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アウディ、「アウディバーチャルコックピット」全車採用の新型「TT」「TTS」発表会

286PS/380Nmの「TTS」は0-100km/h加速4.7秒、最高速250km/hを実現

2015年8月20日開催

 アウディ ジャパンは8月20日、コンパクトスポーツカー「TT クーペ」「TT ロードスター」「TTS クーペ」をフルモデルチェンジして発売。都内で記者発表会を開催した。3代目となる「TT」「TTS」の価格は542万円~768万円。このほかのバリエーションや装備などの詳細については関連記事(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20150820_717073.html)を参照していただきたい。

TT クーペ 2.0TFSI クワトロ
TTS クーペ 2.0 TFSI クワトロ
TT ロードスター 2.0TFSI クワトロ

ドライバーとクルマの関係性を大きく変える「アウディバーチャルコックピット」

TT ロードスター 2.0TFSI クワトロ(左)とTTS クーペ 2.0 TFSI クワトロ(右)の2台を並べた会場で発表会を実施
アウディ ジャパン 代表取締役社長 大喜多寛氏

 記者発表会でアウディ ジャパン 代表取締役社長の大喜多寛氏は、「アウディ TTは、“デザインアイコン”としての第1世代、“スポーツアイコン”としての第2世代を終え、世界で累計50万台という販売実績を積み重ねています。多くのファンに愛されてきた“アウディのアイコンモデル”と言うにふさわしいクルマです」と歴代TTシリーズについて紹介。8年ぶりのニューモデルとして日本市場に導入されることになる3代目の新型TTシリーズについては「本当に進化を遂げて、我々が“プログレッシブアイコン”と名付けているこのモデルは、アウディのテクノロジーのショーケースとしてふさわしいクルマになったと自信を持っています」と語り、「デザイン」「スポーティモデルとしての性能」「ハイテクノロジーエクスペリエンス」という3点で大きな革新を果たしていると解説した。

「デザイン」では、先代になる2代目TTと比較して全長、全幅ともに10mm縮小。大きなスポーツカーが増えていくなかで、アウディは原点回帰を目指したと紹介。衝撃的なデビューを飾った初代TTに近いプロポーションを維持しつつ、現代的なデザインのコンセプトを織り交ぜて洗練度を高めた。このほかに外観では、アウディのメーカーロゴである“フォーリングス”を先代までのグリル内からボンネット上に移動。ミッドシップスポーツモデルである「R8」シリーズとの共通性を持たせ、スポーティモデルとしての印象を強調している。また、ヘッドライトに与えられた縦方向のラインは、ル・マン24時間レースに参戦している「Audi R18 e-tron quattro」のイメージを受け継ぐもの。これらにより、TTを「純度の高いスポーティモデル」として位置づけているとのこと。

「スポーティモデルとしての性能」では、先代から採用しているアルミボディー技術「ASF(アウディ スペース フレーム)」を継続使用しながらさらに磨きをかけ、必要な強度や重量バランスを考慮しながらさまざまな材料を採用。ボディーフレームの上側にアルミ複合構造を使うことで、車両の重心を10mm低下させている。また、全体で数十kgを軽量化しつつ、ねじり剛性は23%向上しているという。

 パワートレーンは直列4気筒DOHC 2.0リッター直噴のTFSIターボと6速DCTの6速Sトロニックを全車で採用。TTS クーペでは最高出力は210kW(286PS)/5300-6200rpm、最大トルクは380Nm(38.8kgm)/1800-5200rpmの高性能バージョンとなり、それ以外のモデルでは最高出力169kW(230PS)/4500-6200rpm、最大トルク370Nm(37.7kgm)/1600-4300rpmを発生する。駆動方式に4WDのクワトロを採用するTTS クーペでは、0-100km/h加速4.7秒、最高速250km/hを実現。その一方で、TTS クーペのJC08モード燃費は14.9km/Lとなっており、速さと低燃費を兼ね備える高効率さを誇っている。

「ハイテクノロジーエクスペリエンス」は、大喜多氏が「新型TTのハイライト」と語る部分となっており、「シンプルかつ上質なコックピットは、ドライバーとクルマの関係性を大きく変える、濃密で直感的な体験をお約束します」とコメント。そのキーになる技術が、高解像度の12.3インチデジタル液晶ディスプレイを中心とする「アウディバーチャルコックピット」であると紹介した。

