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CEATEC 2025が開幕 TDKや三菱電機、フォーラムエイト、シャープなどモビリティ関連も多数展示
2025年10月16日 13:48
- 2025年10月14日~17日 開催
CEATEC 2025が10月14日~17日の4日間、千葉県千葉市の幕張メッセで開催されている。電機メーカーなどが加盟するJEITA(一般社団法人電子情報技術産業協会)が主催する展示会で、2024年には「ジャパンモビリティショービズウィーク 2024」と共催した実績もあり、モビリティの技術についての展示も多くある。CEATEC 2025の入場は登録制で無料。
本稿では、会場で見つけたモビリティ関連の展示を紹介する。
ポルシェモータースポーツと技術提携したTDK
TDKはさまざまな電子部品を開発・製造するメーカーであり、幅広いセンシング技術を持っている。10月8日にポルシェモータースポーツと技術提携を発表し、ポルシェフォーミュラEチームとポルシェコアンダEスポーツレーシングチームの公式テクノロジーパートナーになったことから、シミュレータを展示した。
今後、提携により、eスポーツのシミュレータについてはハンドルコントローラーをはじめ各部のセンサーなどに、フォーミュラEについても各部にTDKのEV/ゲーミング関連のコア技術を活用していく。
また、TDKは同社の磁気を検知するTMRセンサーがiPhone 17に採用されるなどのニュースもあり、TMRセンサーも展示された。これは、モーターなどの緻密な制御には欠かせないもので、iPhoneではレンズなど可動部の制御に必要な微細な動きを正確に把握する性能を持っている。モビリティでもクルマを前に動かす以外に、ステアリングをはじめとするモーターで制御するところがあるが、TMRセンサーで正確に回転を把握し、より高度な制御が可能になるという。
ほかにも、クルマの各部にTDKの部品が入っている。TDKは9月に新しいタグライン「In Everything, Better」を発表したこともあり、モビリティのさまざまな場所に部品を提供していることを訴えた。
NEDOはレースカーのデータを高速に処理する展示
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、スーパーフォーミュラのレースカーを展示し、レースカーにまつわる情報処理の技術を紹介した。これは次世代データベース「劔“Tsurugi”」を活用したもので、特殊なチップの埋め込みなどの必要がなく、従来のオープンアーキテクチャでフォーミュラカーからの大量かつ高速のログ・ストリームをリアルタイムで書き込み、分析することに成功した。
この実験は各機器へのチップ搭載をせずにオープン系の仕組みを使って安価に実現することを試したもの。レースという大量のデータを高速で処理する必要のある場面で試すことで、信頼性を確認することができたという。
例えばテレメトリーデータからAIの推論にもとづいてラップタイムや順位予想といったレースの状況をリアルタイムで算出する。この結果をもとに、より高度な戦略を駆使したレースが可能になる。
オンボード映像から解析する試みについては、KYOJO CUPのオンボード映像を用いて行なわれた。また、タイヤを回転台において状態をスキャンし、タイヤの摩耗をリアルタイムで予測するなどの試みも行なわれている。
モビリティソリューションから、誘導モーターの機能を体で覚える展示
三菱電機はモビリティのソリューションを展示した。移動や輸送の効率化によってエネルギーの節約やCO2削減を実現するソリューションではあるが、EVの充電制御による電力削減や、自動運転サービスも含まれている。
モビリティのひとつである鉄道では、回生ブレーキがクルマよりも古くから使われていて、電力回収と同時に消費できなければ回生ブレーキを使えないが、クルマなどと同じように電力吸収するバッテリや、鉄道施設、地域で消費するなどのソリューションを展示した。
また、三菱電機は半導体業界の紹介をするJEITA半導体フォーラムにも出展。EVをはじめ、現在のブラシレスモーターの基本原理である三相モーターにおけるパワー半導体の制御について、人間のボタン操作で実現する仕組みを展示した。うまく回転させてタイムを競うゲーム形式となっており、モーターを回すために半導体がやっていることを、体で覚えられる興味深い展示だ。
