人とくるまのテクノロジー展 2023

トヨタ紡織、都市型ライドシェアモビリティ用最上位シートなど心地よさを追求するシート展示

2023年5月24日~26日 開催

入場無料

トヨタ紡織が出展した都市型ライドシェアモビリティのための車室空間「MX221」用コンセプトシート「MX Prime」

 5月24日~26日の期間、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で開催されている「人とくるまのテクノロジー展 2023 YOKOHAMA」(主催:公益社団法人自動車技術会)から、トヨタ紡織ブースの模様をお伝えする。

 トヨタ紡織では、インテリアスペースクリエーターとして「すべてのモビリティへ上質な時空間を提供」することを目指すため、「心地よさを感じる室内空間」「愉しさとワクワク感に満ちた移動空間」「あなたの可能性を拡げる時空間」を感じるよう、画期的なソリューションの提供を行なうという。その具体化として製作しているのが、自動運転レベル4を想定した都市型ライドシェアモビリティのための車室空間「MX221」だ。

 このMX221は多様なユーザーに合わせたサービスを提供するため、サービスプロバイダー側でシートモジュール交換、内装の交換が可能な作りができるというもの。変動するニーズに応じてシート、内装の交換が可能となれば1台のベース車があれば対応できるのだ。

 今回展示されていたのは、MX221用の最上位グレードシートとなる、MaaSライドシェア空間コンセプトシート「MX Prime」だ。MX Primeはレベル4自動運転車用のシート。便利な機能は多く取り入れられているが、特徴的なものとしては「クラウドスイングモード」がある。

 自動運転のクルマにおいては車内で仮眠を取りたいというニーズがあるそうだ。そこでMX Primeは短い移動時間であっても効率のいい睡眠が取れるような動きができる仕組み。この動きはロッキングチェア的な「ゆらゆら」という表現が合うもので、その揺れ具合もさまざまな実験をした結果、最適と言えるものとなっているそうだ。なお、学術的にも揺らすことは睡眠導入の効果があることが証明されているという。

 また、航空機の上位シートのようなパーソナル感を出す「ファニチャー」という衝立的なパーツを組み合わせていることもMX Primeの特徴だ。

仮眠しやすいシートでもあるMX Prime。現地では「ゆらゆら」の動きも体験できる
テーブルが使えたり、着座前には自動で消毒剤が噴霧されるといった機能もある

 次に紹介するのはタッチセラピーを再現するリラックスシート「リモート タッチ セラピー」。名前のとおり、タッチセラピーで受ける「優しくさする」という繊細な力加減を、遠隔で触感を伝達できる技術「リアルハプティクスR」という技術で記録、再現するもの。なお、リアルハプティクスとはロボットに力加減を感じる能力を与えて、人や物の触感を感じながら力加減をコントロールする技術となっている。

なでるようなマッサージが可能なリラックスシート「リモート タッチ セラピー」
低圧水素タンクを使った「FCモバイルバッテリー」。モジュール内に手の平サイズのボンベを組み込む
ケナフという植物を使用する環境に優しいものづくりの展示。現在はシートバックボードなど見えない部分に使われるが、装飾に使う提案
ケナフは東南アジアにて栽培される。成長は早いという
最初は繊維状として加工され、粉状から成形という流れで製品化される
壊れにくく、衝突で破損しても尖った損傷部分にならないバイオポリマー。内装パーツや着色ガラス面に使用できる可能性を持ったもの
深田昌之