NEXCO東日本、「雪道体験ドライブレッスン」参加リポート
「パラダ」スキー場で、ノーマルとスタッドレスタイヤを乗り比べ

スキー場の特設コースで、ノーマルタイヤ装着車とスタッドレスタイヤ装着車を乗り比べ

2010年1月30日、31日開催
参加費無料



 NEXCO東日本(東日本高速道路)は、雪道での安全運転をポスターやパンフレットなどさまざまな方法で呼びかけているが、実際に雪道を体験してもらうイベントも開催している。昨年12月には北海道のサッポロテイネスキー場において、スノードライビングスクールを開催しているが、1月30日、31日に長野県の佐久スキーガーデン「パラダ」駐車場においても、ノーマルタイヤ装着車とスタッドレスタイヤ装着車を乗り比べることができる「雪道体験ドライブレッスン」を、昨シーズンと同様に開催した。本記事では、1月30日の模様を紹介する。

 パラダは、上信越道 碓井軽井沢IC(インターチェンジ)と佐久ICの間に位置する佐久平PA(パーキングエリア)と直結するスキー場(もちろんスノーボードもOK)で、高速道路直結スキー場として知られている。パラダでスキーやスノーボードをする場合は、ドライブレッスン会場に直接滑り込めるが、レッスンのみが目的の場合、佐久平PAを出て北斜面側にある会場に向かうことになる。

佐久平PAは上信越道の碓井軽井沢IC~佐久IC間に位置する。碓井軽井沢ICからは 15.8km、佐久ICからは3.0kmの場所にある。左は碓井軽井沢IC方面から見た佐久平PA、右は佐久IC方面から見た佐久平PA佐久平PA内にある、パラダの案内。案内どおりに進むと第1PAから第2PAに到着し、第2PAがパラダとの直結駐車場になる
佐久平第2PA。スマートPA出入口も見える右の高台に見えるのがパラダスキー場の南側センターハウス。左のエスカレーターでアクセスできる会場のある北側に行くため、佐久平スマートPAから一般道に出る
パラダスキー場の北側センターハウス。特設コースはこのセンターハウスの左側にある駐車場に設置されていたパラダスキー場全体図。右側が南斜面、左側が北斜面になる。キッズランド左側の駐車場に特設コースが作られていたスノーメイキングマシンによって作られた特設コース。奥に見える一番高い山は浅間山

 パラダに限らず、近年のスキー場はスノーメイキングマシンと呼ばれる人工降雪機を備えており、レッスンが行われる20×80mほどの特設コースも、その人工降雪機によって作られていた。パラダの総支配人である三浦正宏氏によると、「およそ1カ月ほどかかって作った特設コース」とのことで、車を走らせるための十分な厚みを持っていた。

 レッスンは、誰でも無料で受けることができ、15時30分までの受け付けで1日の予定数は50名ほど。とはいえ、今年は天気がよいせいか申し込む人が多く、13時過ぎの時点で62名を超えていた。インストラクターは、前回同様エンドレスプロジェクト技術開発部の村田信博選手と、2007年、2008年と全日本ラリー選手権を2連覇した勝田範彦選手。2009年シーズンは、村田選手はスーパー耐久シリーズでチャンピオンを獲得し、勝田選手は全日本ラリーでシリーズ2位を獲得しているなど、トップクラスの現役ドライバーがインストラクターを努めているのもこのレッスンの魅力となっている。

インストラクターの勝田範彦選手。全日本ラリー選手権で常に上位に位置するトップドライバー勝田氏が使用するインプレッサも展示されていた
2009年には、スーパー耐久シリーズのST-2クラスチャンピオンとなった村田信博選手もインストラクターを務めた村田選手の所属するエンドレスのチューニングカー。ベース車両は、三菱「ランサーエボリューションX」

 受け付けを終えると、最初にインストラクターから雪道のレクチャーを受けることになる。このレクチャーでは、雪道ドライブの心得、雪道を走る前に準備するべきものなど、ドライ路面に比べて、滑りやすく危険なことの多い雪道に関する知識が得られる。少人数のレクチャーとなるので、普段気になっていることなどを気軽に質問できるのもポイント。

