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日産、2024年度上期決算説明会 売上高5兆9842億円、営業利益329億円の減収減益 生産能力20%減や9000人削減など計画
2024年11月7日 21:33
- 2024年11月7日 実施
日産自動車は11月7日、2024年度上期(2024年4月1日~9月30日)の決算を発表し、オンラインで決算説明会を実施した。
2024年度上期の売上高は前年同期(6兆633億円)から1.3%減となる5兆9842億円、営業利益は前年同期(3367億円)から90.2%減の329億円、営業利益率は0.5%、当期純利益は前年同期(2962億円)から93.5%減の192億円。また、グローバル販売台数は前年同期(162万2000台)から1.6%減の159万6000台だった。
今回の決算内容について内田誠社長は、中国の現地メーカーの新エネルギー車が急速に拡大していること、中国メーカーの輸出が増え、東南アジアや中東、中南米などでシェアを奪われていること、加えて北米で需要が増大しているHEV/PHEVモデルをラインアップしてないことなど、市場環境の変化を挙げた。
さらに、販売計画を達成できていないうえに固定費の増加、在庫削減や競争環境に対応するためのインセンティブの増加などが収益圧迫したほか、アメリカ市場ではニーズ満たす商品をタイムリーに提供できていない、コスト競争力とブランド力に課題があるなど、「これらはすべて日産固有の問題であると認識している」と説明。
これらが要因した減収減益により株主への中間配当は見送られ、経営責任として、内田社長は自身の報酬を50%返上するほか、経営陣も同様に自主返上を行なう予定と明言した。
一方、現状を打破するための取り組みも説明。今年3月に、新型車の投入や電動化の推進、開発・生産方式の革新、新技術の採用や戦略的パートナーシップなどで構成される新経営計画「The Arc」については、「市場環境変化の速さを踏まえると計画の一部を見直さざるを得ない」と言及。大きな枠組みの目標としては、「ビジネス環境の変化に機敏に対応できる、スリムで迅速、強靭な事業構造へと再構築すること」とし、事業のコアである商品力を高め、再び会社を成長軌道に戻すと説明。
具体的には、年間350万台の販売でも株主還元や将来の成長への投資が継続的にできる門構えと収益構造への改革。同時に、ルノー、三菱自動車、ホンダとの戦略的パートナーシップの推進により、投資効率と商品競争力を高め、持続的に成長させることを目指すとした。加えて、組織や役員など経営体制も見直し、迅速な意思決定を可能にすることを目指し、12月1日には販売と収益に責任を持つ「チーフパフォーマンスオフィサー」を任命するほか、2025年1月と4月に経営体制を変更する予定であると明かした。
また、健全なレベルのキャッシュフローを維持しながら収益性を向上させるために内田社長は、グローバル生産能力の20%削減、グローバル人員数の9000人削減、販売管理費の削減、製造原価の削減、会社資産の合理化、設備投資と研究開発費用の優先度を見直しなどを挙げ、「固定費3000億円、変動費1000億円の削減を目指す」とし、中国への新エネルギー車の投入、米国へのPHEVおよびe-POWER投入の加速、車種当たりの販売台数の増加を目指すと同時に、開発期間(市場投入期間)を30か月へと短縮させるなど市場機会を最大限に生かすため、「The Arc」の取り組みをさらに加速させるとした。
生産能力の20%削減については、日産自動車 取締役 執行役副社長 チーフモノづくりオフィサーの坂本秀行氏によると、中国での生産調整とグローバルでの生産調整は分けて考えていて、グローバルでは全25ある生産ラインについてオペレーション上のMAX生産能力を20%低減させることを計画。具体的には生産ラインのスピードを変化させたり、人員のシフトパターンを変えることで、オペレーションの人員効率を上げるという。
また、老朽化した生産ラインと新しい生産ラインの両方を持っている工場については、新しい生産ラインへ統合して効率を高めるほか、インテリジェントファクトリーの部分的な技術を活用して人員効率を高めているといい、「どこかの拠点で大規模にではなく、各マーケットの状況に応じてこれらの施策を適合させながら、固定人員の削減を行なっていく」と説明した。
なお、同日に三菱自動車の株式の一部を売却したことについて内田社長は、「あくまで三菱自動車の経営計画をサポートするため」と説明し、自社の経営悪化に起因していることは否定した。また、アメリカでトランプ氏が大統領に再選したことについては、「日産だけでなく他社も影響を危惧していると思うが、日産はメキシコからアメリカへ年間30万台近くを輸出しているので、今後の動向を注視している」と説明した。