ニュース
MotoGP参戦ライダーの5選手、日本グランプリ開催前にトークバトル
ブリヂストン 東京工場/技術センターでJ・ミラー、P・エスパルガロ、B・スミス、A・バウティスタ、M・ビニャーレス が参加するイベント開催
(2015/10/8 00:00)
- 2015年10月7日開催
ブリヂストンは10月7日、10月9日から開幕する「2015 FIM MotoGP 世界選手権シリーズ第15戦 MOTUL 日本グランプリ」(以下:日本GP)を前に、レースのため来日している5人のMotoGPライダーを招き、同社工場と技術センターのある東京都・小平市の近隣住民などに向けたトークショーを開催した。
同社は、2001年からMotoGPクラスへのタイヤ供給を開始し、2009年からはワンメイクルールのもと独占供給してきたが、2015年を最後に供給を終えることが決定している。近隣住民などに向けた今回のようなライダーによるトークショーイベントも、最初で最後の開催になるだろうとのこと。当日はファンや住民、同社工場の従業員らが詰めかけ、レースに挑む5人に熱い声援を送った。
鈴鹿8耐には全員が「ぜひ出たい」
トークショーに登場したのは、2015年の今年、前年までのMoto3から一足飛びにMotoGPまでステップアップしたCWM LCR Hondaのジャック・ミラー選手に加え、鈴鹿8時間耐久レースでの優勝が記憶に新しいMonster Yamaha Tech3のポル・エスパルガロ選手とブラッドリー・スミス選手、今年MotoGP初参戦のアプリリアを駆るAprilia Racing Team Gresiniのアルバロ・バウティスタ選手、そしてMotoGPに復帰したスズキのマシンに乗るTeam SUZUKI ECSTARのマーベリック・ビニャーレス選手の5人。そこにMotoGPを担当するブリヂストンの山田 宏氏が加わり、トークを盛り上げた。
トークショーは、到着が間に合わなかったビニャーレス選手を除く4人でスタートし、オープニング最初の質問は、こういったイベントではもはや定番となっている「日本食が好きか」という質問から。これについては4人とも○で、「社交辞令も入っているだろう」という山田氏のフォローもあったが、寿司と刺身はミラー選手以外、天ぷらは全員が好きとのことだった。
「もてぎサーキットは得意か」という質問に対しては、ミラー選手とエスパルガロ選手が○を上げ、スミス選手とバウティスタ選手は、結果が出ていないということで○×両方を上げた。「2015年のこれまでの成績に満足しているかどうか」は、スミス選手のみが○。何に満足していないのか聞かれたエスパルガロ選手は、「タイヤ」と冗談めかして答えていた。
「マシンがワンメイクになったら勝つ自信はあるか」という問いには、当然のように全員が○。MotoGPルーキーのミラー選手は「レインなら」とコメントしたが、山田氏がすかさず「ドライかレインかは質問に含めてないんだが」と突っ込んでいた。また、エスパルガロ選手とスミス選手が7月の鈴鹿8耐で優勝したことに絡み、最後に出された全員への質問は「来年以降、鈴鹿8耐に出たいか」。これも4人が○とし、「ぜひとも(Why not)」とバウティスタ選手。
ステージ上でタイヤを巡る争いが勃発
その後は1人ずつの質問タイムへ。史上初めてMoto3からMotoGPへと一気にステップアップしたミラー選手には「MotoGPを楽しんでいるか、MotoGPの何が難しいか」と山田氏が質問。ミラー選手は、「すごく楽しんでいる。(ブリヂストン)タイヤの限界まで攻めるのが難しくて、最初はタイヤのポテンシャルを引き出すのにちょっと苦労した」と話し、日本GPの次、母国グランプリとなるオーストラリアGP(フィリップアイランド)については、「正直に言えば少し怖い。フィリップアイランドは高速サーキットだし、(Moto3と比べ)MotoGPで走るのは違うところもある。みんな同じ条件だけど、他のライダーからもいろいろ教えてもらっている」とコメントした。
エスパルガロ選手は、すでに述べたように鈴鹿8耐で優勝したが、予選では群を抜く速さでトップタイムをマークした。初めての鈴鹿、初めてのYZF-R1、初めての耐久レース用タイヤと、初めて尽くしの中、どうして速く走れたのか、と聞くと、エスパルガロ選手は「ラッキーだった」と謙遜しつつも「R1は信じられないほどすごいバイクで、中須賀さんも速く、グッドなチームメイトがいたおかげ。ヤマハチームはベストなコンディションに仕上げてくれて、素晴らしい仕事をした」のが大きな理由だったと語った。
予選結果については、「予選は1ラップのみだけど、“スーパーポールタイヤ”のおかげでファステストラップを叩き出せた。MotoGPにもそういうタイヤはないのかな?」と話したが、これに山田氏が「ブリヂストンは(8耐で)そんな“スーパーポールタイヤ”は用意していない。単なるソフトタイヤだよ」と反論。逆に「MotoGPで(実際にはないスペシャルな)予選用タイヤが欲しいのかい?」と聞くと、なぜかミラー選手が「オレ用のしかないよ」と発言。これに対してキレてしまい、自分も欲しいと懇願するエスパルガロ選手。山田氏が「予選用タイヤはすごい高価なんだが」というと、エスパルガロ選手は「大丈夫、ブラッドリーが払ってくれる」などと勝手に話を進め、タイヤを巡る醜い(?)争いがステージ上で繰り広げられた。
アプリリアは2016年からリアルMotoGPマシンに
スミス選手は、天候や路面状況がめまぐるしく変わった第13戦のサンマリノグランプリで、他のライダーが2回マシン交換するなか、1人だけピットインせずにスリックタイヤで走り続け、結果的にドライ路面になり今季最高位となる2位でゴールした。その時の判断について、同選手は「クレージーな判断だったかもしれないけど、そんなに長い間雨は降らないだろうと信じていた。それにウェット路面でもスリックタイヤの感触はすごくよかった。ミザノサーキットは2008年からたくさん走っていて、よく雨が降ることも知っている。あの時のあのような状況で、どれくらい雨が降りそうかも予測できる」と語り、「僕はウェザーマンだ!」と宣言した。
昨季のホンダから移籍し、今季よりMotoGP参戦初年度となるアプリリアのファクトリーチームから出場しているバウティスタ選手。2015年は上位入賞というよりもマシン作りがメインの目標となっている。同選手は「今年はアプリリアにとってチャレンジの年だった。バイクのベーシックな部分はスーパーバイクが元になっている。フレーム、エンジン、電子デバイスなど、あらゆる部分を(MotoGP用に)開発しなければならなかった。2016年はスーパーバイクを超えたリアルMotoGPバイクになるはずだ」と語り、着々と開発が進んでいることをアピール。もてぎについては、「ファンがいっぱいいるのがハッピー。もてぎサーキットはストップ&ゴーが多く、ブレーキングが重要なコースだ。2012年で表彰台に乗ったこともあるが、今週末もファンの前で走れるのが楽しみ」と述べた。
トークショーが終了した直後に到着したビニャーレス選手。ファクトリーチームとしては3年間のブランクがあるスズキのGSX-RRながら、今季はトップ10に6回入るなど健闘している。そのなかでも一番よかったレースは「6位を記録したスペインバルセロナのカタルーニャGP」だったとし、日本GPについては「日本のレースは好きだし、今年はスズキのファクトリーチームから参戦するということで、特に楽しみにしている」と話した。