試乗レポート

ハーレーダビッドソン「ブレイクアウト」2023年モデルに試乗 ド迫力のサウンドと鼓動感が生み出す非日常体験に感動

2023年1月19日 発売

ビビッドブラック:326万4800円

ブラックデニム、バハオレンジ、アトラスシルバーメタリック:331万9800円

新生ブレイクアウト(BREAKOUT)に試乗した

 ハーレーダビッドソン ジャパンは、1月19日より発売したハーレーダビッドソン2023年モデルの試乗会を開催。試乗会では、2023年モデルのハイライトの1つとなる「ブレイクアウト」に試乗することができたので、ここに伝えていきたい。

 新生ブレイクアウトは、240mmの極太リアタイヤに排気量1923cc「Milwaukee-Eight 117」エンジンを新搭載する、ハーレー最高峰の排気量となるモデル。外観では、前面に露出したフィルターエレメントが印象的で、全体的に力強さを感じさせるスタイリングに仕上がっている。

 試乗する記者は年に数回、レンタルバイクでツーリングに行くか、行かないかという人。ハーレーダビッドソンのモデルは、試乗会で「スポーツスターS」「パンアメリカ」といった水冷エンジン搭載モデルを体験しているくらいで、ハーレーダビッドソン歴代モデルのことをよく知っているわけではない。

 この記事としては、ハーレーダビッドソンのブランド名は知っているけど実際には乗ったことはないといったライダーが、いきなりブレイクアウトに乗ることができるのだろうか? そんな視点でみていただけるとありがたい。結論から言うと、教習所で教えられたことをちゃんと覚えていれば、ハーレーダビッドソン最高峰の排気量というブレイクアウトにも乗ることができる。立ちごけもすることなく、試乗会場の発着所に戻ってくることができた。

 ブレイクアウトのシート高は665mm(無負荷状態)で、車両重量は310kg。記者の身長は169cm、股下は約77cmくらいで、足つき性についてはまったく心配がない。実際にバイクに跨ってハンドルを握り、クラッチやブレーキレバー、ギヤやリアブレーキペダルを操作してみた印象としては、自分よりもう少し大柄な170cm以上の人にあわせてポジションが設定されているように感じ、体格の面で少し人を選ぶバイクかもしれない。

 搭載されるエンジンは出力76kW(102HP)/5020rpm、トルク168Nm/3500rpmを発生する排気量1923ccの「Milwaukee-Eight 117」Vツインエンジンを搭載。スタートスイッチを押してエンジンを始動させると、1.9リッターのエンジンが発生するド迫力のサウンドと鼓動感にビックリ。

前面に露出したフィルターエレメントでより多くの空気をエンジンに送り込むハイパフォーマンスの改良型ヘビーブリーザーインテーク

 ライディングスタイルもこれまで経験した水冷モデルのハーレーより、より遠くに足を前に投げ出すスタイルでこれにもビックリ。「はたして、このバイク運転できるのだろうか?」とちょっと躊躇するくらいの威圧感をライダーに与えてくる。

全長2370mmでホイールベースは1695mm。レイクは34°、トレールは145mm、フューエルタンク容量は18.9L
リアのブレーキペダル

 試乗ステージは、ヒルトン東京お台場を発着点にしたお台場エリア周辺。このあたりは平日は交通量が少なく、一時停止ポイントや交差点などが点在して、教習所を走るかのようなシチュエーション。また、近くにはレインボーブリッジがあり、一般道で渡ることもできるので、そのあたりを往復してみた。

フロントタイヤのサイズは130/60B21 63H BW
リアタイヤのサイズは240/40R18 79V BW

 装着されるタイヤのサイズは、フロントタイヤが130/60B21 63H BW、リアタイヤが240/40R18 79V BW。一時停止の停止線に向けて減速して足をつく際に、足の移動量が大きいのでバランスを崩さないか? という不安な部分があったのだが、このリアの扁平タイヤや重心点の低い印象の車両バランスのおかげだろうか、超低速域でも車体がフラフラすることがないので、ゆったりと足をつくことができる。

ウインカースイッチは左右独立して配置されている

 そして、交差点を曲がるときに感心したのがウインカーのスイッチ。左右独立にスイッチが配置されていて、さらに4輪の自動車のように自動でウインカーがキャンセルされる機能も搭載されている。これを体験してしまうと、国産モデルで一般的な左側にあるウインカースイッチでクラッチレバーを握りながら親指を左右に動かすというのは、無理のある動作なのだなと感じてしまった。トランスミッションは6速のギヤが用意されているが、市街地であれば2速、流れの早い一般道で3速〜4速くらいで走れてしまう。

シフトポジションは液晶メーターに表示される

 さて、ちょっと足を伸ばしてレインボーブリッジを一般道で走ってみる。心地いいエンジンサウンドと鼓動感、巨大な車体を操っているという満足感、一般道の制限速度内で十分に刺激的。ブレイクアウトが発生するサウンドと鼓動感は、映画やテレビに登場するハーレーダビットソンに対する自分のイメージと一致する。

 試乗中は緊張のため胸のドキドキが収まらない、しかし顔はニコニコしている。それは、このブレイクアウトがちょっと強めにアクセルをひねると獰猛な加速をしようとするからで、自分では全開の性能を引き出すことができないだろう。このバイクを華麗に操れる人がまわりにいたら尊敬してしまう自分がいる。

 このブレイクアウトを試乗した印象としては、バイクを降りたときの取り回しといった日常の使い勝手を考えるバイクではなく、なにか“とてつもないバイク”に乗っているという、ほどよい緊張感と非日常性を楽しむバイクだな感じた。今回の試乗会で、合わせて乗った「ナイトスタースペシャル」との比較で言えば、ナイトスタースペシャルは、極めて日常性をもったバイクで「なんて乗りやすいバイクなのか!」と、その日常性に改めて感心した。

こちらはナイトスタースペシャル

 2023モデルのブレイクアウトの価格はビビッドブラックが326万4800円、ブラックデニム、バハオレンジ、アトラスシルバーメタリックが331万9800円。このブレイクアウトと道路があればいつでも非日常の気分に浸れると考えれば、納得する金額と計算することもできる。払った金額分の刺激を得られることは間違いない。

 こうやってこの記事を仕上げているときも、あの試乗していた時間を思い出すと、キーボードを叩く手に汗が出てくるくらい刺激的で、衝撃的な体験。ハーレーダビッドソンの魅力にハマって夢中になる人の気分を知ることができた。

 なお、ハーレーダビッドソン ジャパンでは、3月〜4月に開催される大阪、東京、名古屋のモーターサイクルショーに出展、今回試乗した「ブレイクアウト」も展示されるので、気になる人は実車を確認してみてほしい。

編集部:椿山和雄