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ダンロップの新スタッドレスタイヤ「ウィンターマックス アイスプロ」発表会 氷上性能に特化したコア技術を詳説

「“氷上のプロフェッショナル”と呼ぶにふさわしいタイヤに仕上げた」

2026年7月1日 実施
ダンロップの新スタッドレスタイヤ「ウィンターマックス アイスプロ」の発表会が都内で実施された

2026年は“ダンロップ”ブランドでグローバルに挑戦する年

 ダンロップ(住友ゴム工業)は7月1日、新スタッドレスタイヤ「WINTER MAXX ICE Pro(ウィンターマックス アイスプロ)」の発表に合わせて、都内で発表会を実施した。

 冒頭に登壇した住友ゴム工業 常務執行役員 タイヤ事業本部 タイヤものづくり統括 水野洋一氏は、2025年1月に欧州、北米、オセアニアと獲得してきたダンロップ商標権が、2026年1月にはマレーシア、シンガポール、ブルネイと拡大し、グローバルにダンロップブランドで挑戦できる準備が整ったと説明。

 また、2025年12月に公表したダンロップブランドの存在意義“イノベーティブな体験を通じて、人々にポジティブな感情を生み出すこと”に触れ、「ダンロップは挑戦を象徴するグローバルプレミアムブランドを目指します」とあいさつ。

住友ゴム工業株式会社 常務執行役員 タイヤ事業本部 タイヤものづくり統括 水野洋一氏

 さらに、ブランドムービーについて水野氏は、「ダンロップが目指す世界観をまとめたもので、新ブランドステートメントである“TAKING YOU BEYOND”を実現するためのダンロップの提供価値が、“挑戦を支える安心”“期待を超える体験”“限界への挑戦”であり、革新的な製品やサービスでその実現を目指す姿を表現した」と紹介。

【ダンロップ】ブランドムービー(2026年7月1日)(1分36秒)

人を思う信念が生み出した新たなスタッドレスタイヤ

 日本の過酷な冬道対策の主役は、1980年代までスパイクタイヤだったが、1990年に「スパイクタイヤ粉塵規制法」が制定され、翌年からスタッドレスタイヤが普及。ただし、金属製のピンで氷上路面を削りながら止まっていたスパイクタイヤと比べると、普及当初のスタッドレスタイヤは氷上では滑りやすいといった課題があった。

スタッドレスタイヤは1991年から普及したがまだまだ氷上路面では滑りやすい課題があった

 そこでダンロップは、“ユーザーに危険な思いをしてほしくない。もっと安心安全に冬を過ごしてほしい”と考え、氷上性能の限界に挑戦することで、期待を超える冬の安心体験を提供できる新たなスタッドレスタイヤの開発を推進。そして今回発表したのが、アイス性能に振り切った氷上性能特化型のプロフェッショナル製品「ウィンターマックス アイスプロ」となる。

【ダンロップ】新スタッドレスタイヤ「ウィンターマックス アイスプロ」発表(56秒)

 最後に水野氏は、「ダンロップは、獣医師ジョン・ボイド・ダンロップ氏が、息子のためにタイヤを作ったことからスタートしました。息子への愛情が生み出した1本のタイヤ。誰かのためにより良いものを生み出すこと。その信念のもと130年以上もの間、革新的な技術や情熱で多くの商品を世に送り出してまいりました。アイスプロも“人を思う”、その信念が生み出した商品です」と締めくくった。

新スタッドレスタイヤ「ウィンターマックス アイスプロ」

新製品「ウィンターマックス アイスプロ」の開発コンセプト

 続いてタイヤ事業本部 国内リプレイス営業本部長 兼 ダンロップタイヤ 代表取締役社長 牧野明人氏が登壇し、ウィンターマックスシリーズの歴史を振り返った。

住友ゴム工業株式会社 タイヤ事業本部 国内リプレイス営業本部長 兼 株式会社ダンロップタイヤ 代表取締役社長 牧野明人氏

 ウィンターマックスは、冬道の不安を安心へ変えるスタッドレスブランドとして展開し、2026年で15年目を迎えた。2012年に発売した「ウィンターマックス01」は、従来品「DSX」から氷上性能を中心に各性能を向上。特にライフ性能は従来品から大幅に上げることに成功した製品になるという。

