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マツダ、チャレンジプログラム「バーチャルからリアルへの道」4期生がSPKの「シミュレーターラボ」でトレーニング!

2026年4月26日 開催
SPKの「シミュレーターラボ」にある高性能レーシングシミュレーターでマツダの「バーチャルからリアルへの道」4期生がトレーニングを実施

 マツダは4月26日、大阪府大阪市福島区にあるSPKヘリテージ・センターでチャレンジプログラム「バーチャルからリアルへの道」の4期生を対象としたシミュレータートレーニングを実施した。

 マツダが2021年11月に立ち上げた「MAZDA SPIRIT RACING」は、モータースポーツをより身近で気軽な存在として楽しんでもらうことに加え、ジャンルを問わず道具を操りスピードスポーツを楽しんでいる人と、その世界に憧れる人や応援する人との接点になり、「共に挑む」というスローガンを掲げてスピードスポーツを盛り上げていくことを目指している。

 クルマを運転する参加型モータースポーツでは、「バーチャルからリアルへの道」「スーパー耐久シリーズへの道」の2つのチャレンジプログラムを展開。モータースポーツのファーストステップとして今年度で4回目となるバーチャルからリアルへの道では、2025年11月に開催されたグランツーリスモ7の全国大会「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2025 SHIGA グランツーリスモ7 スペシャルグランプリ」の一般の部出場者で優秀な成績を残した選手の中から、「国内A級ライセンスを持っていない人」「MT免許を取得している人」「モータースポーツに本気で取り組みたいと考えている人」といったマツダが定める基準を満たす人を勧誘。

 ここで選ばれた7人の中から、最終選考を兼ねて2026年3月に筑波サーキット・コース2000で実施された「リアルサーキット体験会」で植木俊輔さん、岡村康平さん、中西拓也さんの3人がバーチャルからリアルへの道の4期生に決定。3人はチームを組んでマツダが用意するロードスターを使い、全国各地のサーキットで開催されるマツダ車による耐久レース「マツダファン・エンデュランス(通称:マツ耐)」の第2戦・モビリティリゾートもてぎ、第4戦・筑波サーキット、第5戦・岡山国際サーキットの3レースに出場する。

「バーチャルからリアルへの道」4期生と講師陣など。中央にいるグレーのフーディーを来た3人が4期生で、左から植木俊輔さん、岡村康平さん、中西拓也さん
マツダ株式会社 ブランド体験推進本部 ブランド体験ビジネス企画部 林涼太氏は「MAZDA SPIRIT RACING」で行なっている取り組みやチャレンジプログラムなどについて解説

 今回のシミュレータートレーニングはSPKヘリテージ・センター内にあるドライビングシミュレーター機材の研究施設「シミュレーターラボ」で実施され、ポーランドのモーションシステムズが手がける電動アクチュエーター「キュービックシステム」を採用する高性能レーシングシミュレーターを使って実戦に向けた具体的なトレーニングが行なわれた。

 シミュレーターラボにはモーションシステムズの製品などを使った4種類のレーシングシミュレーターが設置されており、今回のトレーニングでは「QS-S25」「QS-V20」「QS-CH1+QS-CH2」の3種類が利用された。

SPKヘリテージ・センターの地下1階にあるドライビングシミュレーター機材の研究施設「シミュレーターラボ」
座学講習はSPKヘリテージ・センターの1階にある「モータースポーツショールーム」で行なわれた
SPKヘリテージ・センターは、旧本社ビルを再利用している

「QS-S25 SPIDER」はシートやコントローラー、ディスプレイなどを設置するベースフレームを前方2点、後方1点の3か所で支え、それぞれに10cm可動のアクチュエーター2本をハの字型に設定して、ラリーマシンや航空機といった大きな上下動を可能とするほか、前後左右の水平移動も再現できる6DoF(自由度)タイプのシステム構成となっている。

「QS-S25 SPIDER」
QS-S25 SPIDERのスペック表
シミュレーターラボに用意されている4種類のドライビングシミュレーターでは、それぞれでキュービックシステムの10cm可動アクチュエーターを採用(写真は別のシミュレーターのもの)
【SPK】レーシングシミュレーター「QS-S25 SPIDER」の作動シーン(53秒)

「QS-V20」はシートとコントローラーをベースフレームに設置して、前方2点に各1本の10cm可動アクチュエーター、後方1点に10cm可動アクチュエーター2本をハの字設定。レース車両で発生する各種挙動をしっかりと再現可能としつつ、コンパクトなシステム構成で小さな設置面積と軽量設計を実現して多彩な場所に設置可能とした4DoFタイプのレーシングシミュレーター。

