サッカー日本代表・長谷部誠選手、東日本大震災のチャリティイベント開催
フォルクスワーゲンがスポンサード

藤枝市の少年サッカークラブに所属する子どもたち100名と長谷部選手

2011年6月12日開催



長谷部誠選手は藤枝市出身で、強豪・藤枝東高校を卒業後、Jリーグの浦和レッドダイヤモンズに入団、2008年からブンデスリーガ1部のVFL ヴォルクスブルグに所属する

 サッカー日本代表で主将を務める長谷部誠選手は6月12日、静岡県の藤枝総合運動公園サッカー場において、東日本大震災の被災地に向けたチャリティイベント「PASS THE MESSAGE」を開催した。

 長谷部選手は、現在ドイツ・ブンデスリーガ1部のVFL ヴォルクスブルグに所属しており、ヴォルクスブルグは独フォルクスワーゲンのスポンサードを受けている。現在、ドイツリーグのシーズンは終了していることから長谷部選手は帰国中で、東日本大震災による被災者のために何かできないか、また出身地である藤枝市の子どもたちにサッカー教室を開きたいとの想いから今回のイベントを開催したと言う。

 サッカー場の外では、長谷部選手がドイツで愛車として使っているSUV「トゥアレグ ハイブリッド」を展示したフォルクスワーゲンブースをはじめ、長谷部選手が当日着用していたゲームシャツやメッセージ入りTシャツの販売ブース、サイン入りの自著「心を整える。」(幻冬舎/1300円)の会場限定版(藤色)販売ブースが設置された。

 こうしたチャリティグッズを購入すると、抽選で500名が握手会(事前に900名が握手会に参加できることが決まっていたため、合計で1400名が参加)に参加できるとあって、各ブースには長蛇の列ができていた。

フォルクスワーゲンブースでは長谷部選手の愛車・トゥアレグ ハイブリッドが展示されたほか、サイン入りオリジナルタンブラー(限定300個)などを販売。タンブラーはイベント開始前にすでに売り切れていた
長谷部選手のサイン入り自著「心を整える。」の販売ブースには長蛇の列ができていた。通常版の表紙はブルーだが、会場限定カラーとして藤色バージョンのサイン入り(サインなしも販売)を販売。ちなみに著者の印税はユニセフを通じて東日本大震災支援のために寄付されると言う
チャリティTシャツ販売ブースもやはり長蛇の列。老若男女問わず、幅広い層から支持を受けているのが伺える

 イベントの冒頭の挨拶で、長谷部選手は「震災を経験したことで色々と学ばなければならないと思う。実際に仙台へ行ってみたががれきはまだ残ったままだし、みんなが今後も協力し合って助け合わなければならない」と、実際に被災地を見た印象とともに想いを語った。

 また、サッカー王国・静岡県の一端を担う藤枝市で市長を務める北村正平氏も登壇し、「長谷部選手の活躍は藤枝市民の誇りであり、元気と夢を与えてくれるもので、我々が目指している”元気なまち藤枝”作りの大きな原動力となっている。今後も市民一丸で応援させていただく」と述べるとともに、「被災地では力を合わせて復興に向けて頑張っている。このような中で、今私たちに何ができるか、何をすべきかを考えなくてはならない。スポーツの持つ力、とりわけサッカーは人々の心をつなげ、日本全体に元気を与えてくれるものと確信している。個々の力は小さいかもしれないが、ここ藤枝から長谷部選手とともに元気を送りたい」と力強く語っていた。

被災地である仙台を訪問したことについて語る長谷部選手藤枝から被災地へ元気を送りたいと北村正平藤枝市長

イベントの後に行われた囲み取材では、「雑誌などで震災の起きた日、帰宅困難者にトイレを貸す人がいたというのを見て、人の温かさについて気づかされた。多くの犠牲者は肉体的な死を迎えてしまったが、(生きている人が震災を)忘れてしまうという精神的な死は迎えさせてはいけないと痛感している」と述べ、長いスパンでやれることをしていきたいと語っていた

 オープニング後は、藤枝市の少年サッカークラブに所属する100名の子どもたちが、長谷部選手およびコーチ陣とともにサッカーを楽しんだ。

 サッカー教室と言っても1時間半ほどしか時間がないため、基礎からじっくり教えるという内容ではなかったものの、ウォーミングアップの仕方、足だけでなく手も使った基礎練習、そして練習試合と、密度の濃い時間を過ごした。子どもたちにとって現役の日本代表選手と触れ合うだけでも貴重な体験だし、その上サッカーをともに楽しめたのだから、思い出に残ったのは間違いないだろう。

 それ以上に、子ども好きで知られる長谷部選手は、サッカー教室に参加した子どもたちの純粋にボールを追いかけたりサッカーを楽しんだりしている姿を見て、日ごろの疲れを癒せたのかもしれない。ドイツという異国の地でのチャレンジや、日の丸を背負ってプレーする重圧は図りしれないが、9月から始まる2014年ワールドカップ予選に向けて充電できたのではないだろうか。

子どもたちに手本となる妙技をみせる長谷部選手
自ら持つボールを真上に投げ、落ちてくる前に向かい合った人からパスされたボールを投げ返し、自ら投げたボールをキャッチするという、手を使った練習の1つ
向かい合った人の足下にボールを設置し、片方ずつボールを蹴って相手が設置したボールに当てる練習。デモでは子どもは当てられなかったが、長谷部選手は……やはり当てられなかった。ハンデキャップで距離を大きくとったためだろう
ミニゲームに参加する長谷部選手。時おり見せる本気(に見える)プレーの精度はやはり高い。子どもたちと同じように楽しみながらプレーしていたのが印象的だ
来場者からの質問に回答する長谷部選手。同じ日本代表で現在イタリア・インテルに所属する長友佑都選手も出版した単行本について「買わなくていいです」と述べ、会場を賑わせていた。ちなみに好きなサッカー選手はスティーヴン・ジェラード(リバプール)とか

(編集部:小林 隆)
2011年 6月 13日