「フォルクスワーゲン ポロTSI」長期レビュー
第1回:ポロ買いました


納車されたポロ。どんな燃費で走ってくれるのか、楽しみである

久しぶりのフォルクスワーゲン車
 昔から「ガイシャ」の入門ブランドと言われているフォルクスワーゲンだが、自身も初輸入車はフォルクワーゲンだった。そして入門させてもらった恩(?)も忘れ、その後は1度たりともフォルクワーゲン車を買うことはなく、今日までフォルクスワーゲン以外のクルマを乗り継いできた。

 今回、「ポロTSI」を買うに至った理由はシンプルだ。今、いちばんホットなクルマであり、ちょうどよいサイズのクルマであったからだ。

 いちばん“ホット”であると判断した理由は1.2リッターSOHCエンジン+ターボのダウンサイジング・コンセプトの採用や、自動変速機として世界の主流になりそうなデュアル・クラッチ・トランスミッション「DSG」を搭載していることなどだ。

 しかも、最新トレンドをすべて詰め込んだクルマにしては、200万円台前半と価格は控えめ。外見が新型に切り替わって時間がたっておらず、中身も最新なら、いろいろな面で新鮮さも長く保ったまま乗ることができそうと考えたからだ。

 また、クルマのサイズがどんどん大きくなっていく中で、1度は思い切って小さいサイズに戻ってみるのも必要と思ったのだ。ポロTSIの登場前、1.4リッターエンジンのポロの試乗をしてみたところ、小さいサイズゆえの心配は全くなく、むしろ運転の身軽さにたいへん満足した。

 兄貴分のゴルフにも1.2リッターターボの同じエンジンを積むモデルがあり、最初はこちらの購入を考えた。しかし、ゴルフのしっとりとした上質さは捨てがたいものがあるが、ポロの小さいサイズの身軽さは、ゴルフの安定感よりも自分には重要で、予想される実燃費、価格まで含めると、ポロという選択肢が最良のものと思えてきた。

本格受注開始前に予約するものの、すでに大人気
 しかし、ポロの購入に向けての動きは完全に出遅れた。発表直前になってから手配を始めたのだが、1.2TSIのポロは前評判の高さもあって発表前から受注が集まっており、正式に発表された5月24日の段階では約2カ月程度の納車待ち、ボディーカラーによっては数カ月以上かかる状態になっていた。

 幸いにも、旧知の営業スタッフがいる「フォルクスワーゲン 柏」から強力なプッシュをいただいていたせいもあり、本格的な受注活動直前に予約を入れることができ、なんとか7月初旬に乗り始めることができた。

 グレードとボディーカラーは、最初から「TSIコンフォートライン」のレッドに決めていた。オプションはほぼナシ。そもそもポロはメーカーオプションがほボ皆無だったこともあり、ひとまずは素の状態でクルマを体感してから、必要に応じて追加していこうと考えたのだ。ボディーコートなども勧められたが、これも後から考えみようと思ったので、かけなかった。

 そして、契約の際の見積りの中で、特に目を引くのがエコカー減税の部分だ。新車であれば車検までの期間は3年なので、いつもなら驚くほど高い重量税が1万1200円。取得税もたったの2万2800円だ。まさにこれがエコカーの75%減税による効果で、来年は自動車税が約半額だ。

 そしてもうひとつ、フォルクスワーゲンのダウンサイジング・コンセプトのメリットがある。自動車税は排気量で計算するので、ターボが付いていようがなかろうが1.2リッターならば1.6リッターや1.8リッターに比べてワンランク低い自動車税になる。エコカー減税の制度が終わっても続く恩恵なのでポロはまさに「節税車」である。

今回購入したのは「フォルクスワーゲン 柏」、ポルシェ、ランドローバー、ジャガーのディーラーも同じ敷地内に併設されている輸入車のデパートだエコカー減税車の見積りは初めて、重量税や取得税の安さに感激だ75%減税の証でもあるステッカーがリアガラスに貼られる

