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トヨタ、「曲がれるABS」など新制御と新サスセットをスーパー耐久のGRヤリスに投入

2026年7月24日 発表
トヨタ自動車株式会社 GAZOO Racing Company GR統括部 GRヤリス プロジェクト・ゼネラル・マネージャーの山田寛之氏。市販車のGRヤリスシリーズを統括する

 スーパー耐久第5戦が7月25日~26日の2日間にわたってオートポリス(大分県日田市)で開催されている。トヨタ自動車は、ルーキーレーシングと組んだ「TOYOTA GAZOO ROOKIE Racing(以下、TGRR)」としてニュルブルクリンク24時間レース仕様のGRヤリスを持ち込んでいるが、そのほかトムスと組み「GR Team SPIRIT」として104号車 GR Yaris DAT Racing Concept(田所元/山下健太/鈴木斗輝哉/河野駿佑)をエントリーしている。

 この104号車は、現在市販されているGRヤリスをベースに、近い将来のGRヤリスのための開発が行なわれている。この104号車の取り組みについて、市販車のGRヤリスシリーズ全体を統括するGAZOO Racing Company GR統括部 GRヤリス プロジェクト・ゼネラル・マネージャーの山田寛之氏に話をうかがった。

32号車のGRヤリスとは異なるセッティングが施されている104号車。今回は、柔らかくしなやかなサスペンションと、新制御「曲がれるABS」が開発テーマ

 山田氏によると、今回の104号車 GRヤリス DATの開発テーマはサスペンションを柔らかくすることと、曲がれるABSの開発だという。

 一般的にレーシング車両であると、動きの単純化などサスペンションセッティングを硬め方向にセッティングしていくことが多い。姿勢変化を抑制し、ロールが大きくならない方向にすることで速さを求めていく。

 ところが、このGRヤリス DATでは従来よりも柔らかくセッティングしてあるという。もちろん市販のGRヤリスよりは硬めなのだが、これまでのセッティングよりはバネレートを大幅に下げているとのことだ。

 バネレートを下げるとロール量は多くなってしまうが、その中でタイヤの接地性改善などを見ていく。オートポリスはアップダウンが多いため、そうした状況を見ていくには適しているサーキットになる。

新ブレーキ制御「曲がれるABS」を投入

 タイヤの接地性を上げつつ取り組んでいるのが、山田氏が「曲がれるABS」という新しいブレーキ制御。直線からコーナーに入るためには、減速のため、そしてフロントへの荷重移動のためにブレーキが必要になるが、これを曲がりながら効くものにしていくことでコントロール性の向上を目指す。

 タイヤは一般に摩擦円という概念で、タイヤの持つ性能を前後方向、左右方向の合算値として考えることが多い。ブレーキ力を最大限に発生させるためには、直線状態でしっかりグリップする状態でブレーキを行ない、前後方向に発生する最大の摩擦力で減速にいく。その際にタイヤがロックして摩擦力を失わないようにするのがABS(Anti-lock Brake System)で、タイヤのスリップ状態を見ながらブレーキ力を断続的にコントロールしている。

 山田氏のいう、「曲がれるABS」はクルマの状態をさまざまな形で把握。ステアリングを切り込んでいく状態でもタイヤはロックすることなく減速していくというものらしい。

 このあたりは、実際にレースに投入して、ドライバーのコメントをもらいながら制御を作り込んでいくとのこと。足を動く形にして、ブレーキのコントロール性を上げる。

リアウィングも新デザインのものを投入

スワンネックタイプの新リアウィング。市販も考慮したデザインとなっており、角を丸めるなどの配慮が行なわれている

 そのほかのアップデート内容としては、新デザインのリアウィングを装着。フロントまわりにも新形状を投入している。このリアウィングは角も丸めてあり、市販を考慮しているものになっているという。

 GRヤリスシリーズを統括する山田氏としては、ニュルブルクリンク24時間レース仕様車は少し遠い未来のGRヤリスに対する技術開発、104号車は近い未来のGRヤリスに対する技術開発とのこと。

 山田氏が特に見てほしい点は、32号車GRヤリスと104号車GRヤリスのコーナリング姿勢の違いだという。ニュル仕様車も足が動く仕様になっているものの、104号車はさらに足が動く仕様になっている。そのため、同時にコーナリングに入っていくような状況になれば、2台の姿勢の違いが分かりやすいだろうという。

 明日の決勝レースは5時間もあるため、2台が連なって走る瞬間があるかもしれないし、トヨタとしても姿勢の違いを確認する瞬間を作るかもしれない。決勝レースでは、32号車、104号車の姿勢の違いを見ながらトヨタの開発というものを実感してみていただきたい。