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激戦のスーパーフォーミュラ最終戦鈴鹿。レース1はロッテラー選手、レース2は山本選手がポール
チャンピオンに最も近いのはポイントリーダーの石浦宏明選手
(2015/11/7 20:31)
- 2015年11月7日~8日開催
日本最高峰のフォーミュラレースシリーズ「スーパーフォーミュラ」の最終戦となる「第14回JAF鈴鹿グランプリ」が、今週末の11月7日~8日の2日間にわたり三重県鈴鹿市にある鈴鹿サーキットで開催されている。11月7日には、練習走行、予選が行われ、明日の2回のレース(レース1、レース2)のスターティンググリッドが決定された。
3回行われる予選のうち1回目(Q1)の順位で決定されるレース1のポールポジションは、アンドレ・ロッテラー選手(2号車 PETRONAS TOM’S SF14)が獲得。これに対してレース2のスターティンググリッドを決定するQ3でベストタイムをマークしたのは、そのロッテラー選手のタイムを最後の最後で逆転した山本尚貴選手(14号車 TEAM 無限 SF14)で、ロッテラー選手が2位となった。
チャンピオン争い上位の2人は、ポイントリーダーの石浦宏明選手(38号車 P.MU/CERUMO・INGING SF14)はレース1は2位だが、レース2は7位。ポイント2位の中嶋一貴選手(1号車 PETRONAS TOM’S SF14)はレース1は5位、レース2は4位からスタートすることになっており、チャンピオン争いの結末は全く見えてこない混沌とした状況になりつつある。
第1レースのスターティンググリッドを決定するQ1トップはロッテラー
今回のJAF鈴鹿グランプリは、1大会2レース制となっているので、予選も特別フォーマットになっている。予選1回目(Q1/20分、14台がQ2へ)、予選2回目(Q2/7分、8台がQ3へ)、予選3回目(Q3/7分)と3回でのノックアウト方式であることは同じなのだが、レース1のスターティンググリッドはQ1の結果で決まり、レース2のスターティンググリッドはQ1~Q3通算の結果で決定される。従って、決勝で上位を目指すドライバー、特にチャンピオンシップを争っているドライバーにとっては、Q1とQ3それぞれで上位に入り、かつ確実にQ2を突破する必要がある。従って、どのセッションでも力を抜くことができない状況になっている。
そのQ1でベストタイムをマークしたのは、アンドレ・ロッテラー選手だ。ロッテラー選手は、午前中に行われた練習走行でもトップタイムをマークするなど、今週は走り始めから好調さを維持しており、Q1でも見事なトップタイムをマークした。それに続く2位はポイントリーダーの石浦選手。3位がジェームス・ロシター選手(3号車 FUJI×D'station KONDO SF14)、4位が小林可夢偉選手(8号車 Team KYGNUS SUNOCO SF14)となった。
チャンピオン争いで石浦選手を6点差の2位で追っている中嶋一貴選手は、午前中の練習走行では14位と大不振。Q1でも厳しい展開が予想されたが、昼休みの間にクルマに施した調整が功を奏したのか、最後の最後で5位のタイムをマークして、巻き返しに絶好の位置とは言えないものの、なんとか戦える位置を確保した。
Q1/レース1のスターティンググリッド(暫定)
順位/グリッド | 号車 | ドライバー | 車両 | エンジン | タイム |
---|---|---|---|---|---|
1位 | 2 | アンドレ・ロッテラー | PETRONAS TEAM TOM’SPETRONAS TEAM TOM’S | TOYOTA | 1分38秒354 |
2位 | 38 | 石浦 宏明 | P.MU/CERUMO INGINGP.MU/CERUMO INGING | TOYOTA | 1分38秒392 |
3位 | 3 | ジェームス・ロシター | KONDO RACINGKONDO RACING | TOYOTA | 1分38秒392 |
4位 | 8 | 小林 可夢偉 | KYGNUS SUNOCO Team LeMansKYGNUS SUNOCO Team LeMans | TOYOTA | 1分38秒482 |
5位 | 1 | 中嶋 一貴 | PETRONAS TEAM TOM’SPETRONAS TEAM TOM’S | TOYOTA | 1分38秒592 |
6位 | 16 | 山本 尚貴 | TEAM 無限TEAM MUGEN | HONDA | 1分38秒645 |
7位 | 19 | ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ | LENOVO TEAM IMPULLENOVO TEAM IMPUL | TOYOTA | 1分38秒748 |
8位 | 34 | 小暮 卓史 | DRAGO CORSEDRAGO CORSE | HONDA | 1分38秒800 |
9位 | 41 | ナレイン・カーティケヤン | DOCOMO TEAM DANDELION RACINGDOCOMO TEAM DANDELION RACING | HONDA | 1分38秒834 |
10位 | 40 | 野尻 智紀 | DOCOMO TEAM DANDELION RACINGDOCOMO TEAM DANDELION RACING | HONDA | 1分38秒874 |