新型TTの詳細について解説する大喜多氏
大喜多氏がハイライトの技術として紹介した「アウディバーチャルコックピット」。高解像度12.3インチデジタル液晶ディスプレイにカーナビのほか、多彩な情報を表示可能
操作はセンターコンソールのコマンドダイヤルとタッチパッドなどに集約し、直感的に扱えるようになっている
2代目に続いてASFを使うボディーでは、軽量化に加えて重量配分なども最適化。車両の重心を10mm低下させているという
クワトロテクノロジーは多板クラッチの第5世代に進化しており、車両状況を多数のセンサーで感知して最適な駆動力配分を実施。安全性を確保しつつ駆動力をしっかりと路面に伝える

「アウディバーチャルコックピット」はメーターパネル全面が液晶ディスプレイで構成されており、これまで車内で別々に存在していたメーターパネルとカーナビ画面、オーディオヘッドユニットなどを統合。ステアリングの先にある液晶ディスプレイの表示内容を切り替えながら確認、操作が可能となっており、操作系もシフトセレクター後方のコマンドダイヤルとタッチパッド、ステアリングスポーク上のボタンとダイヤル、音声認識などに集約して、運転中などでもスムーズに操作できるようになっている。これに加え、エアコンの操作についても「ジェットエンジンを想起させる」というエアベント部分に表示部と操作ダイヤルなどを集約。センターコンソールからカーナビやオーディオヘッドユニットの表示画面、エアコンの操作パネルがなくなってシンプルなインパネデザインとなり「このバーチャルコックピットの採用により、新型TTはマン マシン インターフェイスのまったく新しいページを切り拓いたと確信しています」と大喜多氏はアピールしている。

 このほか、「A8」シリーズ、「A6」シリーズに続いて25個のLEDでハイビームを構成する「マトリクスLEDヘッドライト」をTTS クーペに標準装備し、それ以外のモデルにオプション設定。ヘッドライトではLEDウインカーの点灯が中央側から両サイドに向けて伸びていく「ダイナミックインジケーター」、LEDリアコンビネーションランプを全車に標準装備している。

 販売目標は3000台/年としており、大喜多氏は「アウディは“技術による先進”を企業コンセプトにしており、たゆまなく技術を開発して商品に投入していくというチャレンジをしてきました。TTに装備されたあと、ほかのモデルでもスタンダードになった装備はたくさんあります。つまりTTとは、一歩先にあるアウディの未来をいち早く体感できるショーケースであると我々は位置づけています。この進化し続けるブランドアイコンであるTTを、自信を持って日本市場に導入していけると思っています」と語っている。

独アウディのデザイナーであるダニー・ガーランド氏

 このほか、新型TTのデザインについて、独アウディのデザイナーであるダニー・ガーランド氏がビデオ出演して解説を実施。初代、2代目といった歴代モデルとも比較しつつ、ニューモデルに与えたデザインの革新について紹介を行った。