TSI コンフォートラインにした“言い訳
 1.2TSIエンジンを搭載するポロは、「TSIハイライン」と「TSIコンフォートライン」の2グレード構成。燃費などは変わらず、装備の違いで金額の差が約30万円ある。ここで「TSIハイライン」にしなかった(買えなかった)“言い訳”をまとめておきたい。

 まず、ベーシックカーはベーシックなグレードで乗ってみるのがよいという考えが第一。そして、ハイラインのプラス約30万円の装備に魅力をあまり感じなかったという理由もある。早い話がお金を節約したということでもある。

 もう少し、自分を納得させるためにも、ハイラインにしなかった言い訳をさらに並べてみたい。

 装備の差のうち、フォグランプを使わなければならないという場面はまずやってこない。「パークディスタンスコントロール」(バックソナー)は小さくて視界がよいポロには不要で、純正オーディオから交換すると音だけの警告になってしまうことと、バンパーがシンプルでなくなってしまうこと。プッシュボタン操作のオートエアコンも、マニュアルエアコンのほうが操作が簡単で、エアコンの節約がしやすいなど。

 コンフォートラインになくて、ハイラインにある装備のうち欲しかったものは、前席足下の照明「フットウェルランプ」と、掃除のしやすそうな5本スポークのアルミホイール。鉄ホイールは嫌いではないが、キャップ付きが苦手で、ならば昔のゴルフのような鉄ホイールがムキ出しのほうが好みだ。ホイールはできれば今後なんとかしてみたい課題である。

コンフォートラインで気に入った点はマニュアルエアコンコンフォートラインならバックソナーの黒い丸印がなくリアバンパーはすっきり
コンフォートラインの鉄ホイール&キャップ。どうせなら鉄ホイールそのままのほうが潔かった。ハイラインのフォグランプがある部分は、コンフォートラインではブラックアウトされている

サービスプログラムは登録後60日まで入るかどうか決められる
 オプションはなしとしたが、新車契約時に決めることの多いサービスプログラムの「New Service PLUS」(3万5000円)と延長保証も「なし」で発注した。ポロはもともと3年間の点検や定期交換工賃は無料となる「Volkswagen Professional Care」が標準装備されているが、その際のパーツ代は別途かかる。それを無料にするのが「New Service PLUS」なのだ。

 パーツといってもオイル、フィルタ、ワイパー程度で、これだけで3年で3万5000円もいくかどうかは微妙なところだが、なにせフラットワイパーやロングライフオイルといった高額パーツも含んでいる。損か得かはパーツの価格と、純正パーツという安心感をよく吟味した上で判断する必要がありそうだ。

 また、標準で3年の保証を4年または5年に延長する「Wolfi サポート」(4年:3万3000円、5年:7万8000円)についても「なし」とした。長期で乗れば何かトラブルが出てきそうな4~5年めあたりが保証期間になるのはうれしいが、次のオーナーに引継ぎができず、3年で乗り換えてしまえば全く無駄になってしまう延長保証のため、付けるべきかどうかがすぐに判断できなかったからだ。

 「New Service PLUS」と「Wolfi サポート」は新車登録から60日以内ならば、購入時と同条件で付加することができるので、これらは60日すぎる日までゆっくり考えようと思う。最初から付加したほうが有利と判断しているなら、購入時にオプションとして見積りをして値引き額が多少変わったかもしれないが、そこは振り返らずにじっくり考えようと思った。

 なお、「Wolfi サポート」は3年目の車検の前でも付加することができるが、その場合は金額が高くなる。

サービスプログラムのカタログ「New Service PLUS」では、3年間のパーツ代が無料に
延長保証の「Wolfi サポート」「Wolfi サポート」の気になる価格。新車登録から60日以内の加入がお得だ

