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フィアット、新型EV「600e」発表会 ハイブリッド/マイルドハイブリッドの来春導入も予告

2024年9月10日 発売

フィアット「600e」とStellantisジャパン株式会社 代表取締役社長 打越晋氏(左)、Stellantisグループ フィアット・ブランド チーフデザイナー フランソワ・ルボワンヌ氏(右)

 フィアットは9月10日、新型EV(電気自動車)「600e(セイチェントイー)」を発売した。

 600eはフィアットとして2台目のEVとして導入され、「500e」の“お姉さん”となる位置付けて新たにフィアットファミリーに加わるモデル。54.06kWhのリチウムイオンバッテリを搭載し、WLTCモード一充電航続距離は493kmとしている。価格は585万円。

東京・二子玉川の二子玉川ライズで、9月10日~23日の期間限定イベント「FIAT CIAO 600e FESTA」を開催中。フィアットのフルラインアップ展示をはじめ、フィアットブランドの世界観を楽しめるコンテンツが用意される
新型600e(スカイブルー)
サンセットオレンジ
ホワイト
車両全体に同じピクセルパターンを採用し、かわいらしさや親しみやすさに先進的なデジタル感を付与
撮影車は18インチダイヤモンドカットアルミホイールに、グッドイヤー「EfficientGrip Performance」(215/55R18)を装着
ラゲッジ容量はリアシートを立てている5名乗車時で360L、リアシートをたたんだ2名乗車時で1231Lを確保
リアバンパー付近に足を入れるとトランクゲートが開く「ハンズフリーパサーリフトゲート」をフィアット初採用。トランクゲートに設置されるボタンからも操作可能
ボンネット内。最高出力115kW(156PS)/4070-7500rpm、最大トルク270Nm/500-4060rpmを発生する「ZK02」型モーターをフロントに搭載
充電口。普通充電と急速充電に対応する
インパネ
ステアリング
リアシート
フロントシート
さまざまなところに600のロゴを配置
ルパン三世コラボの500も公開
コラボ専用アイテムを装備

“カワイイ”を継承した600e。広い室内空間に充実の機能や装備

 同日に開催された発表会では、Stellantisジャパン 代表取締役社長 打越晋氏があいさつを実施。「立て続けに日本市場に新型車を導入する予定としておりますが、本日私が皆さまにご紹介したいのは、われわれがこれからたくさん新しいクルマを入れていきますよ、ということではないんです。私が皆さまにご紹介したいのは、今回発表した600eのようなバッテリEVを拡充していきます。それはもちろんのことですが、それに加えてプラグインハイブリッドやマイルドハイブリッド、そしてガソリンエンジンにいたるまで、すべてのパワートレーンを展開していきます。それによって、もともとわれわれStellantisジャパンが持っていた強み、7つのブランドで多様性のあるモデル、それをお客さまのライフスタイル、カーライフに即したかたちでパワートレーンをお選びいただける、言わば選択の喜び、それをより強化していく。これこそがわれわれステランティスの新しい時代の最大の強みだと私は確信しております」と話した。

Stellantisジャパン株式会社 代表取締役社長 打越晋氏

 また、600eについて「16年間愛され続けてきた500の歴史に100、イタリア語では“チェント”を足した名前、セイチェントという名前のクルマが加わります。そのセイチェントというのはいったいどういう意味を持つのでしょう。このセイチェントは、チンクエチェントの最大の魅力である“カワイイ”を引き継ぎながら、チンクエチェントにはないゆったりとした居住性、そしてファミリー、ご家族の方々でも使いやすいラゲッジルームなど、多くの機能、ワクワクを搭載しております。このセイチェントは、未来のStellantisジャパンをリードするクルマ、まさに今日この瞬間から私どもが切り開く新しい時代の力強いステップとなると私は信じております」と紹介した。

 続けて、Stellantisジャパン プロダクトスペシャリスト 児玉英之氏が600eに関する説明を実施。当初は500eのプラットフォームを拡張し、サイズアップをした500の5ドアというコンセプトで開発を開始したが、開発を進めるうちにただ500eをサイズアップするのではなく、新たなコンセプトを打ち出すことに方向転換。500+100をキーコンセプトとして、500の派生モデルとしてではなく、新しいプラットフォームを採用して600eは誕生したという。

Stellantisジャパン株式会社 プロダクトスペシャリスト 児玉英之氏
600eの位置付けは、500のお姉さん
500+100がキーコンセプト

 サイズに関しては、フィアットは日本市場においてこれまでAセグメントに強みを有しており、市場規模の大きいBセグメントに新たに600eを投入することで、多くの人に訴求。ボディサイズは4200×1780×1595mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2560mmと、とりまわしのいいサイズ感を実現。コンパクトなサイズながらラゲッジルーム容量は360L、後部座席を倒すと最大1231Lの収容力を確保しており、多くの荷物を搭載可能としている。

600eの3つのトピック
日本市場のセグメント別登録実績。Bセグメントの市場規模が大きい
600eのサイズ。ラゲッジ容量は他車と比べて優位性があるという

 安全装備に関しては、360度パーキングセンサーやブラインドスポットモニターなどを搭載。さらに、新しくレーンポジションアシスト機能を追加することで、ADASレベル2に対応可能となった。

