。また、小柄な人の使い勝手にもこだわり、身長150cm相当の人でも、フロアに足をつけた楽な姿勢で座れるように、シート直下のフロアを部分的にかさ上げを実施したという。

 さらに、コンソールの大型アームレストやリッド付き収納、後席専用の空調コントロール、開放的な視界と明るさをもたらすパノラマルーフなど、こだわりの機能で快適かつ心地よい空間を実現している。

2列目シートも快適性を重視
2列目シートのディメンション

 3列目シートの空間について髙橋氏は、「高さをCX-8よりも約30mm拡大し、この室内高の拡大により、頭の位置をより高くでき、シートバックにもっと深く腰かけられるようになり、走行中の姿勢が安定するだけでなく、大型化したクォーターウィンドウと2列目の上まで広げたパノラマルーフにより、視界の広さと明るさを確保し、閉塞感や孤立感の少ない快適な環境を実現しました」と解説。

 また、身長170cm相当でもしっかりと座れる広さで、ボトルホルダー兼小物入れ付きアームレスト、USB Type-C電源や風向き調整可能な3列目専用の空調弁などを配置し、人に寄り添う快適装備を搭載している。

3列目シートもゆとりの居住空間
3列目シートのディメンション

 3列目後ろのラゲッジスペースは、日常的な荷物の積載に配慮。床上には大型タイヤを装着したベビーカーやゴルフバッグが積載可能なほか、床下にはタイヤチェーンや洗車アイテムなどを収めるスペースも確保する。加えて、AC100V/150W電源を完備。PHEV(プラグインハイブリッド)モデルはAC1500W電源も荷室に装備した。

CX-80のラゲッジスペース

 ボディサイズは全長5m以下、全幅1.9m以下とし、日常での駐車や運転シーンでの取りまわしに配慮。実際の運転に直接影響する最小回転半径やミラー全幅は可能な限り小さくすることにこだわり、さらに車両サイズ感のつかみにくさを解消してくれる360度ビューモニターやシースルービューも搭載している。最後に髙橋氏は、「移動先を制限することなく、気の向くままにCX-80でお出かけしていただきたいです」と締めくくった。

取りまわしに配慮したボディサイズという