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NEXCO東日本、常磐道「浪江IC~南相馬IC」「相馬IC~山元IC」を12月6日開通

9月21日~30日の「秋の交通安全運動」ではトラック運転手に対する安全運転呼びかけを強化

9月度の定例記者会見出席者。左から、NEXCO東日本 取締役兼常務執行役員 管理事業本部長 山内泰次氏、NEXCO東日本 代表取締役社長 廣瀨博氏、NEXCO東日本 取締役兼常務執行役員 事業開発本部長 鹿島幹男氏
2014年9月24日開催

NEXCO東日本 取締役兼常務執行役員 管理事業本部長 山内泰次氏

 NEXCO東日本(東日本高速道路)は9月24日、9月度の定例記者会見を開催し、2014年8月の営業概要を発表した。

 8月の通行台数、料金収入の速報値は、通行台数が1日平均297万9000台(対前年比4.0%減)で、料金収入が810億6100万円(同18.3%増)となった。また、SA(サービスエリア)/PA(パーキングエリア)の売上高は191億9900万円(対前年比3.6%減)。分野別では飲食・商品販売が約140億2000万円となって対前年比1.4%の減少、ガソリンスタンド部門は約51億8000万円で同8.3%の減少となっている。

 通行台数が減少した要因について、NEXCO東日本 取締役兼常務執行役員 管理事業本部長の山内泰次氏は、4月からの料金割引制度の見直し、ガソリン価格の高騰などを挙げた。また、これまでにも説明されていることながら、通行台数が減っていながら料金収入が増えているのは、前出の料金割引制度見直しによる影響で、従来は実際にユーザーが支払う通行料金自体に割引が適応されていたことに対し、現在では割引制度の一部が1回通常の支払いを行い、割引分を翌月以降に無料走行分として利用者に還元するスタイルに変更されているため、2014年度の料金収入は対前年比で大きくなる傾向が今後も続く状況となっている。

NEXCO東日本 取締役兼常務執行役員 事業開発本部長 鹿島幹男氏

 SA/PAの売上高についてはNEXCO東日本 取締役兼常務執行役員 事業開発本部長の鹿島幹男氏から解説され、今年は2013年の8月より休日が1日多く上積み要因があったものの、台風の影響がお盆期間全般におよんだことで通行台数が減少。SA/PAの売り上げが前年を下まわる結果となったと分析した。ガソリンスタンドの売り上げでは、消費税の増税などの影響から各油種の単価が2013年8月より9円程度高くなっているが、給油量が大幅に減少したことで前年同月を下まわっている。

NEXCO東日本 代表取締役社長 廣瀨博氏

 定例会見の冒頭では、NEXCO東日本 代表取締役社長 廣瀨博氏が9月17日付けで発表した同社の社員に対する懲戒処分について触れた。同社の関東支社に勤務する58歳の社員が業務上の支出に関する不正行為を行い、自宅車庫の建築工事と自家用車の車両整備にかかった費用を会社からの外注費用であるかのように偽装。約1400万円を不適切に請求し、同社に損害を生じさせている。これを受けて同社は事実確認を行い、当該社員を8月末付けで懲戒免職とした上で賠償請求を検討しており、刑事処分についても警察署に相談しているとのこと。廣瀨氏は「当社社員に関する監督が不十分であったことをお詫び申し上げます」と述べて謝罪し、今後このような事態が再び起きないよう、失った信頼を回復するため社員教育を強化し、コンプライアンスの徹底に努めるとしている。

 さらに2つ目の案件として、同日付で発表した常磐自動車道の「浪江IC(インターチェンジ)~南相馬IC」の延長18.4km、「相馬IC~山元IC」の延長23.3kmの合計41.7kmを、12月6日に開通させることについても紹介した。この開通に関して廣瀨氏は「同区間については3月10日の安倍晋三首相の発言に基づき、年内の開通を約束してきましたが、鋭意工事を進めた結果、当初予定を前倒しして開通させることができます。これもひとえに地域のみなさま、関係業者のみなさまからいただいた協力のたまものであると考えており、この場をお借りして厚く御礼申し上げたい」とコメント。工期の短縮については、道路などの整備工事で利用するコンクリートや舗装用砕石を遠方の静岡県や三重県から船舶輸送するにあたり、相馬港に設けたストックヤードの規模を大きく取ったり、雨天でもコンクリートを打設するため、施工する道路上にカバーとなるエアドームを設置して工事を行うといった手法を用いたと解説された。

 また、「残る常磐富岡ICから浪江IC間についても平成27年(2015年)のゴールデンウイーク前の完成を目指して工事を進めており、地域のみなさまから“命の道”として期待されている常磐道全体を、1日も早く全線開通させ、東北の復興加速に協力していきたい」と意気込みを表明している。

 具体的な開通効果としては、この区間の開通によって2012年4月8日に先行して開通している南相馬IC~相馬IC間と合わせ、東北地方の中心都市である仙台市と福島県の浪江町までがリンク。所要時間が短縮されるほか、国道6号の渋滞緩和などが見込まれ、物流環境の改善によって福島県をはじめ東北全体の復興に寄与するとしている。また、経済活動では高速バスの利便性向上によって休止中のJR常磐線を補完。観光やスポーツ交流などが盛んになることが期待され、地域の日常生活面では仙台市一帯に点在する大型の医療施設に対し、救命率の限界と言われている「三次救急医療施設60分圏域」が広域化することで救命率の向上で貢献するとしている。

12月6日に常磐道の「浪江IC~南相馬IC」「相馬IC~山元IC」の両区間が開通し、仙台から浪江ICまでの区間がリンクする
開通によって仙台市から相馬市までが約7分、浪江町までが約21分短縮される
重傷外傷の患者を助けるための「ゴールデンアワー」と呼ばれる1時間圏内が、開通によって相馬市・新地町に居住する約3万人をカバーするようになる

 このほかに定例会見では、9月21日~30日に実施されている秋の全国交通安全運動に連動する取り組みについても紹介。今年度の1~8月には2013年の同期間と比較して交通死亡事故の件数、死亡者数が31件/31人から42件/42人に増えていることを重視し、とくに発生内容が「貨物車の事故」「深夜帯(22時~6時)の事故」「単独事故」が増加していることに注目し、期間中にNEXCO東日本管内のSA/PAなどで実施する交通安全キャンペーンでは、前出の3項目を念頭に置いて活動を実施。夜間にトラックドライバーなどに対して安全運転を呼びかけたり、同社のPB商品第3弾として6月1日に発売した「カフェイン緑茶」などを配布するといった啓発活動をを実施する。

 また、秋の観光シーズンを見据えて、高速道路が乗り放題になるETC車を対象とした割引商品「ドラ割」の「2014秋・東北観光フリーパス」(http://www.e-nexco.co.jp/pressroom/press_release/tohoku/h26/0924b/)や「秋の北東北遊遊フリーパス」(http://www.e-nexco.co.jp/pressroom/press_release/tohoku/h26/0924c/)を同日発売。さらにドライブ中にSA/PAで買い物をすると、抽選で「宮城のうまいものセット」などの豪華賞品が総勢500人に当たるキャンペーン「地域産品応援フェア!」(http://www.e-nexco.co.jp/pressroom/press_release/head_office/h26/0924/)も10月1日~31日に実施する。

(編集部:佐久間 秀)