初代TTのデザインは、円をベースにしつつ、それぞれの円が融合していくという解釈で構成
水平方向の力を強調したという初代TT
2代目TTでは縦方向の力を強調し、柔らかくエレガントなデザインを採用
3代目TTでは、もっと速さを感じさせるデザインを目指したという。初代TTのような水平方向を意識しつつ、力強さを表現。ショルダーラインでスピード感を生み出している
歴代モデルで受け継いでいるホイールアーチは「光をキャッチする小さな面」を作ることで工学的に目立つように工夫している
ホイールアーチがボディーと交差することでアクセントになっている
アウディがデザインの黄金律とするキャビン1に対してボディー2の比率を採用
アウディバーチャルコックピット
通常のメーターパネルのようにタコメーターとスピードメーターを両サイドに大きく表示するほか、地図表示を広げてメーター類を小さくレイアウトすることも可能。上下にエンジンやパーキングブレーキ、シートベルトなどの警告灯も表示しており、インパネにはほかの表示画面がないことも大きな特徴
このほかにアウディバーチャルコックピットでは、アウディドライブセレクトやステアリングボタンなどの設定変更、車両の現状確認やオーディオの設定選択なども可能になっている
「マトリクスLEDヘッドライト」を標準装備するTTS クーペ以外のモデルでも、ヘッドライトにはLEDを採用
縦に2本並ぶライトは「Audi R18 e-tron quattro」をイメージさせるエッセンス
ヘッドライト下側にレイアウトするLEDウインカーは、中央側から両サイドに向けて点灯が伸びていく「ダイナミックインジケーター」
LEDのリアコンビネーションランプにも縦のラインを使って車両の前後でイメージを統一
車両右側に設置したアルミ調フィラーキャップは初代から受け継いできているデザインアイデンティティ
マフラーエンドはTT クーペとTT ロードスターは左右2本出し(左)、TTS クーペは2×2の4本出し(右)となる
TTS クーペのルーフ後方にあるシャークフィンアンテナ
TT クーペ 2.0TFSI クワトロの展示車は、オプションの鍛造19インチホイール(タイヤサイズは245/35 R19)を装着。標準装備のタイヤサイズは245/40 R18
TTS クーペ 2.0 TFSI クワトロのタイヤサイズは245/40 R18。サスペンションはアウディ マグネティックライドが標準装備となる
TTS クーペのラゲッジスペース。2人掛けのリアシートは左右分割可倒に対応し、通常時の容量は305L
TT ロードスターのトランク。容量は280L
電動式のリアスポイラーは全車に標準装備。センターコンソールのプッシュボタンで手動操作できるほか、速度が120km/hになると自動的にリフトアップ
TT ロードスターのソフトトップはブラックのほか、2016年以降にベージュとグレーの2色が追加される予定となっている
ガラス製のリアスクリーンには熱線が入っている
ソフトトップの格納状態
ソフトトップの操作スイッチはセンターコンソールに設定
ソフトトップのロックは中央に1個所。ロックの手動操作は不要
TT クーペとTT ロードスターに搭載される「CHH」型の直列4気筒DOHC 2.0リッター直噴ターボエンジン。最高出力169kW(230PS)/4500-6200rpm、最大トルク370Nm(37.7kgm)/1600-4300rpmを発生
TTS クーペで採用される「CJX」型の直列4気筒DOHC 2.0リッター直噴ターボエンジン。最高出力は210kW(286PS)/5300-6200rpm、最大トルクは380Nm(38.8kgm)/1800-5200rpmを発生
TT ロードスターのインテリア
TTS クーペのステアリングはステッチが白になり、下側のスポークに専用バッヂを設定。本革巻きでパドルシフトを備える点などは全車共通
パドルシフトは右手側がシフトアップ、左手側がシフトダウンの設定となる
トランスミッションは全車6速DCTの6速Sトロニック。パーキングブレーキは全車「EPB(エレクトロメカニカル パーキングブレーキ)」
「ジェットエンジンを想起させる」という丸形のフルオートエアコン。中央のダイヤルに表示部と操作部を集約している
センターコンソールに設置したコマンドダイヤルは上部がタッチパッドになっており、周囲のボタンとの組み合わせでカーナビやハンズフリーフォンなどさまざまな装備を操れる
シフトセレクター前方に、「アウディドライブセレクト」のモードセレクトや電動式リアスポイラーの操作スイッチのほか、撮影車両にオプション装着された「アウディパーキングアシスト」などのスイッチがレイアウトされている
TTS クーペのドアトリム
全車2ペダルの6速Sトロニックを採用し、EPBのため運転席足下にはアクセルとブレーキ、フットレストを配置する
インパネとドアトリムで隠れる位置にもTTのロゴをデボス加工でデザイン
TT クーペとTT ロードスターのシート表皮はエフェクトクロスが標準だが、展示車両のTT ロードスターはオプションのファインナッパレザーに変更されていた。シートカラーはパロミノブラウン
TTS クーペはアルカンターラ表皮のSスポーツシートを標準装備。シートカラーはローターグレー
TTS クーペのリアシート
歴代TT(左から初代、3代目、2代目)の展示
初代TT
2代目TT

(編集部:佐久間 秀)