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トヨタ紡織、「人とくるまのテクノロジー展2025横浜」でリサイクル推進素材や快適シートの提案

2025年5月21日~23日 開催
入場無料(登録制)
モノマテリアルカバーシート

 神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で、自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展 2025 YOKOHAMA」が5月21日~23日の会期で行なわれている。入場料は無料(登録制)。

 展示ホール・180のトヨタ紡織は、リサイクルを推進するための素材の提案や、シートの設計に関することなどについて展示。

 リサイクルを推進するための提案では、モノマテリアル化を実現した「モノマテリアルカバーシート」と「モノマテリアルドアトリム」を初出品した。材料の統一により、解体してからのリサイクル性が向上することを狙ったもの。

モノマテリアルカバーシートの表面

 モノマテリアルカバーシートは、シート表面のPVCの表皮と内部のウレタン部分を一体化して作成する。表皮(カバー)は成形で作るため自由なテクスチャー表現が可能で、屈曲性にすぐれた凸凹パターンを作成できる。単一素材のため、リサイクル時に素材ごとの分別をする必要がなくリサイクル性が向上する。

 モノマテリアルドアトリムは、ドアの内側などの内装を単一の素材で作成する。これまで硬い部分とやわらかい部分などは別な素材を使っていたため、リサイクル時には分ける必要がある。しかし、実際には分解して分ける手間とリサイクル素材の売却益の採算がとれないため、燃やして熱として使うサーマルリサイクルとすることが多かった。

モノマテリアルドアトリム。場所によって質感の異なる仕上げにする必要がるが、単一素材で構成するところが難しいという
モノマテリアルドアトリムは、このまま分解せずにリサイクルへと進めることができる

 それを単一素材にすることで、まとめてリサイクルへと進めることができる。材料統一の範囲は、表皮などだけでなく、ドアトリムをドアに固定するクリップなどを含めて統一がなされ、ドアからトリムをはがせばパワーウィンドウのスイッチなど金属が含まれるものを外すことでそのままリサイクルへと回すことができる。

 また、シートでは快適性と空調の省エネルギー化を両立した「サーマルコンフォートシート」を展示した。WORMとCOOLの2つの部屋を用意するが、これは室温の違いで、それぞれに同じシートを設置し、暑いとき、寒いときのそれぞれの効果を体感できる。

サーマルコンフォートシートの展示では2つの温度設定の部屋で効果を試すことができる
シートにはベンチレーションや首元の送風、空気袋による指圧などの機能があり、これらを組み合わせて効率的な空調を目指す

 シートにはベンチレーションや首元への送風、ヒーター機能があるほか、通常はマッサージやサポートの調整に使う空気袋を使い、体を浮かせて人体とシートの間の空気の通り道を確保し、ベンチレーションやシートヒーターの効果を最大化する仕組みも備えている。これらの機能を組み合わせることで、快適さを確保しながら空調の利用を抑え、省エネルギーに貢献するとしている。

 このほか、シートアレンジや調整機構の多くなったシートを開発する際、シミュレーションを組み合わせることで、途中の試作工程を大幅に削除するモデルベース開発の展示を行なうとともに、水素をエネルギーとしたものの展示、リサイクルしても特性が落ちないバイオポリマーの展示などもしている。

シートのモデルベース開発
水素をエネルギーとした活用の展示
リサイクルしても機能特性が落ちないバイオポリマー