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ブリヂストン、4月8日のタイヤの日に安全啓発イベント
ダミー人形が吹き飛ぶ「タイヤバースト実験」を実施
(2013/4/9 12:44)
ブリヂストンはタイヤの日である4月8日、同社東京工場で報道陣向けに安全啓発イベントの説明会を実施した。
説明会の冒頭、同社COO 西海和久氏がタイヤの日について説明。「タイヤの日は平成14年(2002年)からになる。4月は交通安全週間もあり、また8日はタイヤの輪のようだったので」と語り、タイヤ業界全体でさまざまな安全啓発活動を行って行くとともに、ブリヂストンとしては11年前から「タイヤセーフティ活動」を実施。この活動では、空気圧点検やタイヤの寿命点検など「消費者の安全」とともに、タイヤ交換を行う「作業安全」も重視。今回の説明会では、その作業安全の際に実施している「タイヤバースト実験」が公開された。
タイヤバースト実験が行われたのは、同社東京工場内にある野球場の一角。同社が空気充填時の事故を防ぐためにタイヤ販売店への導入を図っている安全囲いに、あらかじめ内部構造であるスチールベルトに傷を付けたタイヤをセット。そのタイヤに空気を充填し、安全囲い横に立たせたダミーにどれだけの衝撃が加わるのか見るというものだ。
タイヤはトラック・バス用のラジアルタイヤで、標準の空気圧は800kPa程度で使われるとのこと。サイドウォール内にあるカーカス(スチールコード)に傷を入れることで、それより低い空気圧でバーストするようにしているが、どの程度の空気圧でバーストするかは「実験してみなければ分からない」とのこと。以下に実験映像を掲載するが、バーストする前に「プチッ」「プチッ」とカーカス内のスチールコードが切れる音が聞こえ、440kPaくらい空気を充填したところでバーストした。
400kPa代の空気圧でこの爆発力があり、700kPa、800kPaではさらに大きな爆発力を発生すると言う。ブリヂストンは、金網タイプの安全囲いのほか、爆風保護シート付きの安全囲いを開発。2013年から販売店に順次導入をはかっているとのことだ。
この日は、タイヤバースト実験のほか、パンクしたノーマルタイヤとランフラットタイヤの乗り比べも実施された。ブリヂストンでは、スペアタイヤが不要でパンクした際に80km/hで80km走行可能なランフラットタイヤを市販化。9割が破棄されるというスペアタイヤを用いなくてよいことから環境負荷が小さく、また、パンクした際の安全性も高いことから普及を進めている。
しかしながら、販売本数が非常に伸びているとは言えない状況で、市販化したランフラットタイヤ「POTENZA(ポテンザ) S001 RFT」も、現在は標準でランフラットタイヤを装着したクルマ向けがほとんどとのこと。順次サイズラインアップを増やしながら、その普及を図っていきたい考えだ。
乗り比べ車両として用意されていたのは、スズキの軽自動車「ワゴンR」。装着タイヤサイズは、155/65 R14となっていた。このサイズは、先代ワゴンRのランフラットタイヤ装着オプション車用に開発されたもの。実際に右前輪がパンクした状態で乗り比べてみると、ノーマルタイヤはパンクしているタイヤがある右側に回り込もうとするのに対し、ランフラットタイヤ装着車はそのような力が非常に小さい。ブリヂストンの駐車場内での乗り比べのため、速度は10km/h程度と低かったが明確な差は発生していた。
ブリヂストンでは、タイヤ販売店向けの安全啓発活動のほか、消費者向けの安全啓発活動を今年も実施予定だ。全国3個所のショッピングモールではJAF(日本自動車連盟)と共同で「セーフティ&エコステーション」を、全国18個所の自動車教習所では日本交通安全教育普及協会と共同で「タイヤセーフティセミナー」を開催する。
【お詫びと訂正】記事初出時、タイヤバースト実験で破断したものをスチールベルトと記していましたが、正しくはスチールコードが使われたカーカスになります。お詫びして訂正させていただきます。