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フォルクスワーゲン、初の1.0リッター3気筒ターボ搭載の「ポロ ブルーモーション」。限定300台導入

2016年発売予定の「パサート」ディーゼルモデルの導入について「見直しや取りやめはしない」

2015年9月29日発売

269万9000円

23.4km/Lの燃費を実現した「ポロ ブルーモーション」

 フォルクスワーゲン グループ ジャパンは9月29日、コンパクトハッチバックの「ポロ」に23.4km/Lの燃費を実現した「Polo BlueMotion(ポロ ブルーモーション)」を追加し、300台限定で発売した。ターボチャージャー付きの直列3気筒1.0リッターエンジンと7速デュアルクラッチトランスミッションを搭載し、空気抵抗に対して最適化を図った前後パンパーやホイールなどの専用外装を装着する。価格は269万9000円。

BlueMotionシリーズを日本初導入

 今回導入されたポロ ブルーモーションは、BlueMotionシリーズとして日本に初めて導入されるモデル。

 BlueMotionシリーズは、フォルクスワーゲンがさまざまな車両開発を進める中で、さらなる燃費の向上を目的に開発した特別なモデル。本国では「ゴルフ」など他の多くのモデルに導入され、ガソリンエンジンだけでなくディーゼル、電気自動車(EV)などに対応。エンジンをはじめ、さまざまにところに低燃費技術を投入している。

 ポロ ブルーモーションに搭載されるエンジンは999ccの排気量で、国内導入の「up!」に搭載する同排気量の3気筒自然吸気エンジンをベースとし、ターボチャージャーを搭載して「TSI」エンジンとしたもの。最高出力は70kW(95PS)、最大トルクは160Nm(16.3kgm)を発生し、フォルクスワーゲンでは自然吸気の1.5リッターエンジン相当としている。このエンジンは他のポロシリーズと同様に、デュアルクラッチトランスミッションである7速DSGを介して前輪を駆動する。燃費はポロのシリーズの中ではもっとも低燃費となる23.4km/L(JC08モード燃費)を実現した。

 そして空気抵抗を大幅に低減することを目的に、前後バンパー、リアスポイラー、左右サイドスカート、15インチアルミホイールなどいった専用ボディーパーツが与えられている。

ポロに初めてBlueMotionシリーズが導入される
専用装備は空気抵抗改善のため。高速走行時に違いが出るという
ターボチャージャー付きの直列3気筒1.0リッターエンジン
ポロ ブルーモーションの主な装備。ポロの上位モデルの装備を標準装備している
全車速追従機能付きのACC(アクティブクルーズコントロール)も標準装備
戦略的な266万9000円というプライスタグが与えられた
ポロ ブルーモーション。フラットなフロントグリルが大きな特徴となるほか、バンパー下や側面、リアウインドー上部にスポイラーが付く
専用バンパー。下部にスポイラーがつく
グリルは通常モデルとは異なりフラットな形状
サイドスカートも空気抵抗改善のパーツ
リアスポイラーを装備し、ウインドーの左右にもブラックの整流パーツが付いている
リアバンパー下にもスポイラーが付く
15インチホイール(タイヤサイズ:185/60 R15)は表面がフラットで空気抵抗の少ない専用品
ブルーモーションのエンブレムはリアゲート右下に付く
3気筒エンジンはコンパクトで、エンジンルームは余裕がある
ヘッドライトはキセノンタイプ。ポロGTIに装着可能なLEDライトは非採用

 インテリアではブルーのステッチが施された専用シートを装備。また、装備面ではポロの上級グレードに相当する「アップグレードパッケージ」に標準装備されるACC(アダプティブクルーズコントロール・全車速追従機能付)を標準で装着した。オプションで純正ナビゲーションシステム(シートヒーター付)の装着も可能となっている。

運転席まわり
シートにはブルーのステッチが入る

ディーゼルエンジン問題に質問が集中

会見終了後も報道陣から一連のディーゼル問題についての質問が相次いだ
発表を行ったフォルクスワーゲン グループジャパン 広報部スペシャリスト製品広報担当の池畑浩氏

 ポロ ブルーモーションの説明を行う発表会だったが、一連のディーゼルエンジンの問題を受け、質疑応答ではディーゼルエンジン関連の質問が相次いだ。

 フォルクスワーゲン グループジャパン 広報部スペシャリスト製品広報担当の池畑浩氏は、説明会の冒頭「フォルクスワーゲン本社の事故に関しまして、ご迷惑をおかけしました皆様には謹んでお詫びを申し上げます」と頭を下げた。

 池畑氏は「フォルクスワーゲン グループ ジャパンは100%の子会社として、今回の出来事を真摯に受け止め、今後も引き続き日本のお客様、多くの皆さまに、情報を速やかにお届けしてまいります」と説明。日本法人の対応としては、当面本国で発表された情報を迅速に公表することとしている。

 現在の影響については、すでに日本法人や販売店には「お叱りのお電話をたくさんいただいている」とし、真摯に受け止めて本社に報告しているという。販売面での影響は「決してないとは言えない」としたものの、発覚してから日が浅かったため、営業部門が集計中とのことで明らかにしなかった。

 2016年導入として進められている「パサート」のディーゼルエンジンモデルの導入日程については、今回の問題が起こる前から正式な日程は発表しておらず、未定ということに変化はないとしつつ、「見直しや取りやめはしない」と回答。

 一方、アメリカで販売されるパサートは日本とは別モデルであると強調。ディーゼルエンジンの国内導入が予定される現行のパサートは、現在問題になっているものとは世代が異なり、プラットフォームやエンジンが異なる完全な別物としている。

 問題となっているディーゼルエンジンを搭載したフォルクスワーゲン車は、フォルクスワーゲン グループ ジャパンでは過去にも扱っていないが、販売店や個人の並行輸入で約230台が国内登録。フォルクスワーゲン グループ ジャパンとして国内にあるのは把握しているが、どう対応するかは本社の対応を待ってから決めるという。

 今後の予定としては、東京モーターショーは予定どおり出展する。展示物にディーゼル車が含まれるかはまだ未定としており、今後発表するとしている。

 なお、代表取締役のスヴェン・シュタイン氏は、愛知県豊橋市の日本法人の本社でさまざまな対応にあたっているとしており、今回の発表会には出席しなかった。

(正田拓也)