11位 | 39 | 国本 雄資 | P.MU/CERUMO INGINGP.MU/CERUMO INGING | TOYOTA | 1分38秒878 |
12位 | 11 | 伊沢 拓也 | REAL RACINGREAL RACING | HONDA | 1分38秒932 |
13位 | 7 | 平川 亮 | KYGNUS SUNOCO Team LeMansKYGNUS SUNOCO Team LeMans | TOYOTA | 1分39秒032 |
14位 | 18 | 中山 雄一 | KCMGKCMG | TOYOTA | 1分39秒126 |
15位 | 65 | ベルトラン・バゲット | NAKAJIMA RACINGNAKAJIMA RACING | HONDA | 1分39秒150 |
16位 | 10 | 塚越 広大 | REAL RACINGREAL RACING | HONDA | 1分39秒229 |
17位 | 20 | アンドレア・カルダレッリ | LENOVO TEAM IMPULLENOVO TEAM IMPUL | TOYOTA | 1分39秒450 |
18位 | 64 | 中嶋 大祐 | NAKAJIMA RACINGNAKAJIMA RACING | HONDA | 1分39秒569 |
19位 | 4 | ウィリアム・ブラー | KONDO RACINGKONDO RACING | TOYOTA | 1分39秒971 |
Q3の大逆転でレース2のポールを獲得したのは山本。ロッテラーが2位
引き続いて行われたQ2でもトップタイムをマークしたのは、Q1と同じくロッテラー選手。ここまで全セッショントップタイムを記録しており、今回のレースでは絶好調を維持している。だが、チームメイトの中嶋選手は苦闘が続いており、8番手タイムを出すのがやっとで、8台までQ3に進めるQ2をギリギリ通過した。
Q3はさらにエキサイティングな展開が待っていた。セッション時間も残り少なくなったタイミングでトップタイムをマークしたのはロッテラー選手。このままロッテラー選手が全セッショントップタイムで2レースともポールポジションを獲得するのかと思われたその時、最後の最後で無限の山本選手がただ一人1分37秒台に入る素晴らしいタイムをマークして見事ベストタイムを叩き出す。その結果レース2のポールポジションは山本選手、2位ロッテラー選手、3位野尻智紀(40号車 DOCOMO DANDELION M40S SF14)となった。
チャンピオン争いの2人は対照的な結果となり、ランキング2位の中嶋選手は、Q1(そしてレース1のスターティンググリッド)の5位より1つ上あげて4位になったのに対して、ランキングトップの石浦選手は7番手にとどまり、明日のレースは7位よりスタートすることになった。
Q1/Q2/Q3の結果、レース2のスターティンググリッド
順位/グリッド | 号車 | ドライバー | 車両 | エンジン | Q1 | Q2 | Q3 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1位 | 16 | 山本 尚貴 | TEAM 無限TEAM MUGEN | HONDA | 1分38秒645 | 1分38秒375 | 1分37秒963 |
2位 | 2 | アンドレ・ロッテラー | PETRONAS TEAM TOM’SPETRONAS TEAM TOM’S | TOYOTA | 1分38秒354 | 1分38秒158 | 1分38秒023 |
3位 | 40 | 野尻 智紀 | DOCOMO TEAM DANDELION RACINGDOCOMO TEAM DANDELION RACING | HONDA | 1分38秒874 | 1分38秒447 | 1分38秒192 |
4位 | 1 | 中嶋 一貴 | PETRONAS TEAM TOM’SPETRONAS TEAM TOM’S | TOYOTA | 1分38秒592 | 1分38秒675 | 1分38秒262 |
5位 | 8 | 小林 可夢偉 | KYGNUS SUNOCO Team LeMansKYGNUS SUNOCO Team LeMans | TOYOTA | 1分38秒482 | 1分38秒355 | 1分38秒305 |
6位 | 19 | ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ | LENOVO TEAM IMPULLENOVO TEAM IMPUL | TOYOTA | 1分38秒748 | 1分38秒521 | 1分38秒459 |
7位 | 38 | 石浦 宏明 | P.MU/CERUMO INGINGP.MU/CERUMO INGING | TOYOTA | 1分38秒392 | 1分38秒503 | 1分38秒462 |
8位 | 39 | 国本 雄資 | P.MU/CERUMO INGINGP.MU/CERUMO INGING | TOYOTA | 1分38秒878 | 1分38秒657 | 1分38秒566 |
9位 | 34 | 小暮 卓史 | DRAGO CORSEDRAGO CORSE | HONDA | 1分38秒800 | 1分38秒681 | - |
10位 | 18 | 中山 雄一 | KCMGKCMG | TOYOTA | 1分39秒126 | 1分38秒783 | - |