南アから海を超えてポロがやってきた
 契約から納車を待っている間に「クロスポロ」まで発表されてしまったが、ある日、「フォルクスワーゲン 柏」から納車の連絡がやってきた。事前予約時に「早くて6月、多分7月、何かあって遅くなったら8月」というアバウトな納車見込みを聞かされていたが、その見込みの早い方で進んでいったわけだ。

 もちろん、状況は逐一連絡をいただいていたので「早めになりそう」となったとき、古いクルマの処分を急いだ程度で、こちらも問題はなかった。

 いよいよ店にクルマが届いたとの連絡を受け、ナンバーを付ける前に無理を言って一度見せていただくことにした。輸入され、インポーターの検査を受けた後の状態だ。店で最終点検と、最後のひと磨きをする前の状態を見られるのは、なかなかない機会だ。

 店に行くと、駐車場の奥に、自分の名前が書かれた紙が貼ってある赤いクルマがあり、まさに工場からいろいろな工程を経て届いたばかり。フォルクスワーゲン独特の白い輸送用カバーは外された後だったが、タイヤワックスも塗られてない、まさに届きたてほやほや状態だった。

 初めて自分のポロとの対面に、ブブゼラを吹いて喜びたい気分。ちなみにこのポロは南アフリカ工場製だ。さらにこの日は、ポロが生まれた南アフリカの地で、岡田ジャパンがベスト8を逃した日であった。

 さて、その翌々日、晴れてポロの納車となった。ディーラーオプションは何も頼んでいないので、すぐに納車となった。クルマの購入といえば派手に納車式を行うディーラーもあるようだが、そこはフォルクスワーゲン。無駄な派手さのないブランドのイメージ通り、きちんと納車説明が行われた後は、静かに送り出してくれた。

届いたばかりのポロと対面フォルクスワーゲンは工場からカバーがかけられて店まで届く。このカバーの中身はゴルフの1.2TSIトレンドラインファスナーをあけて運転席に乗り込める
納車当日、説明スペースで待っているうちのポロ
保証内容から説明の内容までをきちんと説明をしてくれたいよいよ渡されるキー。2個付属し、飛び出すタイプ

エコを忘れるほどの有り余るパワー
 実際に乗り始めてみると、すでに試乗などで1.2TSIのパワーや乗り味は体験しているが、自分の所有車となって改めてそのパワーを実感する。昔ながらのターボ車のようなラグはないが、アイドリングよりも少し回転が上がったところからグッとトルクが盛り上がる感じが気持よく、ついつい加速感を楽しんでしまう。

 自分のクルマとしては初となるデュアルクラッチトランスミッションの感触は、良質なトルコン式のATのようなしっとりとしたスムーズさはないものの良好。世の中にはもっとギクシャクするできの悪いトルコン式ATもあり、それらに比べればポロのDSGは十分にスムーズと言えよう。変速も7段のため、変速ショックを感じることもない。

 1.2リッターTSIエンジンを積んだポロの特徴は20km/Lの燃費だが、実燃費はしばらく走ってから判断しようと思う。瞬間燃費計を見ている限り、湧き上がるパワーに任せた走りをしていれば低燃費は期待できず、自制心をちょっと働かせるとどんどん燃費が上がっていくという印象だ。次回以降で燃費についても、詳しく調べてみようと思う。

いよいようちのポロが店から出場。これからガンガン街を走り回りたい受け取ったポロには、新車のビニールはかかっておらず、シフトレバーのまわりの金属部分にビニールが張り付けられている程度エンジンルーム内に「South Africa」の文字を発見、南アフリカ製ですが何か? ブブゼラ吹いちゃうぞ、ブー
夜まで気付かなかったが、メーター内が白、その他が赤、そしてオーディオの表示が青と色が揃っていなかった納車当日から毎日のように雨が降っている。ゲリラ豪雨もあり、雹が降ってこないかと心配だ。新車なのでボディーコートなしでも撥水性がある

(正田拓也)
2010年 7月 12日