「QS-V20」
【SPK】レーシングシミュレーター「QS-V20」の作動シーン(49秒)

「QS-CH1+QS-CH2」は、シートとコントローラーを設置するベースフレームの四隅に各1本の10cm可動アクチュエーターを固定してピッチ、ロール、上下動の3DoFを再現する「QS-CH1」と、フロアとQS-CH1のあいだに設置して50mmの前後動とヨーの2DoFを再現する「QS-CH2」を組み合わせ、5DoFを実現するシステム構成。

 超ワイド湾曲ディスプレイとの組み合わせで臨場感あふれる体験が可能となっているが、一方で極端に大きな映像を処理して出力するため遅延が大きく、操作からの遅れが発生して今回のようなサーキット走行を再現する利用には向いていないと説明された。

「QS-CH1+QS-CH2」
前方から両サイドまでカバーして臨場感あふれる画像を表示できる超ワイド湾曲ディスプレイを設置
QS-CH1+QS-CH2のスペック表
【SPK】レーシングシミュレーター「QS-CH1+QS-CH2」の作動シーン(53秒)

「レースの順位も大切だが、それ以上にチーム活動を楽しんでもらいたい」と加藤彰彬チーフインストラクター

チャレンジプログラムのチーフインストラクターを務める加藤彰彬氏

 当日は午前中にサーキット走行を行なうにあたっての心構えや、参戦するマツ耐のレギュレーションで注意すべき点などを学ぶ座学、サーキット走行で必要となるレーシングギアの試着などを実施。

 チャレンジプログラムのチーフインストラクターを務める加藤彰彬氏は、プログラム参加者の選定ではドライバーとしての腕前に加え、耐久レースに協力して楽しく参加してくれることも重視していると説明し、合わせて参加した感想や楽しさを感じた部分についてソーシャルメディアなどを活用して積極的にアピールしてもらいたいと前置き。一方でチャレンジプログラムはワークス活動ではないものの、マツダの社名を冠するチームとしてサーキットでは想像以上に注目を集めていて、ほかの参加者を不快な気分にさせたり、マツダの社名に傷をつけるような言動をしないようあらためて注意喚起した。

 また、活動では耐久レースで順位を高めることも大切だが、それ以上に参戦で必要になる申込書類やチームアピールの文面作成などを含めたチーム活動を楽しんでもらいたいと語りかけ、日ごろ取り組んでいるeスポーツでのレースとは異なり、マツ耐では3人1チームで参戦することから、自分のあとに走るメンバーのこともしっかりと考えてほしいと語り、コース内でもほかのマシンに迷惑をかけないことも意識する必要があると述べた。

参戦するマツ耐のレギュレーションでの注意点などを紹介する加藤氏

 参戦するマツ耐のレギュレーションでは、「開催全サーキットでピットレーンの走行速度が上限40km/hに制限される」「競技中の最高気温が30℃以上になる場合はすべての競技車両でエアコンに使用が義務付けられる」といった独自のルールが存在することを紹介。エアコンについてはサーキット走行中には車両の負荷を低減するためコンプレッサーが停止するケースもあり、熱中症には気をつける必要はありつつ、暑さに負けない体作りを心がけておくほうがよいとのアドバイスが行なわれた。

 このほか、「作業のためにピットインした場合はエンジンを1分以上停止しなければならない」という規定に対応するため、エンジンを確実に停止させる手段として3期生までの先輩たちはギヤを入れたまま停車してエンストさせる方法を編み出していたと説明。次に実車で練習走行する機会に試してもらおうと加藤氏は述べた。

 レギュレーション以外の心がけの部分では、「レース終了後に行なわれる表彰式には、自分たちの順位を問わず参加するようにしよう」と呼びかけ。レースが終わったあとは撤収に向けた片付けなどが忙しくなり、サーキット走行による疲れもあるとは思うが、同じレースを走って上位フィニッシュを飾ったチームの人たちが表彰台に立つ姿を讃え、いつか自分たちが表彰台に立つことを思い描くことが大切だと語った。

SPK株式会社 執行役員 CUSPA営業本部長 岩坪正隆氏

 このほか、マツダのチャレンジプログラムのパートナーであり、シミュレータートレーニングの場を提供したSPK 執行役員 CUSPA営業本部長 岩坪正隆氏も参加した4期生にコメントして、「われわれSPKという会社はクルマのパーツやギアなどを扱っている商社であり、その中にあるCUSPA営業本部では、クルマをつうじてもっと楽しいこと、面白いことをやりましょうという思いを理念として持っていて、トップカテゴリーよりモータースポーツのすそ野を広げることを目指しています」。

