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日野自動車と三菱ふそうの統合に関する記者会見 5か所の国内トラック生産拠点を2028年末までに3か所へ集約
2025年10月10日 11:19
- 2025年10月9日 実施
日野自動車と三菱ふそうトラック・バスは10月9日、統合についての共同記者会見を実施した。登壇したのは、三菱ふそうトラック・バス 代表取締役社長・CEO(最高経営責任者)のカール・デッペン氏、三菱ふそうトラック・バス 代表取締役副社長・CFO(財務管理本部長最高財務責任者)のヘタル・ラリギ氏、日野自動車 代表取締役社長・CEOの小木曽聡氏の3名。
三菱ふそうトラック・バス 代表取締役社長・CEOのデッペン氏は、6月に発表した三菱ふそうと日野自動車の統合の件に触れ、「今回は“アップデートがあったら発表する”という約束を果たすために会見を設けました」とあいさつ。
また、カーボンニュートラルの実現、ドライバー不足、効率的なロジスティクスシステムの構築、さらなる安全性の向上、新たな関税への対応など、企業としては大変革期に対応していかなければならないと前置きし、2026年4月からスタートする新持株会社「ARCHION(アーチオン)」は、関係各所からの必要な承認を条件としたうえで、トヨタとダイムラートラックがそれぞれ25%ずつ株を持ち、残りの50%は一般株主となると説明した。
新会社となるアーチオンは、日本とアジアにおける商用車と技術のリーディングカンパニーを目指すとし、公平性・信頼・相互尊重に基づく協業であり、互いのカルチャーを尊重し、学び合うことで、成長し続けられると言及。
さらに、持株会社(アーチオン)は戦略的な枠組みを形成し、事業会社(日野自動車および三菱ふそう)は、製品開発や卓越した運営を担うなど、しっかりと役割を明確化することが重要であると説明した。
アーチオンの役員人事に関しては、すでに6月に発表していたとおり、三菱ふそうトラック・バス 代表取締役社長・CEOのカール・デッペン氏が代表取締役・最高経営責任者(CEO)に、また、三菱ふそうトラック・バス 代表取締役副社長・CFOのヘタル・ラリギ氏が代表取締役・最高財務責任者(CFO)に、そして新設する取締役・最高技術責任者(CTO)には、日野自動車 代表取締役社長の小木曽聡氏が就任する予定であると明かし、質疑応答で人事の采配について聞かれたデッペン氏は、「どちらの会社出身かは考慮せず、ポストに最適な人事を選択している」と説明。
またデッペン氏は、ラリギ氏と小木曽氏について、「長い時間をかけて話し合い、相互理解を深めており、強固な信頼関係と共通理解が生まれており、新会社の重要な役割を担っていただけると確信している」と良好な関係性をアピールした。
続いて小木曽聡氏は、「トヨタとダイムラートラックのサポートを受けつつ、4社でCASEテクノロジーの牽引と、商用モビリティの未来をしっかり作り、結果として日本の商用車産業が少しでも強くなればと考えている」とあいさつ。
また統合によるシナジーに関しては、統合プラットフォーム戦略を構築し、グローバル生産拠点の最適化、相互の供給基盤を活用することでスケールメリットを追求するなど、生産・開発・調達・事業・組織といった企業全体にわたり効果が波及して、2社が1社になるよりも大きな効果が期待できると説明。
さらに、国内のトラック生産拠点に関しては、三菱ふそうの中津工場は2028年末までに川崎製作所へ段階的に移管していき、日野自動車の羽村工場は2026年4月にトヨタへ移管するなど、現在5か所を川崎製作所・古河工場・新田工場の3か所に集約すると発表。質疑応答で人員削減について聞かれると、「商用車は将来のカーボンニュートラルに向けてやるべきことがたくさんあり、商品もいろいろなバリエーションがあるため、工場ではむしろ社員を集めるのに苦労しているぐらいで、今回の統合で出た余力は、より有効な場所で活躍してもらいつつ、人材を育成してより長く働いていただく」と回答。また、調達先などサプライチェーンについても、「重複している企業もあれば、そうではない企業もあるが、いずれにせよ統合によって今よりもウィンウィンな関係を構築できる」と強調した。
三菱ふそうトラック・バス 代表取締役副社長 兼 財務管理本部長最高財務責任者(CFO)のラリギ氏は、90年の歴史を持つ日野自動車と、80年の歴史を持つ三菱ふそうの両社が一緒になることで170年の卓越した経験を有するとともに、過去5年間の平均で日野自動車は15万台、三菱ふそうは12万台の販売力を持っており、日本のみならずアジア太平洋地域や東南アジアで強力なプレゼンスを発揮するとアピール。
また、今後も日野自動車と三菱ふそう、それぞれ単独の業績を向上させつつ、統合を進めていくと説明し、アクティブポートフォリオマネジメントの詳細に関しては、数か月のうちに発表するとした。
最後にデッペン氏は、現在は新会社アーチオンのスタートに向け、中期財務計画を策定している最中であると説明。2社のシナジー、協調、努力といったすべてをまとめ、当局の認可を得るのが次のステップであり、その後も東京証券取引所プライム市場への上場を目指し準備を進めると発表会を締めくくった。








