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日産、受注好調の新型「キックス」のユーザー動向に関して、マーケティング本部の寺西章氏が解説
2026年8月6日 07:00
- 2026年8月5日 実施
日産自動車は8月5日、決算発表会(8月3日実施)で紹介したように、新型「キックス」の受注台数が1万1388台(8月3日時点)となったことを受け、受注状況やユーザーからの声について日本マーケティング本部 チーフマーケティングマネージャーの寺西章氏が解説するオンライン説明会を開催した。
新型キックスは、駆動方式に2WDと4WD(e-4ORCE)を設定。グレードは、2WDが上位からG、X+、X、Xシンプルパッケージ、4WDがG e-4ORCE、X+ e-4ORCE、X e-4ORCE、X e-4ORCEシンプルパッケージという展開だ。傾向としては、2WD、4WDともにGとX+の上位グレードの人気が高いという。
新型キックスでは、競合車に対する価格競争力を持たせるために、XやXシンプルパッケージを設定。そして日産ではこれらグレードへのニーズも高いと想定していたが、初期の受注状況はその想定から外れる形となった。この点について日産では、価格だけでなく、新型キックスの商品としての魅力を評価してもらえた結果だと分析しているとのこと。
また、新型キックスでは、2WDに加えて先進の4WDシステムであるe-4ORCEを採用しているだけに、駆動方式ごとの受注状況も気になるところだが、内訳としては2WDが65%、e-4ORCEが35%にとなっている。
結果、旧型キックスの4WD比率と比較すると、新型では4WDを選ぶユーザーが増えていることが分かった。これは日産からの情報発信に加え、さまざまなメディアでe-4ORCEの走りが取り上げられたこと、さらに販売店での試乗をきっかけにe-4ORCEの走行性能が評価された結果だと受け止めているそうだ。
こうした状況を踏まえて新型キックスの販売を伸ばすためには、より多くの人に実際にクルマを見て触れてもらうことを重要なポイントとして捉え、そこで今後は新型キックスだけでなく、新型「エルグランド」も含め、第3世代e-POWERやe-4ORCEを体験できる試乗キャンペーンなども計画しているという。
メーカーオプションの選ばれ方
新型キックスでは、ナビゲーションや音楽、スマートフォン連携、通信サービスなどを車内のディスプレイでまとめて利用できる車載情報システム「NissanConnectインフォテイメントシステム」をはじめとしたメーカーオプションを設定している。これらの注文傾向に関するデータも公表された。
ちなみにこれらデータには一部セットオプションの設定になっているものもあるが、その中から代表的なアイテム名を掲載している。また、グレードによっては標準装備となっているものもある。このように少々複雑な内容になるが、その中でも目立っているのが「NissanConnectインフォテイメントシステム」の装着率の高さだろう。Gでは82%、X+でも59%と高い数値になっている。
これはグレードの選ばれ方と連動したもので、ユーザーは新型キックスに対して、お手ごろなコンパクトSUVという認識ではなく、こだわりを持って選ぶクルマとして見られていることが分かる結果となっている。
なお、「NissanConnectインフォテイメントシステム」には、Google搭載機能を省いた「NissanConnectインフォテイメントシステム[シンプル]」といった仕様もあり、これはG、G e-4ORCE、X+、X+ e-4ORCEには標準装備される。そしてナビゲーションは、Googleの代わりに「ナビゲーション by ゼンリン」となる。
もう1つ、高い装着率を示しているのが、Gグレードにおける「BOSEパーソナルプラスサウンドシステム」だ。コンパクトSUVでありながら高機能なオプションが選ばれていることについて、寺西氏は「新型キックスは、他社のコンパクトSUVとは違い、こだわりやしつらえをアピールするクルマとしています。そこを理解していただいたお客さまに、せっかくだから、どんどんよい装備を付けたいよねと思っていただけているのではないかと受け止めています」と分析しているとのこと。
続いてボディカラーの選ばれ方について。新型キックスは、2トーン4色とモノトーン5色の設定。受注状況では、2トーンの比率が44%と高いものとなった。旧型キックスにも2トーンの設定があったが、その比率は28%だったことを考えると、新型は2トーンがより選ばれる傾向になっている。この点について寺西氏は、「エクステリアデザインが個性的で特徴的なため、2トーンとの相性がいいのではないか」と分析。特に発売初期に購入したユーザーではそうした傾向が強く、それが人気の理由ではないかと語った。
日産車からの乗り換えが多数だが、徐々に他銘柄からの乗り換えも増えている
新型キックスを選んだユーザーは、77%が日産車に乗っていた人で、23%が日産以外のクルマに乗っていた人となる。この点は、旧型キックスやX-TRAILに乗っていた人たちが、発売初期のタイミングで先行して購入した傾向が影響しているとのことだ。
