試乗レポート
【2022 ワークスチューニング試乗会】フォレスター STI Sportは「STIパフォーマンスパーツ」でボクサーサウンド復活
2023年3月22日 13:51
ディーラーで装着できるチューニングパーツの効果を確認
昨年8月に登場したスバルの「フォレスター STI Sport」へ、STIパフォーマンスパーツというチューニングアイテムを装着したデモカーに、モビリティリゾートもてぎの南コースで試乗した。要はベースモデルをレベルアップしたコンプリートカーに対して、さらにディーラーで装着可能なSTIパーツを全部盛りしたというのがこのクルマの正体。
ベースとなるフォレスターSTI Sportは、STIがダンパーチューニングに拘った1台で、SFRD周波数感応型のショックアブソーバーを採用したことがポイント。外輪の縮み側の初期減衰力を素早く立ち上げることに気を遣ったという。また、伸び側の減衰力を緩めてできるだけ伸ばして接地を稼ごうともしている。これらの相乗効果によって、結果として内輪のタイヤに仕事をさせることができるようになったそうだ。
これをベースに、まずはフロント、サイド、リアのアンダースポイラーとエアロガーニッシュをセットにしたエアロパッケージを装着。これは見た目だけのチューニングではなく、前後のリフトバランスが狂うからと、ルーフエンドにはガーニーフラップを奢るほどの逸品である。さすがは走りも空力も拘る技術屋集団のSTIが造るだけのことはある。
さらにボディにテンションを与えて微小操舵角からの応答を高めたというスバリストにはお馴染みのフレキシブルタワーバーやフレキシブルドロースティフナー(前後)を装備している。これもまた内輪に仕事をさせるためのSTI流のチューニング手法だ。
さらに今回のクルマにはアルミホイールとマフラーが装着されている。アルミホイールは剛性バランスに注視した造り。また、マフラーが変更されていることにも期待したい。タービンまでの排気経路を短くしようとエンジン内部で片バンク2本の排気をひとつにし、エキゾーストマニホールドが結果として2本となったCB18エンジンは、そのエキゾーストマニホールドが不等長となっている。そこにマフラー交換が加われば、往年のボクサーサウンドが復活となるのか!?
操る歓びが感じられる仕上がりだった
エンジンをスタートさせれば、やはり期待通りの「ドコドコ……」といった音が車室内に伝わってくる。とはいえ、こもるようなことはなく、程よく鼓動を感じさせてくれるマフラー音は好感触。フル加速してみても、少しヤンチャさがあり、思わず笑顔になってしまう仕上がりだ。
もちろん、メーカー系ということもあって、きちんと保安基準はクリアしている音量だから上品さもある。これなら家族持ちでも苦情を言われることはないだろう。
シャシーはとにかく安定感が高く、ロールもピッチも程よく収められている。フル加速をしても視線が上を向くようなこともなく、コーナリングでも外側だけに乗っかり切っていない。かといって、いわゆるチューンドカーのようにフラットになりすぎておらず、ピッチもロールも適度に感じられるため、ワインディング区間も荷重の乗り具合が理解しやすく、操る歓びが感じられる仕上がりだ。
STIが言うように微小操舵角からクルマが即座に応答を始め、リアが間髪入れずに追従してくる。けれどもあくまでリニアな反応であり、ナーバスにならないところが嬉しい。ステアリングにも確実な反力が得られ、安心感が高まるところもメリット。おそらく、空力的効果もあるのだろう。
その効果を確認するため、試乗後にノーマルモデルに乗ってみたが、その差は歴然としていた。インフォメーション性能も薄く、ピッチやロールも大きいのだ。STIが1つひとつ丁寧に仕上げてきたアイテムは、無駄なものは何ひとつないということだ。