 また、2016年には後継モデルとなる「ウィンターマックス02」を発売。01から氷上性能、効きの長持ち、ライフを向上。そして2020年には、02からさらに氷上性能を高めた「ウィンターマックス03」を発売。採用技術であるナノ凹凸ゴムによる“噛み合うように氷に密着する”ことで、ロングライフの強みに加えて、氷上性能を大幅に向上させた。

ウィンターマックス01
ウィンターマックス02
ウィンターマックス03
従来のウィンターマックスシリーズの性能イメージ

 また牧野氏は、エリア別スタッドレスタイヤの販売需要の推移に触れ、「冬時期に降雪の少ないエリアでも、スタッドレスタイヤの需要が一定にあるため、冬道以外の路面にもしっかり対応する、バランスの良いスタッドレスタイヤをこれまでは開発してきた」と言及。

 しかし、従来のオールシーズンタイヤでは実現できなかった氷上路面を含め、あらゆる路面を走行可能にした次世代オールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」の登場により、スタッドレスタイヤの開発にも転機が訪れたという。

エリア別スタッドレスタイヤの販売需要の推移

 そこで新製品の開発について牧野氏は、「最も危険な表情路面でも、最高の安心を届けることにある。また、冬時期に降雪の多いエリアでは、過去から氷上路面における安心感を求めていて、それは今でも変わらない。であれば商品コンセプトを“氷上に振り切ったスタッドレス”とし、氷上性能と相反する性能を抑えることで、氷上性能をさらに高められないか?」と新たな挑戦に着手したという。

従来品と新製品「ウィンターマックス アイスプロ」の考え方とレーダーチャートの比較

 新製品ウィンターマックス アイスプロの体験価値は、過酷な凍結路面でも心にゆとりを持でることで、ターゲットユーザーは、普段から氷雪上路面を走行する頻度が高い人。氷上路面でより安心して走行したい人。例えば北海道に住む4人家族で、子供がいて仕事も子育ても忙しい世代。冬時期は通勤、子供の学校や習い事の送迎、家族でのお出かけなど、毎日氷雪上路面を走行する人となる。

ウィンターマックス アイスプロのターゲット像

 次世代オールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」が登場したことで、ウィンターマックス アイスプロは氷上性能に特化した製品となり、よりターゲット層が明確化。冬のニーズは降雪エリアと都市部を中心とした非降雪エリアで異なり、牧野氏は、「年間の走行シーンのほとんどがドライ&ウェイト路面だけど、冬時期に数回ほど氷雪路面を走行する。またタイヤ交換、タイヤ保管などのわずらわしさから解放されたい。天候に左右されない日常を過ごしたいなど、日常生活の利便性と安心感を求める人はシンクロウェザーを、冬時期はほぼ毎日積雪・凍結路面を走るので、より安心して運転したい人や、凍結路面のなか家族の送迎をするので、より安全を優先したい人は、新製品のウィンターマックス アイスプロをお薦めします」と説明を締めくくった。

スタッドレスタイヤの「ウィンターマックス アイスプロ」のお薦めユーザー層
次世代オールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」のお薦めユーザー層
ウィンターマックス アイスプロとシンクロウェザーの主力エリア

新製品アイスプロに搭載されたコア技術とは?

 最後は、執行役員タイヤ事業本部 技術本部長 先行開発本部長 田中進氏が登壇し、ウィンターマックス アイスプロに搭載された技術解説を行なった。

 田中氏によると、これまでウィンターマックスシリーズは、各性能をまんべんなく向上させ、あらゆる性能で満足できるように開発を進めてきたが、タイヤの性能には相反があり、全てをまんべんなく向上させるには限界がある。

タイヤの性能には相反関係があるから開発が難しい

 また、シンクロウェザーをラインアップしたことで、降雪地域向けにはこれまでにないレベルで氷上性能を追求した開発を進められ、ウィンターマックス アイスプロは、これまでとは全く違う開発思想から生まれたという。

