ニュース

ポルシェ、新型「911 GT3」「911 GT3ツーリングパッケージ」デビュー25周年を記念して初の同時発表

編集部：小林隆

2024年10月21日 13:44

2024年10月19日（現地時間）発表

新型「911 GT3ツーリングパッケージ」（左）と「911 GT3（ヴァイザッハパッケージ装着車）」（右）

　ポルシェAGは10月19日（現地時間）、911 GT3のデビュー25周年を記念して新型「911 GT3」「911 GT3ツーリングパッケージ」を発表した。各モデルの予約受注開始は2024年内を予定し、それぞれで7速PDKおよび6速MTを選択でき、ステアリング位置は左右から選べる。価格はいずれも2814万円。

　新型911 GT3では、リアウイングを備えたサーキット重視の911 GT3とともに、ツーリングパッケージを備えたより控えめなモデルの2つのバージョンが初めて同時にデビューした。

　新型911 GT3はフロントとリアのデザインがシャープになり、エアロダイナミクスも改良を受けた。両バージョンともフロントディフューザーの輪郭変更、スポイラーリップの形状改良、アンダーボディのフィンの改良によってダウンフォースを増加させ、エアフローを最適化した。再設計されたLEDマトリックスヘッドライト（ホワイトアクセントリングをオプション装備）は、911のすべてのライト機能を兼ね備えており、フロントエプロンに追加のライトが不要になった。これによりエアインレットエリアが拡大したという。リアまわりではディフューザー、エアインレット、リアリッドのデザインを変更し、911 GT3のリアウイングには角度のついた新しいサイドプレートが装備された。

　また、ダブルウィッシュボーンのフロントアクスルにはエアロダイナミクスに優れた専用開発のティアドロップ型トレーリングアームを採用し、高速走行時にホイールアーチのダウンフォース増加とブレーキ冷却の改善に寄与。高速からのブレーキング時でもフロントアクスルとリアアクスルのダウンフォースバランスが保たれるようにピッチング（アンチダイブ）を低減した。新型911 GT3では、これを実現するためにロアトレーリングアームのフロントボールジョイントがフロントアクスルのより低い位置に設定されているという。911 GT3には、ウェットグリップが向上した255/35ZR20（フロント）と315/30ZR21（リア）のスポーツタイヤが標準装備され、オプションで公道走行が可能なサーキット用タイヤも用意する。

　新型911 GT3では軽量設計に徹底的にこだわったといい、シルバーカラーの新型軽量アルミニウムホイールはバネ下重量を先代モデルより1.5kg以上軽減。「ヴァイザッハパッケージ」または「ライトウェイトパッケージ」ではマグネシウムホイールもオプションとして用意されており、9kgの軽量化に寄与する。また、新しい40Ahのリチウムイオン軽量バッテリはさらに約4kgの軽量化をもたらすという。

　今回初めて設定されたヴァイザッハパッケージでは、911 GT3をサーキットで使用するためにさらに個性的な構成が可能になった。リアアクスルのアンチロールバー、カップリングロッド、シアパネルはルーフ、リアウイングのサイドプレート、エクステリアミラートップシェル、ミラートライアングル、フロントエリアのエアブレードと同様にCFRP製になり、さらにレザーとRace-Texのトリムがインテリアを視覚的に向上。911 GT3のダッシュボード上面は初めて反射防止のRace-Texで覆われ、CFRP製ドアハンドルと収納ネットによって軽量化した。

　また、ライトウェイトパッケージではルーフがエクステリアカラーと同色に塗装され、スタビライザー、カップリングロッド、リアアクスルのシアパネルがCFRP製になる。マグネシウム軽量鍛造ホイールと軽量ドアパネルもパッケージの一部とした。標準装備の6速GTスポーツギヤボックスとの組み合わせでは911 S/Tの短縮ギヤレバーが使用され、ギヤレバーの前の“Leichtbau”と刻まれたプレートがパッケージを装着していることを示す。

911 GT3（ヴァイザッハパッケージ装着車）

911 GT3（ヴァイザッハパッケージ装着車）ではリアアクスルのアンチロールバー、カップリングロッド、シアパネルがルーフ、リアウイングのサイドプレート、エクステリアミラートップシェル、ミラートライアングル、フロントエリアのエアブレードと同様にCFRP製になる

　新型911 GT3の4.0リッター自然吸気エンジンは、現在の非常に厳しい排気ガス基準に合わせて設計されており、2つのパティキュレートフィルターと4つの触媒コンバーターを装備した。またシリンダーヘッドが改良され、911 GT3 RS譲りのシャープなカムシャフトは高回転域でさらにダイナミックなパフォーマンスを発揮するほか、流量を最適化した各スロットルバルブと最適化されたオイルクーラーも採用。水平対向エンジンは375kW（510PS）の出力を継続した。また、7速PDKと6速GTマニュアルトランスミッションの最終減速比は先代モデルよりも8％短縮され、どちらのトランスミッションも911 GT3と911 GT3ツーリングパッケージで選択可能とした。PDK仕様車の0-100km/h加速は3.4秒で、最高速は311km/h（MT仕様は3.9秒、313km/h）。

　一方、911 GT3ツーリングパッケージについて、「ツーリングパッケージ」という名称は1973年の911カレラRS 2.7の装備バージョンまでさかのぼり、2017年からは911 GT3の仕様として登場。新型911 GT3ツーリングパッケージではリアリッドグリルに“911 GT3 touring”ロゴが入るとともに、固定式リアウイングを廃止。ティアオフエッジを備えた伸長式リアスポイラー、有名なガーニーフラップ、アンダーボディに適応されたフィンデザインがエアロダイナミクスバランスを保つという。

　インテリアでは上質なレザーインテリアがクラシックでスポーティな雰囲気を与え、911 GT3ツーリングパッケージにリアシートが初めてオプションとして用意された。これにより日常的な使用が可能なスポーツカーとして最高のドライビングプレジャーを楽しむことができるという。