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三菱自動車、第57回定時株主総会 「ランエボのような素晴らしいクルマをもう1度出せる会社にしていきたい」と岸浦恵介社長
2026年6月18日 16:20
- 2026年6月18日 開催
三菱自動車工業は6月18日、第57回定時株主総会を開催。例年どおり都内のホテルの会場に加えてオンライン視聴でも参加可能なハイブリッド形式で実施された。
今回の株主総会では、第1号議案「剰余金の処分」、第2号議案「取締役13名選任」の2案が決議事項として用意され、第1号議案は、技術革新や環境対応の推進といった持続的成長を果たすための資金需要の大きさを勘案しつつ、キャッシュフロー、財務状況、事業業績を総合的に考慮したうえで、期末配当として1株当たり5円の配当を行ない、中間配当の5円を含めて当期の配当を1株当たり10円の配当を実施することの是非を問う議案。配当総額は67億240万9075円としている。
第2号議案は同株主総会の終結時点で任期満了となる取締役の後任となる13人の選任について。このうち10人は前年度からの再任となり、4月1日から新たに三菱自動車の代表執行役社長 兼 COOに就任した岸浦恵介氏、社外取締役となる泉澤清次氏、秋山咲恵氏の3人が新任の候補者として指名委員会で決定されている。
議長である代表執行役CEO 加藤隆雄氏からそれぞれの議案について紹介されたあと、会場に足を運んだ株主によって議決権が行使され、郵送やインターネットを使って株主から寄せられた賛否と合わせ、両案とも原案どおり承認可決された。
協業を利用して“三菱自動車らしい”尖った商品づくりにリソースを集中したい
2025年度の事業報告などに続いて実施された質疑応答では、事前に文章で寄せられていた質問から株主の関心が高いと考えられる「商品及び協業戦略」「株価及び配当」の2点について加藤議長が回答。
「商品及び協業戦略」については、大変革期を迎えている自動車業界において、今後も知能化や電動化といったさまざまな分野でより高い技術力が求められるようになることが想定され、多額の投資や開発リソースなどを単独で捻出していくことは困難であり、ほかの自動車メーカー、部品メーカーなどとの協業は不可欠であるとの考えを示し、5月に発表した新たな「中長期ビジョン」でも説明しているように、日産・ルノーとのアライアンスによる補完体制は三菱自動車にとって強みの1つであると強調。この補完体制のもとで、限られた経営資源を自分たちが得意とする領域に重点的に配分して、1社での取り組みが非効率な領域においては積極的に協業パートナーの力も活用し、事業基盤の安定性を高めていくとした。
商品展開では三菱自動車の特徴であり、強みともなっている「オフロード商品群」「アセアン商品群」を軸として、新型「エクスパンダー」や中長期ビジョンの発表と合わせて公表した新型「パジェロ」など、“三菱自動車らしい”尖った商品づくりにリソースを集中したいと説明。とくにパジェロシリーズの投入については非常に多くの激励の声が寄せられ、“三菱自動車らしい”特徴を反映した商品を市場投入して期待に応えていきたいと意気込みを述べた。
一方で、自社のモデルだけでは対応しきれない欧州など個別市場のニーズに対しては、協業を活用して商品補完を実施。新たな中長期ビジョンで発表した北米での日産との新型ピックアップトラックプロジェクトも商品補完の一環と位置付けている。豪州ではホンハイ傘下のFoxtronが開発したBEV(バッテリ電気自動車)を2026年度から新たに導入することになり、協業については新たなパートナーも含めて検討を進めていくとした。
技術面では電動化や知能化といった領域でも、自分たちの強みや“三菱自動車らしい”技術に集中。ブランドを体現する技術を進化させていき、この一環として部品メーカーとの共同開発にも取り組み、電動化については独自開発を進めてきたPHEV(プラグインハイブリッドカー)の技術を軸として、今後はハイブリッドシステムやPHEVの採用車種を拡大する計画となっている。
また、先端技術の分野では、日産・ホンダとの戦略的なパートナーシップの枠組みを活用してさまざまな可能性を検討していく。一方で三菱自動車が得意とするアセアン事業やトライトンをはじめとするフレーム車など、自分たちの強みを生かせる領域では協業パートナーに貢献して相互に付加価値を創出する補完関係を構築していく。
協業についてはすでに公表しているものだけではなく、さまざまな検討を進めていることを明かし、公表できるタイミングが来たときに伝えていくとした。
「株価及び配当」については、昨今は自動車業界全体で株価が低迷しているが、とくにこの1年は三菱自動車の株価が低迷しており、経営陣として重く受け止めているとコメント。この理由の1つとしては、2025年度の前半に複数モデルで販売終了のタイミングが重なって一時的に販売規模が落ち込んだことが株価にも影響したとの分析を披露。一方、年初来では業界全体の不透明感もあり、自動車メーカーのなかでも平均的な水準で株価は推移していると述べた。
