試乗記

ハーレーダビッドソンの世界戦略モデル、Xシリーズ「X350」「X500」に試乗してみた

ハーレーダビッドソンの世界戦略モデル「X」シリーズの2モデル「X350」と「X500」

 ハーレーダビッドソン ジャパンは、ハーレーダビッドソンの世界戦略モデル「X」シリーズの「X350」「X500」を10月20日に発売した。

 トラッカースタイルのX350、アメリカンロードスタースタイルのX500。両モデルは軽量都市型モデルという共通項はあるものの、パラレルツインエンジン、フレーム、シャシー、マフラー、サスペンションなど、それぞれほぼ全てが異なる設計がされているという。

 10月17日に開催されたX350とX500の試乗会に参加することができたので、その印象をお伝えしたい。

中免で乗れるX350

中免「普通自動二輪MT免許」で乗れるX350の価格は69万9800円、カラーは「ドラマティックブラック」「ダイナミックオレンジ」「スーパーソニックシルバー」「パールホワイト」の4色を用意

 X350の試乗コースは、新宿を拠点に神宮外苑、皇居周辺をぐるりとまわって新宿にもどるという市街地走行をしてみた。試乗する記者の運転スキルを説明しておくと、春と秋といったツーリングシーズンにレンタルバイクを借りてバイクを楽しむ程度。なのでこの試乗会には、「久しぶりにバイクに乗れる」とウキウキ気分で参加していた。

 X350のサイズは全長が2110mm、ホイールベースが1410mm、 シート高は777mm(無負荷状態)、車両重量195kg。身長169cmで、股下77cmの記者がX350にまたがった印象としては、軽量な車体に足つきもよく立ちごけする不安は感じない。

フューエルタンク容量は13.5L、レーク・トレール:24.8°100mm
フロントタイヤは120/70 ZR17、リアタイヤは160/60 ZR17

 X350は水冷パラレルツインの並列2気筒 353ccエンジンを搭載しており、最高出力27kW(36HP)、最大トルク31Nm/7000rpmを発生する。クランク角が360度で、ボア×ストロークはショートストロークタイプの70.5×45.2mm。

 エンジンに関しては「吹け上がりが軽い!」というのが第一印象。市街地を走行する領域において、低回転域でのトルクについては早めのシフトアップをトントントンと繰り返しても、周囲のクルマの流れに合わせられる十分なトルクがある。吹け上がりの軽いエンジンをまわして元気一杯に走ることもできるし、低いエンジン回転でギヤをつないでジェントルに乗ることもできる。

 市街地を走ってみた印象としては、吹け上がりの軽いエンジンと軽量な車体による軽快な動きが印象的。交差点の右左折や緩やかなコーナリングを走るたびに「軽いっていいな」とニヤニヤしてしまう。高速道路で走行することはなかったが、250ccクラスのバイクで、ロングツーリングをこなす人であれば、それよりもX350は余裕があるであろうことは想像できる。

X350

大型モデルである安定感を感じつつ軽快に走るX500

X500の価格は83万9800円。ボディカラーは「ドラマティックブラック」「ダイナミックオレンジ」「スーパーソニックシルバー」「パールホワイト」を用意

 X500の試乗コースは、新宿を拠点に一般道を使ってちょっと遠くの東京ゲートブリッジまで足を伸ばし、帰りは首都高を使って一気に新宿まで戻るコースを走った。

 X500のサイズは全長は2135mm、ホイールベースは1485mm、車両重量は208kg、シート高は820mm(無負荷状態)。X500にまたがった最初の印象としては、X350と比べるとシート高が高いためちょっと緊張を迫られる。X350の軽快感に対して、X500は重さを感じるのかというとそうではなく、走ってしまえば軽快そのもの。“すべてがちょうどいい”感じが印象に残った。

 X350もX500もシートはかっちりと剛性感のあるシートが採用されているのも印象的。1枠約2時間の試乗タイムでの印象ではあるが、おしりが痛くなるということもなく個人的には好印象。ロングツーリングのときにどうなのかが気になるところ。

フューエルタンク容量は13.1L、レーク・トレール:24.5°100mm
フロントタイヤは120/70 ZR17、リアタイヤは160/60 ZR17

 X500は水冷パラレルツインの並列2気筒 500ccエンジンを搭載。最高出力35kW(47HP)、最大トルク46Nm/6000rpmを発生する。クランク角は360度、ボア×ストロークはスクエアタイプの69×66.8mm。

 エンジンに関しては、ビューンとモーターのようにまわるスムーズさが印象に残った。スムーズにまわるエンジンのパルス感と、排気音を組み合わせた「ブーン」という心地よいビート感を楽しめる領域は、X500のほうがその領域が広いかなと感じた。

 大型モデルである安定感を感じつつも、市街地走行における交差点の右左折や緩やかなコーナリングなど、軽快な印象を備えていることが印象に残った。

X500

 X350、X500と乗ってみたわけだが、いずれにしてもどちらを選んでも楽しいバイクであるということは確かで、両モデルともに毎日でも乗れる軽快さを備えている。実際に、試乗が終了する時刻に近づいても当初のウキウキした気分は衰えをしらず、このまま試乗車を貸してくれるなら、「ちょっと道志道まで行ってみようか」と思わせるくらい、楽しいバイクであった。

 価格はX350が69万9800円、X500が83万9800円。価格だけで見ると同価格帯で輸入モデル、国産モデルを含めるといろいろなバイクが選べるわけだが、ここに新たな選択肢が加わった。車検制度に関わる250ccクラス、免許制度に関わる400ccクラスに合わせて仕上げられていることが多い国産モデルたちとはひと味違っていて、ハーレーダビットソンを選択する理由となるだろう。

 若い人たちにハーレーダビッドソンブランドを選んでもらい、楽しいバイク体験をしてもらいたいという思いが込められた「X」シリーズの2モデル。気になるようであれば、販売店の試乗車、レンタルバイクでもいいので、まずは実際に試乗して確かめてもらいたい。

編集部:椿山和雄