試乗レポート
ホンダ新型「ZR-V」試乗レポート第1弾 ハイブリッドとガソリンモデルの乗り味の違いとは?
2023年2月28日 12:14
- 2023年4月21日 発売
- ハイブリッドモデル:329万8900円~411万9500円
- ガソリンモデル:294万9100円~376万8600円
いよいよ春に発売となるホンダの新型SUVモデル「ZR-V」をひと足早く公道で試す機会を得た。
その第1弾となる今回は、街中から高速道路までの身近なシチュエーション。以前、群馬サイクルスポーツセンター(以下、群サイ)で試乗した際には、ハイスピードで走っても安心感が高く、まるでスポーツカーのようだと感じたクルマだったが、ナンバーを取得して一般道を走った時にどう感じるかは未知数。
ZR-Vは、ガソリンモデルとハイブリッドモデルそれぞれに「X」「Z」の2グレードを設定していて、どちらも2WD(FF)と4WDを選択可能。今回はガソリンモデルの2WD(FF)と、シビックに続きSUVでは初搭載となる「スポーツe:HEV」のハイブリッドモデル(4WD)の2台を試乗する。
開発トップの小野修一氏曰く「とにかく走り込んで仕上げてきた」という仕上がりはどんなものか? まずは直列4気筒1.5リッターVTECターボエンジンを搭載するガソリンモデルのXグレード(FF)から試乗をスタートした。
駐車スペースにおいて他のクルマと並んだ状態でZR-Vを見ると、圧倒的なボリューム感というか、存在感が意外だった。群サイで見た時には比較対象がなかったため、ヴェゼルに近いと思っていたからだ。
ちなみにZR-Vのボディサイズは4570×1840×1620mm(全長×全幅×全高)で、ヴェゼルのe:HEVのZグレードのボディサイズは4330×1790×1590mm(同)。また、日本ではラインアップから姿を消している海外用モデル「CR-V」は4605×1855×1680mm(同)。つまり、ZR-Vはまさにミドルサイズというわけで、大きすぎず小さすぎず、日本の一般的な駐車枠でも扱いやすいサイズ感といえそうだ。
FFの1.5リッターターボのXグレードは、フェンダーアーチがブラックとなりSUV感は満載だ。インテリアはシビックの兄弟らしく共通する部分も多い。ダッシュボードは低めに抑えられているし、Aピラーは細く、ボンネットの盛り上がりもあって見切りはしやすい。パーキングスピードにおける扱いやすさはなかなかだ。ただ、オプションの大画面ナビはその視界をややスポイルしてしまうところが気になった。
走り出すと低速からしっかりとトルクを生み出す1.5リッターエンジンが爽快にスピードを重ねていく。大径タイヤに合わせてファイナルギアやトルク特性をシビックとは変更し、合わせ込んできた結果だろう。実用性も爽快な吹け上がりも必要十分だ。また、フットワーク系の軽快な感覚もよく、しなやかにギャップを吸収してくれるところが好感触。
高速道路に乗ってコーナリングしてもグラつくことなく安定して駆け抜けてくれる。リバウンドスプリングを備えたショックアブソーバー、そしてCR-V譲りのマルチリンクがうまく機能しているのだろう。加えて試乗車は車重1460kgに収められており、だからこそ軽快さが際立つという側面もある。確実にシビックの延長上にいるそのテイストは、シビックの上級グレード的な仕上がりでかなりアリな1台。低μ路に出向くことがない都市部のユーザーであればオススメのグレードといえるだろう。
続いて試乗したのはe:HEV搭載のZグレードの4WD仕様。すなわち最上級モデルである。フェンダーアーチはボディ同色で高級感が漂う。また、本革シートとセンターコンソールやダッシュボードの一部が統一され、より上質に仕上がったインテリアは贅沢な空間を生み出してくれている。それとマッチしているのはやはりe:HEVの静粛性の高さだろう。
滑らかな走りだしから加速体勢に移行した際の強烈なダッシュもまた魅力のひとつ。試乗車は1630kgという重量になり、ドッシリとした安定感も得ている。運動性能的に見ればあまりよくなく、それを収めるためにフットワーク系はやや引き締められる方向になり、やや微振動を感じるシーンが出ているところは少しもったいない。
ただ、それもスピードを高めていくと収まってくる感覚がある。4WDについては群サイで飛ばして試乗した時のように恩恵を感じることは少なかった。やはりその実力は限界域に近い状況で発揮するもの。公道であれば雪道に出かけた時にどうなるかが見どころなのだろう。
乾燥路を走り出した印象は以上の通り。果たして状況が変化したらこの印象はどう変わるのか? 第2弾の雪上試乗でどんな結果が見えてくるのかが楽しみだ。