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ミシュランの新オールシーズンタイヤは2種類設定 耐摩耗性を高めた「クロスクライメート3」とハンドリング性能を向上した「クロスクライメート3スポーツ」発表会
「雪でも走れる夏タイヤは、いよいよ走りの楽しさまでも叶える時代に」
2025年9月3日 09:48
- 2022年9月2日 実施
日本ミシュランタイヤは9月2日、新オールシーズンタイヤ「クロスクライメート3」「クロスクライメート3スポーツ」の発表・説明会を都内で実施した。
冒頭で登壇した日本ミシュランタイヤの代表取締役社長である須藤元氏は、「ミシュランは創業以来、モビリティを中心に、常に新しい分野の研究を続けてきました。この探求心は私たちのDNAに刻み込まれていて、人々によりよい未来を提供する技術に挑戦を注いできました。その情熱はすべての持続可能にという企業ビジョンのもと、未来への道を切り開く原動力となっています。私たちは製品作りにおいて、社会や地域環境への責任を常に意識しています」とあいさつ。
また、現在ミシュランのタイヤは平均して31%の再生可能素材とリサイクル材料を使用していて、2030年にはその比率を40%に、2050年には100%にすることを目標に掲げていると紹介。性能を一切犠牲にすることなく、環境への負荷をゼロにすると同時に、日常の使用でもより安全に、より快適に、より自由にすることを目指していると説明した。
続けて須藤氏は、「近年日本では異常気象が日常化し、急な豪雨や突然の雪に見舞われることが増えてきました。そんな中で今日は雪だから外出を諦めようと思ったことはないでしょうか? あるいは夏用冬用とタイヤを8本そろえる手間に悩まされたことはないでしょうか? 本日紹介する製品は、そうしたユーザーの皆さまの日常の不安や不便を解消するために生まれました」と述べつつ、「この雪も走れる夏タイヤ『クロスクライメート』シリーズは、季節を問わず、急な天候変化にも対応するオールシーズンタイヤで、夏も冬も晴れの日も雪の日も安心して走れるタイヤです」と紹介した。
「さらに新製品のうち1つは、クロスクライメートシリーズとしては初となるスポーツ性能を搭載したタイヤとなります。雪道での安心感はそのままに、高速走行時の安定性、ドライ路面でのハンドリング性能といった、スポーツタイヤに求められる要素に応えた革新的なタイヤです。つまり、雪でも走れる夏タイヤは、いよいよ走りの楽しさまでも叶える時代がやってきました。このタイヤは持続可能な未来に貢献し、そしてユーザーの皆さまの毎日の移動を支える新しいスタンダードになると、私たちは確信しています」と締めくくった。
誕生10周年を迎えた「クロスクライメート」シリーズ
続いて登壇した乗用車商用車タイヤ事業部 マーケティング部 ブランド戦略マネージャー 秋山孝之氏は、「クロスクライメートシリーズはミシュランが提案するオールシーズンタイヤで、スノーフレークマークが刻印され、高速道路の冬用タイヤ規制時でもチェーン装着なしで走行可能です。ドライ面やウェット路面では夏タイヤ同等の性能を発揮し、夏タイヤでは走行が難しいシャーベット状や圧雪路面でも安心感を持って使用できます。1年を通してまったく雪が降らない都市や、降っても年に数回程度という関東以南の太平洋エリア側で運転される方に最適で、タイヤの履き替えをせず1年中使用できるのが大きな特徴」と説明。もちろん、北海道や東北、北陸など、雪道や凍結路が発生するエリアはスタッドレスタイヤが必須であり、販売店ではユーザーにしっかりと説明したうえで選択してもらっているという。
また、クロスクライメートは2015年にヨーロッパで誕生し、国内では2019年にクロスクライメート+、2021年にはクロスクライメート2、クロスクライメート2SUVへと進化。オールシーズンタイヤ市場の成長を牽引してきた製品で、誕生10周年の節目となる2025年に、進化モデル「クロスクライメート3」とスポーツ性能を合わせ持つ「クロスクライメート3スポーツ」が誕生したと、クロスクライメートシリーズの歴史も紹介。新製品クロスクライメート3、クロスクライメート3スポーツは、すでに欧州では発売済みで、日本では10月1日より順次発売になる。
耐摩耗性を向上させた「クロスクライメート3」
新製品クロスクライメート3は、冬の雪道走行性能の高さと安心感は大前提としつつ、ユーザーニーズの高まってきた「快適性」や「低燃費性能」に着目。「プライマシー5」や「パイロットスポーツEV」などにも採用されている技術で、内部構造の最適化によりトレッド面のより均一な接地圧分布を実現し、加速時やブレーキング時、コーナリング時でも接地面を安定させ、偏摩耗を抑制する「マックスタッチ コンストラクション」を採用。夏の強い雨でも、冬の急な雪でも、季節を問わず、安心感を持って快適にドライブしたい。より長持ちして、環境にも配慮した製品を求めるユーザーに最適な製品として仕上げている。
