試乗記
テスラ新型バッテリEV「モデルY L」に速攻試乗! ロングホイールベースになった乗り味や実用性を確認してみた
2026年5月19日 00:00
「モデルY L」と聞くと、ミッドサイズSUVの世界販売台数No.1となる「モデルY」の追加グレードなのかと思ってしまうが、実はテスラにしか実現しえない究極のファミリーカーを目指し、中国チームと協力しながら開発が進められたモデルだという。6人乗りオールラウンドSUVとして、どのような違いや進化ポイントがあるのか、興味津々で都心を試乗した。
もちろん、モデルYから受け継いでいるものもある。フロントマスクやスタイリング全体の印象もそうだが、「運転しやすさ」「実用性」「安全性」という基盤が受け継がれ、プラスされた「L」がロングを意味する通り、ボディサイズとしては全長がモデルYより190mm長い4980mm、全幅は同等の1920mm、全高は45mmアップして1670mmとなった。
ホイールベースも150mm延長しており、3040mmとラージセダン並みを確保。ルーフライン全体を再設計し、エレガントで上質なデザインを作り上げつつ、3列シートでもゆったりとした室内空間を実現している。
そしてロングになったのはサイズだけでなく、航続距離も一充電あたり788kmをマーク。例によってテスラは電池容量を公開していないが、モデルYのロングレンジが682kmだったため、大幅に伸びてミッドサイズセダンである「モデル3」の766kmも超えてきた。
駆動方式はデュアルモーターAWDのみだが、驚くのは空気抵抗係数であるCd値が0.216と、セダンに勝るとも劣らない数値を達成していること。ボディサイズに応じたバッテリ増量にプラスして、この驚異的な空気抵抗の小ささも航続距離アップに貢献しているはずだ。
この3列シートの大空間と、800kmに迫る長い航続距離によって、モデルY Lは多人数でのロングドライブを容易にでき、利用シーンが大きく拡大した。「モデルX」のようなファルコンウィングドアではなく、オーソドックスなヒンジドアを採用しているが、3列目シートへのアクセスをスムーズにする2列目キャプテンシートが備わり、ミニバンとして使いたいファミリーにも魅力的なパッケージに仕上がっている。
そして室内に入ると、大きなガラスルーフが2列目シートの頭上まで広がり、圧迫感のない視界をつくっている。全シートを再設計したといい、前席はクッションの厚みがあって電動のレッグサポートも付いている。
2列目と3列目はやや薄型だが、キャプテンシートとなる2列目の座り心地はふっくらとしており、座面の大きさも申し分ない。最大125度の電動リクライニングと、電動で昇降するアームレストがプレミアム感を演出。小ぶりだが、あるだけで姿勢が安定してリラックスできる印象だ。
3列目シートはさすがに狭いかと思いきや、足下・頭上ともにわずかながら余裕がある。リアスポイラーにハイマウントストップランプを内蔵することで、ガラス面をフリーにして3列目シートのヘッドクリアランスを稼ぐとともに、後方視界も確保。小学生ならかなりゆったり座れるはずだ。もちろんファミリーユースを想定しているので、チャイルドシートの装着にも対応している。
ラゲッジは6人乗車時だと奥行きは短いが、28インチと20インチのスーツケースが積載可能だという。加えてテスラでは「フランク」と呼ぶ、フロントの収納スペースにも20インチスーツケースが入る。3列目シートがワンタッチで電動折り畳み可能で、最大積載量は2539Lと大型SUV並みを確保している。
テスラらしいどっしりと安定感のある走りが特徴
運転席に乗り込めば、あとはステアリングを握ってアクセルを踏み込むだけという、テスラならではの走り出しはボディが大きくなったことなど微塵も感じさせない、スマートで余裕たっぷりの加速フィールに感心した。
車道に出る手前で一時停止する際にも、全高がアップしたような前のめり感がなく自然なブレーキング。リアタイヤが遅れることなくついてくる感覚で、路面をしっかりと捉えて加速していく安定感も感じられる。少しラフにアクセルペダルを扱った場合などに、スイッチ的な反応をすることもなくはないが、市街地でのコントロールしやすさもアップしているような印象だ。
そして速度を上げていっても変わらない、安定した乗り心地。最大100kgのダウンフォースを発生するという新しいリアスポイラー、アダプティブサスペンションの採用や、リアタイヤのサイズアップで後席まで快適性を高めていることもあるが、ボディ下部は一体成型のリアアンダーボディを再設計し、フロアスチールビームの増強などで車体剛性をアップするなど、見えない部分の進化も大きいようだ。
ディスプレイで車両の減衰量調整を選ぶことができたり、「リアコンフォートモード」を選ぶとリアの接地感が高まりつつ、後席がしなやかな乗り味に変化するのも感じられた。
短時間の試乗では魅力的なクルマだと感じたが、ネックになるとすれば、日本の道路事情ではやや大きさが気になるボディサイズと実店舗の少なさ、ミニバンといえばスライドドアという既成概念を崩せるかどうか、というところ。
ただ、テスラの面白さは破天荒ともいえるキャンペーンやサプライズを用意してくるところにもある。今回もこのモデルY Lの発売に合わせ、6月30日までに納車を完了すると「燃料代3年間無料」という前代未聞のキャンペーンを打ち出している。
もちろんテスラはバッテリEV(電気自動車)なので、全国に約146か所ある「テスラ スーパーチャージャー」による充電代を無料にするというものだが、あえて“燃料代”というのはガソリン車からの乗り換え需要にも期待しているからだろう。
年間1万km走行する場合、3年間の燃料代は約29万円になると仮定し、それがテスラなら0円というのはなんとも心揺さぶられる。国からの補助金も127万円と高額。東京都ならさらに60万円。着々と生産能力を拡大中のテスラは、納車期間も1~2か月と短いそうだ。こうしたスマートさ、スピーディさに惹かれる人にも、モデルY LはおすすめしたいバッテリEVモデルとなっている。
























