ニュース
HKS、RB26コンプリートエンジンに使用する2ピースピストンを「人とくるまのテクノロジー展2026」で展示
さらなる内燃機関の高効率化を目指す技術
2026年5月29日 08:00
- 2026年5月27日~29日 開催
エイチ・ケー・エスとはアフターパーツの分野でお馴染みの「HKS」のことである。同社はアフターパーツ事業の他に、自動車メーカーなどを相手としたサプライヤーとしての側面も持っている。そのため「人とくるまのテクノロジー展」には毎年ブースを出展している。
ここ数年はIoTを中心とした製品やサービスの展示を行なっていたが、今年はアフターパーツ部門とのリンクを行ない「実証された技術で、次の標準を創る」というテーマでブースを構成していた。
エイチ・ケー・エスではこれまで培ってきた実証技術を基にして、サスペンションの開発や試験受託、そしてエンジンのさらなる効率化を目指す最新ピストン技術をメインに据え、さらにパーツ製作の技術やノウハウを生かして、昨今、需要が高まっている旧車向けの補修部品製作にも進出していた。
最新ピストン技術
ブースの目立つところに展示されていたのが、最新ピストン技術の展示だ。展示されていたものは3次元プロファイルピストンというもので、これはピストンスカート部分に、ミクロンオーダーの3次元形状加工を施すことで、フリクションが最も大きくなる膨張工程において最適な油膜分布の実現を目指したものである。これにより摩擦低減に貢献する。
また、ピストン上昇の初期における油膜保持に加えて、オイルの排出性と保持性を両立した設計とすることで、エンジン内部のフリクション低減も実現するというエンジン効率向上と高性能化に貢献する先進技術となっている。
副燃焼対応ピストン
プレチャンバーとは、簡単に言うと「エンジンの燃焼室内に、さらに副燃焼室を
作り、そこで強い火種を作ってから主燃焼室に火炎を吹き出す点火システム」のことだ。
通常のガソリンエンジンはスパークプラグが火花を飛ばして混合気を燃焼させるのに対し、プレチャンバー式では、スパークプラグ先端を小さなカバーで囲い、その中で混合気を燃焼させる。そしてその部屋の中での火炎が、副燃焼室に設けられた小さな穴からジェット火炎として主燃焼室へ吹き出すことで、従来よりも高い熱量を得ることができるというものだ。
レース用エンジンから始まったこの技術は、現在も継承されているが市販車のエンジンに使われることは未だにない。その理由は様々あると思うが、エイチ・ケー・エスでは、チューニングエンジンの燃焼効率向上によるハイパワー化と、排出ガスのクリーン化を目的にこの技術を数年間研究している。
今回の展示は完成技術ではなく、中まとめ的なものであり、大きく取り上げているのは副燃焼対応ピストン。従来のピストン形状では副燃焼室から吹き出てくる火炎ジェットがピストン上部と干渉することで、プレチャンバーならではの燃焼促進効果を十分に発揮できない状態になっていた。また、ジェット火炎の速度は音速を超えるものとなるため、その影響によるトラブルの心配もあった。
そこで試作したのが副燃焼対応ピストンである。特徴はジェット火炎の吹き出しを考慮したピストントップ形状。これまでにない形状は、火炎との干渉を抑制するためのものとなり、この形状であれば、ジェット火炎は燃焼の外周まできれいに広がるものとなるそうだ。
2ピースピストン
次に紹介するのは、RB26エンジンを3.0リッター化するキット(現在発売中)に使用される2ピースピストンである。
これは理想的なピストンピンの位置を実現するための技術。ピストンピンを高く設定することで、コンプレッションハイトの低減が可能となる。すると、ピストン重心と揺動中心との距離を短縮できるので摩擦損失の軽減が期待できるというもの。
そのために行なったのが2ピース化。ピストンピン位置に対して、ピストントップを「かぶせる」ような形でねじ込んで組み合わせるもの。これにより、従来のピストン形状では不可能だったオイルリングより高い位置にピストンピンを配置することを実現した。前記したようにこれは試作品ではなく、既にキットとして販売されているものである。
旧車用補修パーツ
日本車の旧車は世界中で人気となっている。そこで求められているのは補修パーツではあるが、パーツとしての在庫はとっくになくなっている。そして、新たに作るにしても、いろいろなハードルがあるが、エイチ・ケー・エスはピストンやカムシャフト、それにターボまで自社で作ることができる機材と人材があるため、その資産を生かして「図面はあるけど作ることができない」といったようなケースに対応できる体制をとっている。
今回はその取り組みの例として、カムシャフトやクランクシャフト、ギヤなどの加工品を展示していた。こうした再生のためのパーツと合わせて、最新ピストン技術のような効率を向上させるパーツを組み合わせることで、単に古いだけじゃなく、現在にも通用する環境性能を持った旧車を作り上げることができる日が来るかもしれない。