クロスクライメート2から対摩耗性能を向上させていて、夏の雨でも冬の急な雪でも安心感がより長いシーズン続くほか、最後まで続く性能を追求し、摩耗後も高い安全性能を維持できる設計という。また一部サイズだが、クロスクライメートシリーズとしては初めて転がり抵抗ラベリング「AA」を獲得。オールシーズンタイヤとして非常に高い性能を実現すると同時に、環境負荷低減にも貢献するサスティナブルな製品となっている。さらに静粛性を高める設計を施し、車内での会話や音楽を楽しめる快適なドライブを実現している。
サイズラインアップは16インチ~20インチで、「コンパクトカー、セダン、ミニバン、SUVはもちろん、BEV(バッテリ電気自動車)やHEV(ハイブリッド車)など電動車にも最適な製品です」と秋山氏。
ハンドリング性能がアップした「クロスクライメート3スポーツ」
旧製品クロスクライメート2では、スポーツカーやプレミアムスポーツカーは推奨車種から外されていたが、秋山氏は「社内調査の結果、スポーツカーユーザーからもオールシーズンタイヤに高い関心が寄せられていることが分かったのと同時に、高速安定性やハンドリング性能といったスポーツ性能を重視するニーズが高いことが判明。雨はもちろん、雪道も走行できる安心感に加え、季節を問わず、正確なハンドリングを追求したい。これまでにないドライブ体験を求めるユーザーに最適な商品です」と説明。
ミシュランのフラグシップ製品「パイロットスポーツ」シリーズにも採用されている、高強度で耐熱安定性に優れたハイブリッド・アラミド&ナイロンベルトを採用し、タイヤを路面に密着させることでドライバーの意思をしっかりと路面に伝える「ダイナミック・レスポンス・テクノロジー」を採用したほか、優れた雪性能に加え、高いドライ&ウェットグリップを実現する新開発のオールシーズン専用トレッドコンパウンド「サーマル・アダプティブ・コンパウンド2.0」を搭載。従来品クロスクライメート2よりもウェット路面でのラップタイムで約2.4%向上したほか、転がり抵抗ラベリング「A」を維持したまま、クロスクライメートシリーズ初となるウェットラベリング「a」を獲得した。
サイズラインアップは18インチ~21インチで、全サイズがスピードレンジ「Y」を達成し、高速安定性においてもスポーツタイヤに遜色ない性能を実現しつつ、静粛性能や低燃費性能も従来品以上に向上させ、オールシーズンタイヤとしての総合的なニーズに応える性能に磨き上げている。
Vシェイプトレッドに初めて「センターグルーブ」を採用
続いて、研究開発本部 PCタイヤ新製品開発部 シニアエンジニア 池田聡氏によると、クロスクライメート3とクロスクライメート3スポーツは、いずれも従来品と同じく排水性・排雪性向上のためにVシェイプトレッドパターンとしているが、今回は新たにセンターグルーブを採用したことで、ウェットブレーキ性能を向上。さらにトレッドブロックのピッチ数を増やしたことで、接地面内のブロックエッジを増加させスノーブレーキ性能も向上させている。
また、不快な周波数帯の音を効果的に低減させるために、サイズの異なるトレッドブロックを最適配置した「ピアノ・アコースティック・テクノロジー」を採用。また、サイドウォール部の金型に特殊な造形を施し、光の反射を分散させることで視覚的に深みのある上質な黒さを実現する「プレミアムタッチ」も採用。クロスクライメート3では18インチ以上のサイズに採用し、クロスクライメート3スポーツは、全サイズにチェッカーフラッグをモチーフにした「フルリングプレミアムタッチ」を採用している。
クロスクライメート3は、従来品クロスクライメート2とコンパウンドは同じままだが、トレッドパターンの進化により、ウェット性能、スノー性能、静粛性、低燃費性能を向上しつつ、耐摩耗性も大きく向上させている。ハンドリングについては従来品同等とのこと。一方クロスクライメート3スポーツは、従来品クロスクライメート2のコンパウンドを進化させたことで、ハンドリングやウェット性能が大きく進化。静粛性や低燃費性能、スノー性能も向上している。
最後に池田氏は、「従来の夏冬タイヤの使用では合計8本のタイヤが必要でしたが、オールシーズンタイヤは4本に半減できるので、タイヤ輸送時のCO2削減にも貢献できます。また、人口減少で若者の数が減り、同時に自動車整備士の数も継続的に減少している昨今。このままだと整備士1人あたりが担当する自動車の台数は増えていき、残業をともなう長時間労働が発生し、結果として整備士の離職率増加も懸念されます。シーズンごとの履き替えが不要となるクロスクライメートシリーズは、整備士の負担削減に貢献でき、環境面だけでなく社会面でもサスティナブルに貢献できる」と紹介。
また、「夏冬と2種類のタイヤを用意する必要がなくなり、初期費用を抑えられるほか、シーズンごとの履き替え工賃の節約にもなり、都市部ではタイヤ預かりサービスなど保管スペースにかかる費用も節約できるなど、現在直面している物価高上昇にともなう家計への負担も軽減できる。経済面でもサスティナブルであります」と説明を締めくくった。