街データから道路を敷いてシミュレーション。万博展示もあるフォーラムエイト
鉄道車両の運転台を置いてVRの展示をしていたフォーラムエイト。鉄道運行のシミュレータで電車の運転を楽しめた。
VRでは国交省が公開する街のオープンデータをもとに、3DリアルタイムVRシミュレーションを実現する展示があり、道路をジェットコースターのような高速で駆け抜けることもできた。
また、催事パートナーとして大阪・関西万博に5月1日~6月1日に展示した、月面探査機の操縦、国際宇宙ステーション「きぼう」での無重力浮遊体験、宇宙で建設機械を動かすシミュレータも展示した。
5G NTNによる衛星通信をモビリティから実現。EVコンセプトモデル予告も
シャープはモビリティから5G NTNによる衛星通信を実現するアレイアンテナを搭載した通信機器を展示した。通常、動くものから衛星通信をすることは困難だが、アレイアンテナによる可動部のない位相制御で、クルマや船などでも可動部なく非静止の衛星との間で通信を可能にする。
5G NTN相当の通信で、建設機械の模型の先端につけたカメラ映像を伝送するデモでは、5Gの技術を使うため、遅延の少ない映像を確認できる。現在のところ446mm角のアンテナだが、将来は車載しやすいさらに小さいアンテナでの実用化も目指す。
またシャープのグループのDynabookは透過型XRグラスの「XR1」を使った倉庫でのピッキング支援ソリューションを展示した。トヨタ車のバンパーや内装部品を製造する宮城県にある豊田合成東日本のスマートファクトリー大衡工場において、部品のピッキングで導入している。ピッキング支援のシステムのなかでも、XRグラスが判断するための印を置くだけで棚に配線などをする必要なく使えることが特徴。
なお、シャープではジャパンモビリティショー2025においてEV「LDK+」の新コンセプトモデルの初公開を予定しているが、ブースでも告知していた。
道路情報アプリの展示を行なうNEXCO中日本
道路パトロールカーを中央に置いたNEXCO中日本は、道路管理ソリューション展示のほか、提供予定の旅行快適化アプリの体験コーナーを設置した。
旅行快適化支援のアプリはすでに提供している道路情報提供アプリ「みちラジ」の機能を含むアプリとなり、旅行計画から実際にクルマで旅行中にさまざまな道路の情報をプッシュで提供してくれるものとなる。現在開発中で、ブースでは機能についてのアンケートを行なっている。
車窓に情報を追加する透過型XR技術のDUAL MOVE
車載用XRのプラットフォーム開発をするDUAL MOVEは、クルマの窓に情報を表示するXR(クロスリアリティ)技術を展示した。クルマの窓ガラスに映像などを表示させるものとなるが、窓ガラスを透過型ディスプレイとして、透けて見える実物に重なるように3Dの仮想物体を描画できるという。
立体視できるのは視点位置を取得して視点バリアを介し、左右の目に別々の映像を届けるため。「現実世界の風景と、仮想CGオブジェクトを融合させる技術を実現し、ユーザーに新たな体験を提供する」としている。
展示されたデモでは、自動運転車を想定したもので、これから向かう先や方向に、情報を重ねて表示する。
そのほか
デジタル交通社会パビリオンでは、自動運転バスの新型「Navya EVO(エヴォ)」を展示した。現在、各地で自動運転バスとして活用中の「ARMA(アルマ)」の次の世代のモデルとなる。ARMAに比べて登坂能力の向上や、LiDARの数の増加など、性能が向上しているバスとなる。
太陽誘電は、積層圧電アクチュエータを展示。タッチパネルにツルツルやザラザラなどの触感を再現する。フォースフィードバックを付加することもでき、クルマに使えば前方から目線をそらさずにタッチスイッチを操作できるという。
CRI・ミドルウェアはSDV向けにCRIWARE for Mobilityを展示。ゲーム向けに提供してきた音声や映像、グラフィックスなどの技術をモビリティ向けにカスタマイズして提供するもので、開発におけるブラッシュアップのループの時間を短縮する。
電池サプライチェーン協議会(BASC)では、さまざまな電池を展示。電気自動車での実装例モデルを展示した。
今回は住宅メーカーや家電量販店も多数出展してスマートホームのソリューションを展示しているが、ヤマダデンキ/ヤマダホームズではEV向けのV2Hシステムや、家庭用蓄電池のテスラ パワーウォールを展示した。





































