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豊田中央研究所、トヨタ酵母菌「トヨタザイロエース」を活用したエタノール生産の発酵プロセスを開発
変換効率95%以上に成功
2025年8月28日 13:56
- 2025年8月28日 発表
豊田中央研究所は8月28日、トヨタ自動車と共同で植物バイオマスの非可食部から効率よくエタノールを生産できる発酵プロセスを開発したと発表した。
この発酵プロセスは、豊田中央研究所の技術が使われているトヨタ酵母菌「TOYOTA XyloAce(トヨタ ザイロエース)」を用いており、特定の植物バイオマスに最適化することで、非可食部の主成分であるセルロース/ヘミセルロースからのエタノールへの理論的な変換効率を世界トップレベルとなる95%以上にまで高めることに成功した。
開発した発酵プロセスは、2024年11月に竣工した次世代グリーンCO2燃料技術研究組合(raBit)のバイオエタノール生産研究事業所における技術実証で活用され、この研究成果は、第77回 日本生物工学会と化学工学会 第56回秋季大会にて発表される予定。
研究内容と成果
一般的な酵母は、ヘミセルロースの分解によって生じるキシロースをエタノールに変換できず、さらに植物バイオマスの前処理で発生する物質により発酵が阻害され、エタノールの変換効率が低下する課題も指摘されている。
トヨタ酵母菌のトヨタ ザイロエースは、発酵阻害物に対して耐性があり、グルコースだけでなくキシロースも効率よくエタノールに変換できる特徴を持つ。
今回、豊田中央研究所はトヨタ自動車と共同で、植物バイオマスとしてソルガムなどの非可食部を活用した第二世代バイオエタノール生産において、トヨタ酵母菌の性能を最大化する発酵プロセスを開発した。
トヨタ酵母菌に合わせて植物バイオマスを前処理・糖化することでその性能を最大限に引き出すことに加え、トヨタ酵母菌の性能自体の向上にも取り組んだ。トヨタ酵母菌はもともと通常の酵母が利用できないキシロースを高効率でエタノールに変換できることや、発酵阻害物に対する耐性を持っているのが特徴となるが、植物バイオマスの種類に応じて最適化することで、さまざまな植物バイオマスに対して高効率なエタノール生産ができる可能性があるという。
豊田中央研究所は、ソルガムなどの植物バイオマス非可食部から、特に高いエタノール変換効率や発酵阻害物耐性を示す菌株をスクリーニングし、独自の育種技術によってこれらの性能をさらに高めることに成功。
こうした発酵プロセスの最適化により、特定の植物バイオマスの非可食部に含まれるセルロース/ヘミセルロースを分解して得られるグルコース/キシロースからの理論的なエタノール変換効率で、95%以上という世界トップレベルを達成したとしている。
豊田中央研究所の研究成果は、2024年11月に竣工した次世代グリーンCO2燃料技術研究組合のバイオエタノール生産研究事業所で活用されており、植物バイオマスを高効率で第二世代バイオエタノールに変換する同技術は、持続可能なエネルギー生産を通じて、カーボンニュートラル社会の実現に貢献することが期待されるとしている。
