ニュース

小糸製作所、「薄型融雪ヘッドランプ」「コミュニケーションコンセプト」「月面探査機ルナクルーザー向け船外照明」などモビショーに初出展

2025年10月27日 発表
小糸製作所の出展ブースイメージ

 小糸製作所は10月27日、東京ビッグサイトにて開催(一般公開日:10月31日~11月9日)される「ジャパンモビリティショー2025」の出展概要を発表した。

「光」でモビリティ社会の安全・安心に貢献してきたKOITOは創業110周年を迎え、ジャパンモビリティショー2025では、2030年に向けた「KOITO VISION ~人と地球の未来を照らす~」に基づき、次世代モビリティ社会の安全・安心に向け、「ライティング」「センシング」「コミュニケーション」の3つの軸で「光」の可能性を追求し、そして宇宙に広がるKOITOの最先端技術を紹介する。

ライティング:ドライバーに最適な夜間視界を提供するライティング技術

高精細ADB(Adaptive Driving Beam)

高精細ADBの配光イメージ

「まぶしくないハイビーム」であるADB(ハイビーム可変ヘッドランプ)の最新技術「高精細ADB」をデモンストレーションで紹介。高精細ADBは、1万6000分割のLEDを個別に制御することで、従来のADB(12分割)に比べ、対向車や前走車に対するハイビームの消灯範囲を最小にし、ドライバーの夜間走行時の視界を最大化するもの。

 また、歩行者にもまぶしさを与えないよう、ハイビームを減光したり、道路標識の反射を抑えるよう、光量をきめ細かく調整するなど、より精密な配光制御を可能にした。JMSでは、ドライバーと対向車の両方の目線から、その「うれしさ」を体感できるという。

融雪ランプ【初出展】

 寒冷地ではランプへの雪や氷の付着が視認性の低下や安全性確保における課題となっていて、KOITOはランプ表面を温めて氷雪を溶かす融雪機能を備えたリアランプをトラック向けに開発。JMSでは、ヘッドランプへの融雪機能の搭載拡大に向けて、車両のスタイリングを損なわない、薄型の「融雪ヘッドランプ」を新たに開発し、世界初出展する。

ドライバーモニター連動AFS(Adaptive Front Lighting System)【初出展】

 デンソーやJ-QuAD DYNAMICSと協業して、「交通事故ゼロ社会」の実現を目指し、車両の安全性能技術の向上に取り組んでいるKOITOは、その取り組みの1つとして、従来のAFS(Adaptive Front Lighting System)を進化させ、ドライバーの視線と連動するヘッドランプシステムを映像で紹介。

 従来のAFSはハンドルの舵角に応じてロービームを左右にスイブル(回転)させ、カーブの先などを照らすものだったが、開発中のドライバーモニター連動AFSは、ドライバーの視線の方向を検知し、その先をロービームで追加照射する「1秒先を知る」ライティングにより、夜間走行時の安全性向上を実現する。

センシング:周囲を正確に検知するセンサ技術

LiDARラインナップ

 車載だけでなく、産機・建機・農機などのさまざまなニーズに応える、KOITOの短・中・長距離LiDARラインナップを展示。来場者の動きをリアルタイムで3次元・高精細に検知するデモンストレーションも実施する。

移動体検知システム「ILLUMIERE(イルミエル)」

 イルミエルは、人やクルマの「動き」を正確に把握・データ化でき、2023年の公開以来、多くのユーザーとその活用可能性について検討してきたシステム。現在、工場内の安全支援や工程改善、広場やイベントの混雑状況や人流の把握など、さまざまなシチュエーションにおける課題解決やDX推進などへの活用が進展しているという。今回のJMSでは、複雑な形状のエリア内での来場者検知デモンストレーションを通じて、その性能の高さを紹介する。

コミュニケーション:人とクルマを繋げるライティング技術

シグナルロードプロジェクション搭載ヘッドランプ【初出展】

 2025年5月発売のトヨタ・カローラ クロスに日本初搭載した「シグナルロードプロジェクション」は、ターンシグナルの点灯に合わせて路面にシェブロン(Ⅴ字型のサイン)を投影・描画し、歩行者や周辺車両のドライバーなどに、いち早く自車の存在や動きを知らせてくれる。

シグナルロードプロジェクション稼働イメージ

コミュニケーションコンセプトモック【初出展】

 光によるコミュニケーション機能を車両に搭載したコンセプトモックを日本初出展。光の演出でクルマの状態・ドライバーの意思 (メッセージ)を周りの交通参加者へ視覚的に伝えることで、クルマと人、クルマとクルマの コミュニケーションをサポートし、次世代モビリティ社会においても安全で円滑な交通社会を 実現する技術を紹介する。

コミュニケーションコンセプト(モック)

月面探査用有人与圧ローバー向け船外照明【初出展】

 トヨタ自動車とKOITOが、JAXAと研究開発を進めている月面での探査活動に必要な有人与圧ローバー(トヨタ自動車愛称:ルナクルーザー)向け船外照明のコンセプトモックを初出展。

 月面は、昼夜の寒暖差が非常に大きく、その温度差は300℃程度あり、加えて放射能、真空、月面を覆う砂礫(レゴリス)など過酷な環境に対応するため、高い耐久性や信頼性を実現した照明器を開発している。