最初はインストラクターからの雪道運転に関するレクチャーを受ける。少人数なので、なんでも気軽に質問できるレクチャーの際に使用されているパネル。雪道走行のポイントや、雪道走行前の注意などが紹介されている

 レクチャーが終わると、いよいよノーマルタイヤ装着車とスタッドレスタイヤ装着車を乗り比べる。本来は、ノーマルタイヤ装着車を乗り終えてから、スタッドレスタイヤ装着車に乗るという流れだが、参加者が多いせいか、その時点で空いている車に乗り、乗り比べを行っていた。

 乗り比べるコースは、急加速→スラローム→右ヘアピン→急停止となるようなコース設定がされており、雪道での動きを体感してもらうような工夫が行われている。このコースを日産「キューブ」のe-4WD車を、2WD(FF)モードで走行する。

 実際にノーマルタイヤ装着車から乗り比べてみたが、ノーマルタイヤ車では、急加速や急減速時に、“進まない”“止まらない”といったことになる。スタッドレスタイヤ車では、確実に加速したほか、ブレーキによる制動距離もノーマルタイヤ車より明らかに短かった。この乗り比べは、タイヤの違いを実感しやすく、誰もがスタッドレスタイヤの優位性を理解できるようになっていた。

 ただ、当日は天候がよく、気温も上昇気味。そのため、雪面が溶けノーマルタイヤ車でも意外と走ってしまう。比較するとスタッドレスタイヤのほうが優れているのだが、「止まらないものの、ノーマルタイヤでも意外と走るね」という感想を持った人もいたようだ。勝田選手によると、午前中は気温も低く雪も凍結していて、ノーマルタイヤではツルツル滑って進まなかったものの、午後になって雪が溶け出したら、ノーマルタイヤでもそれなりに前に進むようになったとのことだ。

レッスンに使用する車は日産のキューブ。銀色(ダイヤモンドシルバー)のキューブがノーマルタイヤを履く
緑色(オーガニックオリーブ)のキューブがスタッドレスタイヤ装着車。スタッドレスタイヤは、ブリヂストンの「BLIZZAK REVO 2」を履いていた
特設コースは、1カ月かかって作られたもの。20×80mほどの大きさとなっているスタート地点。レクチャー後、基本的にはノーマルタイヤ装着車から乗り込む室内から見たところ。路面はフラットで運転をしやすいもの
スラロームエリア。ノーマルタイヤでは、リズムよく抜けていくのは難しい
スタッドレスタイヤだと、スラロームを抜けるのも容易だスタッドレスタイヤでは、雪面をとらえる能力が高く、雪の巻き上げ量も多かった
レッスンを終了すると、軍手やパンフレットなどに加え、エンドレスのステッカーをもらえるレッスン会場では、地元の農協が信州産の牛乳をアピールしていた。牛乳が無料で配られており、牛乳を目的に立ち寄る人も見受けられた

 このレッスンイベントを主催する、東日本高速道路 関東支社佐久管理事務所の谷川敏治所長によると、「パラダはファミリーのスキー・スノーボード客が多く、レッスンに関してもファミリー客の参加が多くなっています。とくに今日は天気もよく、朝一番からお客さんがひっきりなしで、よく利用されているようです」とのこと。昨シーズンは、関越自動車道の谷川岳PAでの開催もあったが、今シーズンなくなったことに関しては、「大雪で除雪作業など忙しい毎日が続いているため」とのこと。今シーズンの雪の多さの影響は、このようなところにも出ているようだ。

関東支社佐久管理事務所の谷川敏治所長とマンモシ博士。NEXCO東日本の冬の道路講座の講師のマンモシ博士は、“マンがいち”“モシかして”がネーミングの由来マンモシ博士は子供にも大人気。北海道のイベントの後、このパラダスキー場にやってきたそうだパラダスキー場のゲレンデでレッスン会場への呼び込みを行うマンモシ博士。レッスン会場には、スキーやスノーボードを履いたままゲレンデから滑り込める

 トップドライバーから雪道の講習を受けることができ、実際にノーマルタイヤとスタッドレスタイヤの乗り比べのできる雪道体験ドライブレッスン。参加費も無料なので、来シーズンも開催されるようであれば、スキー・スノーボードのついでに参加してみることをお勧めする。

(編集部:谷川 潔)
2010年 2月 1日