11位 | 7 | 平川 亮 | KYGNUS SUNOCO Team LeMansKYGNUS SUNOCO Team LeMans | TOYOTA | 1分39秒032 | 1分38秒820 | - |
12位 | 11 | 伊沢 拓也 | REAL RACINGREAL RACING | HONDA | 1分38秒932 | 1分38秒827 | - |
13位 | 3 | ジェームス・ロシター | KONDO RACINGKONDO RACING | TOYOTA | 1分38秒392 | 1分38秒863 | - |
14位 | 41 | ナレイン・カーティケヤン | DOCOMO TEAM DANDELION RACINGDOCOMO TEAM DANDELION RACING | HONDA | 1分38秒834 | 1分39秒120 | - |
15位 | 65 | ベルトラン・バゲット | NAKAJIMA RACINGNAKAJIMA RACING | HONDA | 1分39秒150 | - | - |
16位 | 10 | 塚越 広大 | REAL RACINGREAL RACING | HONDA | 1分39秒229 | - | - |
17位 | 20 | アンドレア・カルダレッリ | LENOVO TEAM IMPULLENOVO TEAM IMPUL | TOYOTA | 1分39秒450 | - | - |
18位 | 64 | 中嶋 大祐 | NAKAJIMA RACINGNAKAJIMA RACING | HONDA | 1分39秒569 | - | - |
19位 | 4 | ウィリアム・ブラー | KONDO RACINGKONDO RACING | TOYOTA | 1分39秒971 | - | - |
レース1の結果がチャンピオン争いに大きな影響を及ぼしそう
こうした結果により、ポールポジションに与えられる1点は、ロッテラー選手、山本選手が獲得したため、明日のレースを前にポイントスタンディングは以下のようになった。
予選終了時のポイントスタンディング
順位 | 号車 | ドライバー | ポイント |
---|---|---|---|
1 | 38 | 石浦 宏明 | 45 |
2 | 1 | 中嶋 一貴 | 39 |
3 | 2 | アンドレ・ロッテラー | 32 |
4 | 19 | ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ | 31 |
5 | 16 | 山本 尚貴 | 18 |
6 | 8 | 小林 可夢偉 | 17 |
7 | 40 | 野尻 智紀 | 17 |
8 | 7 | 平川 亮 | 11 |
9 | 64 | 中嶋 大祐 | 7 |
10 | 41 | ナレイン・カーティケヤン | 6 |
11 | 39 | 国本 雄資 | 6 |
12 | 3 | ジェームス・ロシター | 5 |
13 | 20 | アンドレア・カルダレッリ | 4 |
14 | 11 | 伊沢 拓也 | 4 |
通常の2レース制では通常ポイント(1位 10点、2位 8点、3位 6点……)の半分(1位 5、2位 4点、3位 3点……)となるが、この最終戦は例外として、それぞれのレースの優勝者に3点がボーナスポイントとして追加される。つまり、勝者には8点が与えられることになるので、現時点でもポイント4位で14点差のジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手(19号車 LENOVO TEAM IMPUL SF14)まではチャンピオンの可能性が残されている。今日の結果を見る限り、予選で上位に来ることができなかったオリベイラ選手が最大得点16点で14点差をひっくり返すと考えるのは難しく、チャンピオン争いは上位3人に絞られたと言えるだろう。
決勝となる日曜日の注目点はレース1の結果。石浦選手、中嶋選手が何位になるのかだろう。今日のロッテラー選手の好調さから考えて、決勝日のレース1でロッテラー選手が勝つ可能性はかなり高い。それでも、石浦選手が2位になった場合には石浦選手は49点に点を伸ばすことになり、40点のロッテラー選手は9点差となるためチャンピオンの権利を失うことになる。
この場合、中嶋選手は3位以下となるので、たとえ3位で3点を獲得しても42点となり、石浦選手とは7点差となる。レース2で稼げる最大ポイントが8点であるので、仮に中嶋選手がレース2で優勝してもこの場合石浦選手は2点を獲得すればよい(同点だと勝利数も並ぶので、2位の数が多い中嶋選手がチャンピオンになる)ため、石浦選手有利へと流れが傾くことになる。
もちろん、仮にロッテラー選手がレース1で優勝できなければ、その場合は石浦選手の結果などに関係なくチャンピオンの権利を失い、石浦選手と中嶋選手の一騎打ちになる。その場合、ロッテラー選手はレース2ではチームメイトである中嶋選手の援護に回る可能性が高い。レース2で予選2位からスタートするため、援護は十分可能なので、中嶋選手に有利に傾く可能性がある。
このように、決勝レースのチャンピオン争いに関しては、多くのシナリオが考えられるが、いずれにせよ鍵を握っているのはレース1の結果であることは間違いない。日曜日10時から行われるレース1、そして15時からのレース2は目が離せないレースとなりそうだ。