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小林可夢偉、ケータハムF1チームと2014年のF1参戦契約を締結、F1復帰へ

グッドスマイルカンパニーは引き続きスポンサーを継続

小林可夢偉選手(「グッドスマイルレーシング カートグランプリ」参加時撮影)
2014年1月21日発表(現地時間)

 2009年の終盤にトヨタF1チームで、2010年~2012年にはザウバーF1チームでF1を戦い、2012年に鈴鹿サーキットで行われた日本GPで3位表彰台を獲得する活躍を見せた小林可夢偉選手が、2014年のF1シーズンをケータハムF1チームからレースドライバーとして参戦することが明らかになった。ケータハムF1チームの発表によれば、同チームは小林可夢偉選手と、スウェーデンのマーカス・エリクソン選手の2人と契約し、両ドライバーは2014年のF1シーズンに同チームより参戦することになる。

 2013年にF1シートを失っていた小林可夢偉選手は、フェラーリF1チームを運営するスクーデリア・フェラーリと契約し、フェラーリが走らせるWEC(世界耐久選手権)のGTE Proクラスを1年間走っていたが、3月14日~16日に開催される開幕戦オーストラリアGPで1年ぶりにF1シーンに戻ってくることになる。

1年間の空白後F1シーンへ戻ってくる小林可夢偉、2014年シーズンはルール改定で下克上のチャンスも?

 ケータハムF1チームの発表は、2014年の同チームのレースドライバーとして小林可夢偉選手、マーカス・エリクソン選手の2人と契約し、テスト・リザーブドライバーとしてロビン・フラインス選手、アレクサンダー・ロッシ選手の2人と契約したというもの。ケータハム以外のチームはすでにドライバーラインアップを発表しており、残る2つのシートがこのケータハムとなっていたが、今回の発表により2014年のF1レースシートはすべて埋まったことになる。

チームエンジンドライバー
レッドブルルノーセバスチャン・ベッテル/ダニエル・リカルド
メルセデスメルセデスルイス・ハミルトン/ニコ・ロズベルグ
フェラーリフェラーリフェルナンド・アロンソ/キミ・ライコネン
ロータスルノーロマン・グロージャン/パストール・マルドナード
マクラーレンメルセデスジェンソン・バトン/ケビン・マグネッセン
フォースインディアメルセデスニコ・ヒュルケンブルグ/セルジオ・ペレス
ザウバーフェラーリエイドリアン・スーティル/エステバン・グティエレス
トロロッソルノージャン・エリック・ベルニュ/ダニエル・クビアト
ウィリアムズメルセデスフェリペ・マッサ/バルテリ・ボッタス
マルシアフェラーリジュール・ビアンキ/マックス・チルトン
ケータハムルノー小林可夢偉/マーカス・エリクソン

 小林選手は、2010~2012年にザウバーF1チームでF1にフル参戦し、予選では2012年ベルギーGPでの2位、決勝では2012年日本GPでの3位表彰台というのが最上位成績。2012年にはそれまでで最もよい結果を残したものの、ザウバーF1チームの財政難などを理由にシートを失い、2013年はフェラーリF1チームを運営するスクーデリア・フェラーリと契約し、WEC GTE Proクラスのフェラーリワークス車を走らすAFコルセからWECに出場していた。2012年末に小林選手は、ファンからの寄付を募り、それをF1シート獲得につなげる活動を行っていたが、2013年のシート獲得は敵わず、2014年シート獲得に目的を絞って活動を続けてきたが、今回のシート獲得はそれが実った結果となる。

 小林選手がシートを獲得したケータハムは、2010年にマレーシアのLCC(格安航空会社)AirAsiaを経営するトニー・フェルナンデス氏が設立したF1チームで、2012年に同氏が買収した自動車メーカー“ケータハム”のブランドを冠するF1チームとして運営されている。2010年~2012年まではコンストラクターズ選手権(F1のシャシー製造者部門)で10位を占めていたが、2013年はロシアのマルシアに敗れて11位と最下位になってしまった。ただし、これは2014年にルールが大幅改訂(エネルギー回生の仕組みが導入されるなどエンジン規定が大幅に変わること)されることに合わせて、2012年車を改良して2013年を戦ったことが最大要因で、チームの総合力としてはある程度の能力があると見られている。

 ケータハムでは、早々に2013年型の開発を諦め、2014年型車の開発にリソースを投入してきたという背景もあり、2014年の車に関しては昨年よりも戦闘力がある可能性が高い。さらにエンジン規定が大幅に変わるため、ルノー、フェラーリ、メルセデスという3社のどのエンジンがもっとも性能が高いのかまったく見えておらず、規定改訂初年度にはどこかが飛び抜けてよい可能性もある。ケータハムは、レッドブルやロータスと同じルノーエンジンを積むことになっており、ルノーエンジンの戦闘力次第では、ケータハムが上位に来るような“下克上”を起こす可能性は大いにある状況だ。

 F1チームは、1月28日~31日の予定でスペインのヘレスサーキットで行われるテストから正式に2014年型車を走らせる予定になっており、そのテストである程度の戦力構図が見えてくる。ケータハムも、そのヘレスで新型車を発表する予定で、そこでのパフォーマンスがどの程度なのか、要注目と言えるだろう。

 なお、2010年から小林可夢偉選手をスポンサードしてきたグッドスマイルカンパニーは、2014年度も契約を継続。小林選手は下記のコメントを発表している。

小林可夢偉選手コメント

 再びF1のレースドライバーに戻ることができ、すごく嬉しいです。ケータハムF1チームと一緒に戦えることを非常に楽しみにしています。チームが僕のこれまでのレースの実績と経験を評価して起用してくれたことを光栄に感じていますし、こうして発表ができて嬉しいです。僕のこれまでの経験とすべての力を使ってチームを牽引して目標を達成できるように頑張ります。

 また、グッドスマイルカンパニーさんには引き続きご支援いただき、誠に感謝いたします。グッドスマイルカンパニーさんはもちろん、ファンのみなさんにも喜んでもらえるように、全力でレースに臨みたいと思います。

 みなさまの応援、どうかよろしくお願いいたします。

(笠原一輝)