 そのほかにも、リアバンパー付近に足を入れるとトランクゲートが開く「ハンズフリーパワーリフトゲート」、ドライバーの疲労を軽減するマッサージ機能の「アクティブランバーサポート」、車両周囲1mから遠ざかると自動施錠、車両周囲3m以内に接近すると自動解錠される「キーレスエントリー(プロキシミティセンサー付)」といった新機能が採用された。

4つの新機能を追加

 プラットフォームはダウンサイジングを図り、静粛性を意図して設計されたというCMPと呼ばれるコモンモジュラープラットフォームを採用。バッテリはこれまでの50kWhから54kWhに拡大するとともに、バッテリマネジメントシステムを効率化することで、航続距離を従来の約2割増となる約493km(WLTCモード)を実現した。

600eはこれまで500のガソリンモデルが生産されていたポーランドのティヒ工場で生産される

 ボディカラーはイタリアの太陽をイメージした「サンセットオレンジ」、イタリアの空をイメージした「スカイブルー」と、「ホワイト」の3色を用意。導入グレードは最上級グレードとなる「La Prima」の1グレードのみとなり、65万円のCEV補助金を受けられるとのこと。

 児玉氏は最後に「欧州で発表されているセイチェントのハイブリッド、マイルドハイブリッドのモデルに関しては、2025年春ごろの導入を計画しております」と明かした。

デザインは初代600をオマージュしつつ、現代性を付与

 今回の発表会のために来日しているStellantisグループ フィアット・ブランド チーフデザイナー フランソワ・ルボワンヌ氏がデザインに関するプレゼンテーションを実施。

Stellantisグループ フィアット・ブランド チーフデザイナー フランソワ・ルボワンヌ氏

「時代を超越したデザインの定義においてプロポーションの果たす役割は重要」と述べ、妹モデルとなる500と比べて600eはプロポーションをより強調し、広い室内空間を表現するとともに、より長いキャビン、より長いデイライトオープニングなどが用いられたと説明。さらに、コンパクトさを維持しつつも、短いオーバーハングと丸みを帯びたコーナーで全体のラウンド感を強調。ボンネットはキャビンの大きさとのバランスと美しいプロポーションを保つために長めとし、車体はダイナミズムを高めるためにわずかにウェッジを強めているとした。

 加えて、ホイールとボディの比率を最適化することによって、軽快なバランスと力強いスタンスを実現。クルマをできるだけシンプルにするために、表面をクリーンにし、ホイールアーチを強調したとのこと。

 さらに、「ディティールの1つひとつが初代セイチェントへのオマージュとなっています」と話し、ライトやトランク、ドアハンドルなどのディテールなども、初代のセイチェントを彷彿とさせるものとなっていると紹介した。

 フロントフェイスは500の人懐っこさを反映した表現を目指したといい、特徴的なチークとスマイルはチンクエチェントで採用された“カワイイ”というアプローチを踏襲。大きな目はフロントに現代性をもたらす精密なフラッシュ仕上げとしたほか、フロントグリルやリアランプ、ダイヤモンドカットアルミホイールに同じピクセルパターンを使用することで、新時代を象徴するデザインのデジタル化を表現した。

 インテリアは、「DOLCE VITA」の居住空間を車内に再現するというコンセプトとし、アイボリーのシートにはターコイズブルーの刺繍が施されるとともに、フィアットのロゴパターンをエンボス加工で表現したグラフィックが取り入れられた。また、ステアリングはオリジナルの600を想起させる2本スポークとし、フィアットのデザインを導く本物のシンプルさを表現したと説明した。

ルボワンヌ氏のプレゼンで紹介されたデザインスケッチ
600eはフィアットの新しいボディカラー戦略によって、イタリアの太陽、イタリアの空、イタリアの海、イタリアの大地というイタリアの風土にインスパイアされた4種類のカラーを提案。そのうち、日本へは太陽と空が導入される

 最後にStellantisジャパン ブランドマネージャー 熊崎陽子氏が登場し、コミュニケーション戦略について説明。20代や30代といった若年層の購入意欲が高く、デザインにこだわる人が多いという調査結果から、ターゲット層はデザインにこだわるヤングファミリーとし、フィアットが似合うユーザーが日常を楽しむ場所として選ばれた二子玉川の二子玉川ライズで、9月10日~23日の期間限定イベント「FIAT CIAO 600e FESTA」を開催。「600eの発売をきっかけにさらにファン層を広げ、DOLCE VITA、甘い生活を多くの方に楽しんでいただきたいと考えています」と述べた。

Stellantisジャパン株式会社 ブランドマネージャー 熊崎陽子氏
コミュニケーションターゲット
600eのキャッチコピー「かわいい顔して、しっかりモノ」
フィアット500とルパン三世のコラボレーションも発表された。600eと同じ9月10日に発売された特別仕様車は二子玉川ライズで展示される
コラボレーション用のスペシャルサイトでは、ルパン三世と500、500e、600eのオリジナルストーリーが公開される。それに合わせて描かれたイラストは、後日プレゼントキャンペーンが予定されているとのこと