「そこで今回、このようなプログラムをお手伝いさせていただいて、われわれの思いとマツダさんと思いがマッチしたものになっています。また、せっかくこのような機会に恵まれたということで、加藤さんもいっているように楽しむことが大事だと思います。今日の講義でしっかりと学んでいただき、それをぜひリアルでのレースに生かしてもらえればと思います」と語っていた。

3種類のシミュレーターで“マツ耐”開催コースを事前トレーニング

シミュレータートレーニングはインストラクターがときおりアドバイスしながら行なわれた

 午後からは本題となるシミュレータートレーニングを開始。4期生の3人も日ごろから利用しているグランツーリスモ7にはマツ耐で走ることになるモビリティリゾートもてぎと岡山国際サーキットがコースとして収録されていないため、今回は米国製のレーシングシミュレーターソフト「iRacing」を使って練習が行なわれた。

 各コースで走行前に加藤氏からコース図とシミュレーションによるコース走行動画などを使ったコース解説が行なわれ、コースの特徴や注意すべきポイントなどを詳細に説明。この内容を念頭に置きながらシミュレーション走行を行なった。

 最初は3月のリアルサーキット体験会でもすでに実車で走行して経験のある筑波サーキットを走り、初めて体験するレーシングシミュレーターやiRacingになじんでもらい、続いてモビリティリゾートもてぎ、岡山国際サーキットをそれぞれ自分のペースで走行していった。また、マツ耐で運転するND型ロードスターに装備されているDSC(ダイナミック スタビリティ コントロール)で選択できる「DSC-TRACK」のON/OFFを変更して挙動の違いを体感したという。

4期生によるシミュレータートレーニングの様子
マツダ「バーチャルからリアルへの道」シミュレータートレーニングの風景(28秒)

 トレーニング走行中にはiRacingが備えている機能を活用して特定部分の反復練習も実施。参戦初戦で走ることになるモビリティリゾートもてぎ・レーシングコースでは、最終区間をロスなくクリアできるようになることを目指し、オーバルコースの下を通過するセカンドアンダーブリッジの部分でシミュレーションを一時停止。ここで地点登録を行ない、走行を再開してメインストレートに入ったところでステアリングコントローラーに設置されたボタンを押すとマシンが地点登録した場所に巻き戻って走行が再開されるため、これを利用して注意するべきポイントを抑えながらレコードラインを駆け抜ける練習走行を繰り返していた。

インストラクターがiRacingの設定を行ない、反復練習の開始ポイントを登録。この先にあるコース最終区間をスムーズに走れるよう練習走行を繰り返していた

 シミュレータートレーニングの終了後に4期生に感想を聞いてみたところ、植木俊輔さんは「こんな規模の大きい施設で車両挙動に合わせて動くようなシミュレーターを体験したのは初めてだったので、最初はびっくりすることのほうが大きかったですが、運転していてとても楽しかったです。また、初めて走るコースも多く、実戦でいきなり運転するのは怖いと思っていたのですが、シミュレーションで練習できたので、この経験を次の練習走行や本番に生かしていきたいと思っています」。

「3月に初めて実車で走行した筑波サーキットは、コースインして『筑波ってこんなに広いんだ』と驚きました。高低差もすごくあって、コーナーのバンクもこんなにあるのかと実感しました。高低差やバンクの角度をしっかりと意識して走らなきゃだめなんだと再確認できて、とても有意義で楽しい経験になりました」とコメント。

 岡村康平さんは「日ごろ自分たちで意識していること、意識できていないことをイントラクターの皆さんが言語化してくれたので、注意すべき点がより明確に頭に入ってきました。シミュレーターは3種類あってそれぞれ慣れるのに少し時間はかかりましたが、本番のレースでも練習時間があまりない状況で走るようなシチュエーションもあると思いますので、そういった点も含めて慣れていきたいと思います。非常に素晴らしい機材を使わせていただいて、実車に近い状態で練習をさせていただくことができました」と本番に向けた意識について説明。

 中西拓也さんは「普通ならなかなか体験できないようなシミュレーション機材を使わせていただけるということで本当に楽しみにしていました。実際に使ってみると慣れるまでは時間がかかるところもありましたが、慣れてからは有意義な練習ができたと思っています。3種類体験した中では一番大きい湾曲モニターを備えているものがやはり印象的で、画面が大きい分、より実車の近い雰囲気で練習できたと思います」と感想を語っていた。

シミュレーターでの走行前には各コースの情報や注意すべきポイントなどを加藤氏が解説
コースの平面図とアップダウンのデータを示しつつ、コーナーごとに明確な判断理由を説明しながら運転操作のポイントを説明した
インストラクターがデモ走行したシミュレーター動画も使い、イメージしやすいよう解説していく