シトロエン、「C3」「DS3」発表会 「DS3はファッションアイテム。ワードロープの仕上げに」 |
プジョー・シトロエン・ジャポンは5月6日、神奈川県の横浜美術館で、新型「C3」「DS3」の発表会を開催した。
発表会には同社のティエリー・ポワラ社長、マーケティング部商品企画の関博幸グループマネージャーと、C3とDS3のデザインを指揮したオレグ・ソン氏が登場。C3とDS3のデザインコンセプトを説明した。
会場の横浜美術館前とホールにはDS3とC3が並べられた |
オレグ・ソン氏 |
■初代よりも“プレミアム”な新型C3
ソン氏は現在、上海PSAデザインセンターに勤務しているが、フランス本国で初代C3をデザインし、新型C3、DS3のデザインのディレクションに携わった。初代C3はソン氏が手がけた初めてのクルマで、新型にも思い入れが深いと言う。
新型C3のデザインチームへの注文は「デザインは自由に。ただし今までのお客様を維持しながら、新しいお客様を取り込むこと」だったと言う。具体的には、女性や若い顧客を獲得した「初代のフレーバー」を大切にしつつ、「よりダイナミックで、より力強く、よりプレミアム」を目指した。
もう1つ、新型C3のデザインにあたっては、DS3を同時に開発したことが大きな影響を及ぼした。C3とDS3はフロントセクションなどを共有する姉妹関係にあるが、クルマの性格は異なる。「C3、DS3の両方に使えるアイデアがほしかった」ので、デザイングループをいくつか作り、異なった場所で活動させ、デザインコンペを行った。
C3の外観でもっとも目立つのは「ゼニス フロントウインドー」。「世界が自分に向かってくるような体験ができる」というこのウインドー、1950年代にシトロエンが試作したヘリコプターのキャノピーの影響を受けているのだと言う。
インテリアもC3、DS3が同時に開発されたが「初代C3はシンプルなデザインで、プレミアム性が足りなかった。だから、初代を離れて、すべてを忘れて全く自由にデザインすることを使命とした。若いデザイナーに、“買いたくなる車、運転したい、夢に見るようなクルマをデザインしてくれ”と言った」。
大きくえぐられた助手席グローブボックス。物が入るのは右側だけで、容量は少ない |
ティエリー・ポワラ社長(左)とオレグ・ソン氏 |
■「DSラインは“レーベル”。“ブランド”ではない」
2代目であるC3に対し、ブランニューモデルであり、シトロエンの新たなシリーズ「DS」の嚆矢となるDS3は「まったく新しいクルマを作ることができるチャンス」だったと言う。
その「DSライン」は、シトロエンのブランド・スローガン「クリエイティブ・テクノロジー」を体現する新たなシリーズ。これをソン氏は「DSラインは新しい“レーベル”。“ブランド”ではない。シトロエンブランドの中の、新しいレーベル」と説明する。
DSのロゴは、DとSを組み合わせたモノグラムだが、「S」はシトロエンのエンブレム「ダブルシェブロン」を分解して組み合わせたもの。これは「豊かな伝統」を表すと言う。「D」にはもうひとつのシェブロンが付け加えられ、こちらは「新しいレーベル」であることを表す。さらにDSロゴは、ルイ・ヴィトンなどのモノグラムのように、多数を並べてパターンとすることができ、これは「DS3の後に、DSシリーズが続くことを示したかった」のだと言う。
MINIやフィアット500といったライバルに対して「アンチ・レトロ」を標榜するDS3だが、外観での最大のハイライト「フローティングルーフ」は実は1950年代のシトロエンで提案されたアイデア。しかし、それを支えるBピラーの「シャークフィンデザイン」は「未来感覚」だと言う。
「他とは異なるエキゾチックで、特異なものを作りたかった」というDS3のデザイン・アプローチは「流動的、彫刻的、驚き、クリエイティブ、マジック」。ソン氏のプレゼンテーションで提示されたイメージはいずれもファッションフォトであり、「DS3はファッションアイテム。ワードロープの仕上げ、最後の1点として選んで欲しい」と述べた。
DS3の特長は多彩なカスタマイズが可能なビークルパーソナリゼーション |
DS3のディメンション | エンジンはターボと自然吸気 | DS3の価格 |
DSシリーズのモノグラム | DS3をイメージしたファッションフォト | DS3のデザインスケッチ |
ティエリー・ポワラ社長 |
■「ノスタルジアに頼って再び作られたのではない」
プジョー・シトロエン・ジャポンのポワラ社長は、C3とDS3の販売目標を「2010年12月までにそれぞれ600台」、2010年のシトロエンブランドの目標を前年比約1.8倍の2500台と述べた。
ポワラ社長は「今日現在、DS3のスペシャルサイトのページビューは120万、Twitterのフォロワーは1300、すでに50台の予注を得ている」と述べ、販売目標の達成は確実で、目標を上回る結果がすでに出ていることを強調。
また、プジョー・シトロエン・ジャポンの国内ディーラーが36、セールス・サービスポイントが13、サービスポイントが14という販売・サポート体制の強化にも言及。この夏には新店を開くほか、2011年12月までにすべての拠点を新CIに切り替える計画を明らかにした。
こうした施策とC3、DS3の販売のほか、来年には新型C4、DSシリーズの新機種「DS4」を投入することで、2011年には、1995年に記録した販売台数3768台を上回ることを目論む。
C3のフルモデルチェンジは8年ぶり。日本では2008年に先代が販売終了となっており、2年ぶりの登場となる。この2台が属するBセグメントは、国産車はもとより、輸入車もフォルクスワーゲン ポロ、MINI、フィアット 500といった人気車がひしめく市場。ポワラ社長はC3、DS3を「シトロエンらしくある事という点で、この2台は“クリエイティブ・テクノロジー”のコンセプトをしっかりと身につけている。2台ともノスタルジアに頼って再び作られたのではなく、新しい時代への新しい提案」と紹介し、革新性を持って激戦区に臨む姿勢を明らかにした。
Bセグメント市場の概要。スタイリングを重視 | ||
ディーラー網を拡張し、新CIを導入。1995年の3768台を超える販売を目指す |
(編集部:田中真一郎)
2010年 5月 7日