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パナソニック、2025年度第3四半期決算 エナジー事業は車載電池の減速をデータセンター向け蓄電池が支える
2026年2月5日 12:38
- 2026年2月4日 発表
パナソニックホールディングスは2月4日、2025年度第3四半期決算説明会を開催。
同説明会に出席したパナソニックホールディングスの和仁古明グループCFOは、車載電池を扱うパナソニックエナジー事業に関して、北米における車載電池事業に回復の兆しが見られていることを示した。
同社の戦略パートナーであるテスラは、ハイエンドモデルの生産終了を発表するなど、パナソニックグループにとっては逆風となりかねない動きが出ているが、和仁古グループCFOは「ハイエンドモデルの生産中止は、従前からの話し合いをもとに、すでに織り込み済みである。北米のEV市場は、2025年度第3四半期が底になると認識している。2026年度に向けて、緩やかに回復しながら、年間では前年と同水準に達する」との見方を示した。
米国のEV補助政策終了の影響は2025年度第3四半期が底と想定
パナソニックホールディングスが発表した2025年度第3四半期(2025年10月〜12月)のエナジー事業の業績は、売上高は前年同期比22%増の2628億円、調整後営業利益が9億円減の417億円となった。
車載電池は、EV市況の悪化に伴う北米工場の減販などにより減収となったが、産業・民生では、データセンター向け蓄電システムが引き続き好調を維持しているという。
また、2025年度(2025年4月~2026年3月)連結業績見通しを修正。エナジー事業の売上高は190億円増額の前年比9%増の9520億円、調整後営業利益は据え置き、前年比87億円減となる1140億円とした。
和仁古グループCFOは、「米国EV市場では、EV購入者に対する補助政策であるIRA(Inflation Reduction Act:インフレ抑制法)30Dが、2025年9月末に終了したのに伴い、第2四半期には駆け込み需要が発生した。そのため、第3四半期にはその反動が見られた。さらに、その反動幅が想定よりも大きかった。そこで年間販売の見通しを、従来の40GWhから39GWhへと下方修正する」としたものの、「2026年度のEV市況については、2025年度第3四半期を底として、緩やかに回復していき、年間では前年水準に近づくと想定している。車載電池を取り巻く環境は依然として不透明ではあるが、引き続き、市場や顧客動向に合わせて、適切に事業拡大を図っていく」と述べた。
車載電池事業は、第3四半期は前年割れの厳しい業績となり、通期の下方修正という事態にあるが、緩やかな回復基調には手応えを感じているようだ。
今後の米国EV市況の動向について、和仁古グループCFOは、「市場全体の年間見通しは、横ばいから、少し弱含みである。だが、戦略パートナーとの密接な会話を通じて得た感触は、市況よりも、もう少し高いところにある。これは、戦略パートナーが、市場でのシェアアップを含めて、やり切る自信があるというメッセージだと捉えている。実際、パナソニックエナジーでは、第3四半期のカンザス工場の立ち上げに苦戦したが、その際にも、もっと車載電池を作ってほしいという要求があった。車両に対するデマンドが市場には存在している。2026年度に対する要望の水準も高く、今後、米国のEV市場が大きく落ち込むとは見ていない」との見通しを示した。
一方で、テスラでは、ハイエンドモデルである「モデルS」と「モデルX」の生産を段階的に終了することを発表している。
これについては、「ハイエンドモデルの生産中止を発表したことで、その影響は確かにある」としながらも、「対外的に発表されたのが2026年1月末である。戦略パートナーとは、昨年から話し合いを行い、それをもとに、私たちの計画においては、従前から織り込みとなっている。日本でのセル生産に影響するが、慌てることはない。国内工場の稼働については、車載電池の供給が決定しているマツダやスバルなどと話をしながら対応策を進めている」と述べた。
また、米国生産のメリットを活かして米国における供給先の拡大も推進しており、ルシッドやズークス、ヘキサゴンといった北米の新規EV顧客向けに、米国産セルの供給を開始する予定も示した。
データセンター向け蓄電池がエナジー事業を支える
EV市場全体のスローダウンに対して、同じ技術を活用したデータセンター向け蓄電池が極めて好調であることも、エナジー事業を支えることにつながっている。
和仁古グループCFOは、「データセンター向けBBU(Battery Backup Unit)に対する需要が大きな勢いとなっている。BBUの年間売上高見通しは、期初には前年比1.5倍としていたが、第2四半期時点では1.7倍に修正し、今回は1.8倍に修正した。四半期ごとに顧客からのデマンドが高まっている。2028年度には、データセンター向け蓄電池で、現時点から5000億円上積みして、売上高8000億円を目指しており、大きな伸びが期待できる。下ぶれする可能性は少ないが、上ぶれする可能性はあると考えている」と強気の姿勢をみせた。
パナソニックエナジーでは、国内工場において、車載電池向けセル生産のアセットを、BBU向けに転換する動きを開始。2026年度第1四半期から、国内生産したBBUの販売を開始する計画だ。将来に向けては、車載電池向けの生産を中心に稼働させたカンザス工場の生産能力を活用することも検討しているという。
「セルについては、車載電池の需要がスローになっていることから、その分をデータセンター向け蓄電池の増産へとスピーディに展開できる」と述べた。
また、データセンター向けモジュールの生産については、メキシコでの新工場の建設も決定。現地でのプロジェクトをスタートさせたという。
「メキシコ工場は、既存工場の拡充を進める一方、2028年度の売上高8000億円の目標に向けて、新たな体制を構築することを同時並行で検討している。売上計画に間に合うように逆算している」と述べた。
車載電池事業は一時期の勢いがなくなっているのは事実だが、旺盛なデータセンター向け蓄電池の成長が、パナソニックエナジー全体の成長を支えることになる。車載電池では、緩やかな需要回復を捉えるとともに、新規顧客の開拓によって事業成長を目指すことになる。
グループの人員削減は当初計画を上まわる1万2000人規模に、構造改革費用300億円積み増し
一方、パナソニックグループでは、1万人規模の人員削減を推進しているが、当初計画を上まわり1万2000人の削減規模に達することを明らかにした。それにあわせて、2025年度に1500億円を計画していた人員削減のための構造改革費用を、300億円積み増しして1800億円に引き上げた。
構造改革費用の内訳は、くらし事業の620億円、コネクトの20億円は、当初計画を据え置いたものの、インダストリーが190億円増の550億円、その他(パナソニック ホールディングス、パナソニック オペレーショナルエクセレンスを含む)では110億円増の610億円とした。なお、車載電池が含まれるエナジーは当初から0としており、構造改革の対象にはなっていない。
また、構造改革効果も見直しており、2025年度は、2024年度比で50億円増の420億円の構造改革効果を想定。2026年度までの2年間累計では、130億円増となる1450億円を見込んでいる。
パナソニックホールディングスの和仁古グループCFOは、「最終的な人員削減は1万2000人規模となり、これで一定のめどがついたと考えている。苦渋の決断であるが、新たな道に踏み出す人たちに寄り添い、応援をしていく」と発言。さらに、「多くの人が抜け、何も混乱がないというのはウソになる。それぞれの職場で、歯を食いしばりながら、次に向けてがんばろうという仲間たちがたくさんいる。これをポジティブに捉え、次の新しいパナソニックグループを作っていきたい」と語った。






