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住友ゴム工業、日本での販売強化を図る新生「ファルケン」ブランド発表会
「欧米で鍛えられたファルケンを満を持して日本で展開する」と山本取締役常務執行役員
(2015/7/23 00:00)
- 2015年7月22日開催
住友ゴム工業は7月22日、同社のタイヤブランド「FALKEN(ファルケン)」の日本国内における展開についての発表会を都内で開催した。
これまで同社はDUNLOP(ダンロップ)、FALKEN、GOODYEAR(グッドイヤー)の3ブランドを展開してきたが、6月に米グッドイヤーとグローバル・アライアンスの解消を発表している。
ファルケンに関しては1983年に創立され、モータースポーツで活躍する高性能タイヤブランドとして欧州を中心に認知されているブランド。これまでも日本市場で展開していたが、「新生ファルケン」として改めて日本市場に力を入れていくことが今回アナウンスされた。
満を持して日本での展開をスタートさせる
発表会ではまず、住友ゴム工業 取締役常務執行役員 タイヤ国内リプレイス営業本部長の山本悟氏が登壇。山本氏はまず近年の日本市場での動向について振り返り、「ここ数年はダンロップブランドの価値向上に注力してきた。特に2010年に導入されたタイヤラベリング制度にしっかり対応するべく、ダンロップ商品で他社に先駆け低燃費タイヤのラインアップをいち早く整え、低燃費タイヤの普及促進に積極的に取り組んできた」と説明。
一方、ダンロップブランドに注力してきた間、ファルケンブランドは欧米を中心にグローバルブランドとして販売網を伸ばしてきたといい、「欧州市場で要求される、高い機能と品質を有する商品ラインアップを整えて、品質基準の厳しい欧州車メーカーへの新車用タイヤの納入、ヨーロッパ最大の自動車連盟『ADAC(ドイツ自動車連盟)』での高い性能評価など、海外で磨かれて着実に実績を積み上げてきている」と評価。
また、今年行われたニュルブルクリンク24時間耐久レースでは、サポートしているFALKEN Motorsportsチームの「ポルシェ 911 GT3 R」(SP9 GT3クラス)が総合3位に入賞したことにも触れ、「この成績はサーキットという過酷なフィールドを開発の現場として捉え、ファルケンタイヤの開発力を磨き、技術力を鍛えてきた結果だと思っている」と述べるとともに、「こうして欧米市場で鍛えてきたファルケンを8月に日本にも上陸させ、満を持して日本での展開をスタートさせる」と力強く宣言した。
欧米をはじめ日本、中国、インドなどで積極的な活動を展開
次に登壇した住友ゴム工業 執行役員 経営企画部長の青井孝典氏からは、ファルケンブランドの海外展開について紹介された。
先に述べたとおり、ファルケンブランドは1983年に設立され、1990年に米国にFALKEN TIRE CORPORATIONを、2010年に欧州にFALKEN TIRE EUROPEを、2012年にインドにFALKEN TIRE INDIAを設立するなど米国を皮切りに欧州、インド、中国/豪州でファルケンタイヤの販売を拡充するとともに、グローバルブランドとして販路を形成。
各市場における実績の紹介も行われ、まず欧州市場については「欧州では雑誌社が独自にタイヤ評価を行い、その評価結果が消費者の購買に大きな影響を与えている。このような環境のなか、ADACやAuto Bild誌でファルケンタイヤが高い評価を得ることができた」「品質評価の厳しいフォルクスワーゲンに新車用タイヤの納入を開始し、up!、ポロ、パサートで採用されている。今後も積極的に欧州自動車メーカーへの納入を拡大していく」と説明。また、米国市場ではクライスラー「ジープ コンパス」「ジープ パトリオット」で新車用タイヤの納入を実施するとともに、チュードル・ユナイテッド・スポーツカー・チャンピオンシップや4×4レースなどに参戦してタイヤ性能のアピールを行っているという。
これらの紹介に加え、ファルケンブランドを住友ゴム工業のグローバルブランドとして全世界で販売を拡大するとし、「(住友ゴム工業における)2014年の本数構成比が20%だったところ、2020年までに30%に引き上げる目標を掲げている」(青井氏)とアナウンスするとともに、「そのために欧米はもちろん日本、中国、インドなど各地域で積極的な活動を展開していきたい」と抱負が語られた。
その展開を加速するべく、全世界で統一のブランドステートメント「FALKEN ON THE PULSE」を新たに掲げた。このメッセージにはファルケンの躍動感などが込められており、青井氏からは「今後はこのメッセージを基本に、商品やサービスを提供し、ファルケンの世界観を感じていただけると同時に、若々しくエネルギッシュなブランドとして育てていく。今後のファルケンの活動に期待していただきたい」と説明が行われた。
日本に導入するタイヤ
最後に登壇した住友ゴム工業 タイヤ国内リプレイス営業本部 ファルケンタイヤ消費財部長の鈴木敬三氏からは、国内でのファルケンブランドの展開について説明が行われた。
「欧米で高い評価を得ているファルケン。そのファルケンブランドをいよいよ日本でも本格的に展開するときがきた」と述べる鈴木氏からは、日本でさらにファルケンに注力するため7月1日付けで「ファルケンタイヤ消費財部」を新設したことを紹介。
そして今後の商品展開、営業展開、販促プロモーションなどについての説明が行われ、ファルケンタイヤには欧州車などに向けた20インチ以上のサイズをラインアップするハイパフォーマンスタイヤ、突然の雪にも対応できるオールシーズンタイヤなどがあり、これらを日本にも導入するという。アメリカで人気を博している4×4タイヤもあるが、こちらは導入の検討段階としている。
具体的には、まず20インチ以上を計20サイズ設定する「AZENIS FK453」シリーズは、アウトバーンなどで鍛えられたファルケンのフラグシップモデルで、高い操縦安定性能やドライ・ウェット性能に加え、静粛性などすべての面で高い性能を発揮するという。同シリーズには「AZENIS FK453」のほか、SUV用「AZENIS FK453CC」、ランフラットタイヤの「AZENIS FK453RUNFLAT」も用意されている。
また、オールシーズンタイヤとしては「EUROWINTER HS449」を導入。オールシーズンタイヤには「突然の雪にも対応できる」「ドライ、ウェット路面で高い操縦安定性能を実現する」「スタッドレスタイヤへの交換の手間の削減」という3つのメリットがあるといい、「まだ日本ではなじみの薄いカテゴリーではあるが、ファルケンブランドでは率先して販売する」と鈴木氏から意気込みが語られるとともに、ウェット性能と低燃費性能をバランスさせた新スタンダードタイヤ「SINCERA SN832i」を8月に導入することが紹介された。