住友ゴム工業株式会社 執行役員タイヤ事業本部 技術本部長 先行開発本部長 田中進氏

ゴムがふんばることで路面との密着状態が持続する

 新製品アイスプロの氷上性能向上のキーコンセプトは、「いかに路面との密着状態を持続させるか?」で、密着状態を持続させるために開発したメイン技術が「ふんばり吸水ゴム」となる。

新たに「ふんばり吸水ゴム」を開発

 ゴムが吸水して、氷上で滑る原因となる水膜を限りなく取り除き、路面の凹凸に柔らかいゴムが密着するのは、一般的なスタッドレスタイヤの氷上グリップメカニズムと同じ。しかし、新規開発のふんばり吸水ゴムは、新たに「低温ふんばり剤」を配合したことで、路面に密着したゴムがよりしなやかに変形し、路面からの力を吸収して減衰させることでグリップを生み出すのが大きな特徴。

吸水することで滑る原因となる路面の水膜を取り除く
低温状態でぶんばりを向上させる「低温ふんばり剤」も開発
柔らかいゴムが路面の凹凸に密着
密着状態が持続することで滑りにくい

 さらにゴムがふんばることで密着状態が持続、ブレーキ時にもゴムが氷上路面で滑らずに、これまで以上に高い氷上グリップを実現した。その結果、従来品のウィンターマックス03と比較して、氷上ブレーキ性能が25%、氷上旋回性能が9%向上している。

従来品のウィンターマックス03と比較して、氷上ブレーキ性能が25%アップ、氷上旋回性能が9%向上している

経年しても密着状態を持続させる「うるおいポリマー」

 氷上性能の効きを持続させるために大切なことは“柔らかさの持続”で、人肌と同じくタイヤのゴムはうるおいがあるほど柔らかさが保たれる。タイヤの場合、このうるおいにあたるのがゴム内部のオイルで、一般的には年数が経つとオイルが抜けてゴムが硬くなり、氷上で路面に密着できなくなってしまう。

ゴムの柔らかさを持続させるにはうるおいが大切

 そこでダンロップは、通常のオイルは経年に合わせてゴムから抜けていくが、抜けにくい性質の「うるおいポリマー」を使った液状ゴムを採用。従来モデル02にも同じ効果のあるポリマーは採用しているが、今回は異なる新規材料を使用しつつ、さらに配合量を増量したことで、氷上性能の効きと持ち効果を向上。従来品と比較して新品時の氷上性能はもちろん、4年後相当の氷上性能でも効きが持続するようになった。

新規材料の「うるおいポリマー」を採用
氷上性能の効きと持ちが長くなった

密着を持続させるためにプロファイルとパターンも最適化

 密着の持続に関しては、ポリマーの配合だけでなく、パターンやプロファイルでも追及していて、密着状態を長く持続するために、接地面を最大限に生かす専用の新プロファイルを開発。さらに密着状態を確保するためにサイプ(細かい溝)の量を増やして効果的に除水。また、主に雪上性能の向上になるが、ショルダー部にはグリップエッジを採用し、雪氷をしっかり引っ掻いて止まるエッジ効果も向上させている。

接地面を最大限に生かす専用の新プロファイルを開発
密着状態を確保するためにサイプ(細かい溝)の量を増加
結果的にウィンターマックス アイスプロは、ライフ性能を少し下げることで氷上性能を大幅に伸ばした

 最後に田中氏は、「今回新たに開発したアイスプロは、従来のスタッドレスタイヤよりも氷上性能を特化させたタイヤです。今までのウィンターマックスシリーズとは一線を画した“氷上のプロフェッショナル”と呼ぶにふさわしいタイヤに仕上げました」と解説を締めくくった。またプロフェッショナルつながりで、2年前からパートナーであるメジャーリーガー大谷翔平選手からのビデオメッセージが放映された。

【ダンロップ】新スタッドレスタイヤ「ウィンターマックス アイスプロ」発表会に大谷翔平選手からビデオメッセージ(40秒)

 なお、新製品スタッドレスタイヤ「ウィンターマックス アイスプロ」は、2026年8月より順次発売予定で、サイズ展開は13インチ~22インチまでの計99サイズのラインアップとなっている。

発売時期とサイズ展開
ウィンターマックス アイスプロのコンセプト
発表会場に展示されたモニュメント