ただ、発売当初こそ自銘柄からの乗り換えが多かったのに対し、その後の受注状況を見ると、他社のクルマに乗っていた人の購入比率が高まっている。具体的には、6月が18%だったのに対して7月は26%となり、8月の最初の週末だけを切り出した数字では23%となっている。
数字は発売当初と比べれば上昇しているだけに、今後は他社からの乗り換えも増えていくのではないかと見通しているそうだ。寺西氏も「われわれとしても、改めて日産に振り向いてくれるお客さまを増やしていきたいと思っています。その中で他社からの乗り換えが増えてきていることは、そうした狙いが少しずつ実現しているのかなと思っているところです。今後もこの水準を維持していきたいですし、できれば、もう1段階うえの数字を取っていきたいと思っています」とコメントしていた。
年齢層では、50代が最も多い結果となっている。これは現在の日産車全体の傾向でもあり、初期に乗り換えたユーザー自体の年齢層が高かったことも大いに影響しているという。それだけに今後の動向が注目されるが、日産としても若年層へのアピールを強く進めている。クルマ作りでも新型キックスでは若年層に向けて何を発信し、どのようなことができるかを検討してきた。「今後もそうした取り組みを続ける必要がある」と寺西氏は語っていた。
「かっこいい」「走りがいい」「お買い得価格」と高評価が並ぶユーザーの声
ユーザーからの声をまとめた資料について寺西氏は、「われわれも発表以降、インターネットやSNSなどを見ていますし、日産の販売店からもお客さまの声を共有してもらっています。その中から特徴的なものを紹介したのが、今回の資料です。新型キックスに対して、率直に“かっこいい”といっていただきました。このクルマは、たくさんのお客さまに振り向いていただきたい、注目していただきたいと思っていたので、そこが評価されたことは非常にうれしく思っています」と喜びの気持ちを語った。
さらに「シートの座り心地が最高、後席も広くて居心地がよいという声もいただいています。インテリアデザインのよさも新型キックスの特徴ですが、デザインだけでなく、クルマとしての実用性や、長く乗れる、乗って楽しいといったところが評価されたと思っています」と付け加えた。
走りに関しては、第3世代e-POWERやe-4ORCEによる「進化した電気の走り」が評価されたことを紹介。“楽しい”“ちょっと感動した”など、直感的に出てきたようなコメントについて、寺西氏は次のように語った。
「われわれもこれまで、電気の走りの面白さや楽しさを継続的にアピールしてきたので、新型キックスを通じて、それを多くの人に感じていただけたことを喜んでいます。また、走りのよさだけでなく、この新しいパワートレーンについて“本当に静かだね”といっていただきました。さらに、降雪地域ではない地域の販売店からは、試乗したお客さまから“初めて4WDが欲しいと思った”というコメントもいただきました。生活の道具としての4WDではなく、走りが楽しく、乗り心地がよいから4WDが欲しいといっていただけたこと、e-POWERも含め、これらはすべて他メーカーとの違いをご理解いただけた部分なのかなと思っています」とユーザーの声に感動したことを紹介。
販売傾向でも触れたように、新型キックスは従来の日産ユーザーだけでなく、新しいユーザーの獲得も期待されているクルマである。販売会社からは、“展示車を見て、ついお店に入った”“少し試乗したら本気で欲しくなった”といった話が聞かれたそうだ。さらに、販売会社からも「このようにお客さまの動きが見えるクルマは久しぶりである」といわれたとのこと。
これらの声について寺西氏は、「これまで販売してきたクルマでも、発売時にお客さまを引きつけるような取り組みは行なってきました。しかし、新型キックスは道路沿いの見える位置に置いておくと、通りがかりのお客さまがじっくりとクルマを見ていくのが分かるという話を聞きました。クルマのよさは乗れば分かるという面もありますが、お客さまの目を引く魅力的なデザインを含め、見ただけで気に入っていただけるようなパワーが新型キックスにはあるのではないかと思っています。そのうえで試乗していただければ、もっと好きになってもらい、それが購買行動につながるという流れができているのではないかと思っています。そうしたクルマでありながら、“予想よりも安くて驚いた”“この内容でこの価格はお買い得”という声も上がっています」と、好意的な反響を紹介した。
最後に納期について触れ、初期の受注では、グレードやオプションについて想定を上まわる注文があったため、一時的に案内する納期が長くなったそうだ。ただしこの遅れに関しては、サプライヤーとの連携を強化することにより、少しでも早くユーザーにクルマを届けられるよう、体制作りを進めているとのこと。
ちなみに、新型キックスを生産する工場は、閉鎖が決定している追浜工場である。ここではノートやオーラなど、日産の主力車種も生産されているため、新型キックスを含め、生産能力をフルに使っている状態だという。そして、追浜工場の閉鎖後は九州の工場で生産を継続するとのことだ。
デザイン、性能、価格といった面でユーザーからの評価が高いものとなった新型キックス。今後は他メーカーからの乗り換えを含めて、さらに販売台数を伸ばすものとなるのではないだろうか……。