株価改善にはまず三菱自動車の収益向上で結果を出し、信頼を獲得することが必要であり、これに加えて厳しい環境下にある自動車業界において、アライアンスパートナーとの協業も含めた成長性を明確にしていくことも非常に重要だとの考えを示した。
三菱自動車では5年連続で黒字を達成して、相応の自己資本と手元現金を確保。財務的に健全な状況であるとアピールし、新たな中長期ビジョンで示している施策を1つひとつ実行して期待に応えていくと今後について語った。
配当は説明している施策でしっかりと収益を確保していくことで、10円/株を下限とする安定的な配当に加え、収益改善に応じて配当を増加させていく累進配当による着実な株主還元に取り組んでいくと説明した。
「ランエボのような素晴らしいクルマをもう1度出せる会社にしていきたい」と岸浦社長
会場に足を運んだ株主との質疑応答では、パジェロの復活を喜ぶ声に続き、「ランサーエボリューションやディアマンテ、ギャランといった車種についても復活させてもらえるようお願いしたい」との要望が示された。これについて加藤議長は「パジェロの復活は喜ばしいとのお声をいただきまして、大変ありがとうございます。われわれ一同勇気付けられるご発言かと思います」と述べ、今後の商品展開については岸浦社長に回答が委ねられた。
岸浦社長は「ランサーエボリューション、ディアマンテ、ギャランといった車種は三菱自動車にとって非常に大切なクルマでありまして、われわれも宝だと思っております。今の時点ではこれらを投入するという具体的な計画はございませんが、皆さまのご期待に応えられるように、将来こういった素晴らしいクルマをもう1度出せるような会社にしていきたいと思っております。私はその先頭に立って頑張っていきますので、株主の皆さまにもご支援を賜わりますとありがたいと思います」と、明言は避けつつ意気込みを語った。
また、4月1日から代表執行役社長 兼 COOに就任した岸浦社長には、“モリゾウ”の愛称でも多くのファンを持つトヨタ自動車の豊田章男会長など競合他社の経営陣を念頭に、「クルマや運転は好きですか?」「WRCに再びワークス参戦する考えはありませんか?」といった質問も投げかけられた。
これに対して岸浦社長は「まず、個人としてはクルマの運転が大好きでございます。学生時代に最初に乗ったクルマは、ランサーのエボリューションではなく『ランサー ターボ』という非常に古い、重ステでマニュアルのクルマに乗っていました。FR車でしたがそれでスキー場にも行っていました。今もクルマの運転は大好きです」。
「WRCのワークス参戦というのは私にとっても夢でございます。先ほども口にしたように、現時点では具体的な計画はありませんが、将来的にWRCのような大舞台に三菱自動車が出ていける、そんな会社にしていきたいと思っておりますので、ご期待いただければと考えております」とそれぞれ回答している。
このほか、株主と従業員のそれぞれに向けたメッセージを問われ、岸浦社長は「まず、会社をしっかりと成長させていく、持続的に成長させていくことで、その結果として株主の皆さまにも配当を含めて十分な還元をしていければと思っております。その活動の先頭に立って、全力を尽くしていくという決意でございます。私は1993年に三菱自動車に入社いたしまして、名古屋にあった大江工場ところから33年間、世界中で営業活動などのキャリアを積んでまいりました。その経験を十分に生かして株主の皆さまのご期待に応えられるよう頑張っていきたいと考えております」。
「従業員に向けたメッセージですが、これは非常に重要なポイントだと認識しております。社長就任以来、いろいろな会合で、全社員に直接メッセージをお伝えしておりますし、今後も各製作所、そして各国を回って直接私から5月に発表した新中長期ビジョンを含めて、これから三菱自動車が目指していく姿、社員の皆さんに期待することなどを私の口から伝えていきたいと思っています」。
「なにより一番お伝えしたいのは、社員の皆さんが働きやすい、働きがいが持てる環境を経営者や組織として作っていきますので、社員の皆さんに実力を発揮していただきたい、それぞれのキャリアを伸ばしていただきたいということが、私から従業員の皆さんに伝えたいメインのメッセージになります」とコメントした。
このほか、販売を停止しているロシア市場に再参入する考えはないのかという質問には加藤議長が回答。「私もロシアには4年間おりましたので現地の状況は非常によく知っております。確かに三菱自動車のブランドはロシア市場で比較的強い状況でした。しかしながら、現在の国際情勢を鑑みますと、他国に軍事的な侵攻を行なうということに対して、グローバルでまだ批判が非常に強いのではないかと考えております」。
「従いまして、現在のような状況がこれからどのように変化していくのか、しっかりと見守っていきたいと考えております。ロシアは可能性のある地域ではありますが、現状ではやはり少し難しいのではないかと考えており、引き続き状況をしっかりと見て判断してまいりたいと思います」と語り、現時点での見解を示した。









