試乗記

マツダ新型「CX-5」公道初試乗 2WDと4WDで乗り味はどう違う?

マツダの新型「CX-5」に乗る機会を得た

マツダが誇るグローバルモデル「CX-5」

 3代目CX-5が登場した。2012年に誕生した初代からの累計販売台数は500万台。世界130以上の国と地域で愛され、いまでもグローバルで年間に33万台を販売。日本ではこれまでに累計40万台が売れ、それはマツダの国内乗用車販売の4分の1にあたるという、マツダにとっては絶対にハズせないクルマだ。そこで開発はあくまで顧客視点を最優先に、スペックに偏らず、開発者のひとりよがりにならないように心がけて造ったという。

 そこでまず改良されたのはプロポーションの拡大だ。ホイールベースが115mm拡大され2700mmが2815mmに。全長も同じく115mm延長されて4575mmが4690mmになったところが新型の特徴だ。より広い室内空間、そしてラゲッジスペースを拡大し、例えば子育て世代がベビーカーを縦に搭載できるようにと考えられている。また、フロアは長くすると同時に最適化も図られ、トレッド幅も2代目の前後1595mmから、前1605mm、後1625mmと拡大されている。なお、乗車定員は5名仕様のみとなる。

グレードは「S」「G」「L」の3種類で、それぞれ2WD(FF)と4WDを設定。価格は330万円~430万6500円
ボディサイズは、4690×1860×1695(全長×全幅×全高)、車両重量は2WD(FF)が1640kg~1670kg、4WDが1710kg~1740kg。試乗車のボディカラーはソウルレッドクリスタルメタリック
試乗車の装着タイヤはブリヂストンの「アレンザ」で、サイズは225/55R19

 デザインではこれらの拡大を単なる大型化ではなく、シルエットの比率を維持した「相対的拡大」を狙っている。その手法は例えばフロントドア下にくぼみを与えることで、そのくぼみまでがフロントセクションのように見える作りを施したのだとか。

 実際のところはAピラーから前は旧型とほぼ変わらずであり、それ以降が伸びているため間延びしたように見えてしまうところを、視覚的にズラすような手法が施されている。また、リアドアにも曲線を与えることで長くなったことを気づかせないようにしたところも面白い。都会的なスタイルを維持しつつ、広さを得るためには、こんな仕掛けがあったのだ。

水平基調のインパネにより視界は良好。15.6インチの大型タッチパネル式センターディスプレイも大きくて見やすい
ステアリングのマツダロゴは「MAZDA」の文字になった。シフトまわりもシンプルでスッキリとした印象
前列席はヒーターだけでなくベンチレーションも採用されて快適性を高めた。後席にもヒーターが装備されている
ラゲッジルームは5人乗車でも466Lを確保している。後席を倒しても大きな段差がなく長尺物も積みやすい

 パワートレーンは、まずディーゼルエンジンが廃止となったところがトピックだ。その代わりに「SKYACTIV-Z」という圧縮着火燃焼技術を進化させた内燃機関と、マツダ独自のストロングハイブリッドシステムを組み合わせたものを2027年以降に登場させることを宣言している。それまでは2.5リッターガソリンエンジンにマイルドハイブリッドを組み合わせたe-SKYACTIV G 2.5のみの設定。組み合わされるトランスミッションは従来と同じく6速AT。駆動方式は2WD(FF)と4WDが選択可能だ。

パワートレーンは、マイルドハイブリッドシステム「Mハイブリッド」を搭載した、2.5リッター直噴ガソリンエンジン(e-SKYACTIV G2.5)と6速ATの組み合わせ。従来のガソリンに植物由来のエタノール(バイオエタノール)を10%混ぜた燃料「E10」にも対応している

 フットワーク系は2代目のキビキビとした動きを踏襲しつつ、荒れた路面における乗り心地の改善を目指したところがポイントだ。これまで2代目はスプリングを硬くする傾向にしてその動きを実現していたが、ややソフトな方向へと改め、代わりにダンパー径を4mm拡大し、ガス圧を倍にするなどの手法で減衰力応答性を確保。

 また、シートのウレタンやバネの見直しを行なうことでフィット感を高め、乗員の揺らぎを抑える工夫も施している。結果としてステアリングを重くして身体を支える必要はなくなり、パワーステアリングは軽やかなステアリングフィールを生み出すことが可能に。ブレーキは電動ブースターに改め、ドライバーの踏力に対してリニアに応答するようになったそうだ。

一般道と高速道路で試乗した

旧型以上に軽くて小さく感じてしまうような動きの新型CX-5

 今回はそんな新生CX-5の最上級グレードである「L」のFFモデルから試乗をスタートする。ドライバーズシートに座るとまず目に飛び込んでくるのは15.6インチにもおよぶセンターディスプレイだった。Googleを搭載したそれにはほとんどのスイッチが盛り込まれている。物理スイッチの少ないスッキリとした作りだ。

15.6インチの大型センターディスプレイは、後退時はクルマの下部をシースルー表示するのでとても便利
運転席のメーターでは燃費や走行モードも確認できる。最新の先進安全技術は、運転時にドライバーがアクセルペダルを離したときに減速をアシストする「プロアクティブ・ドライビング・アシスト」を初採用した
そのほかにも、運転に集中していないドライバーの状態を知らせ、事故回避・被害低減を図る「ドライバー・モニタリング」を進化させたり、「ドライバー異常時対応システム(DEA)」の検知機能を強化したり、先進安全技術(i-ACTIVSENSE)を複数搭載している

 カメラを起動させれば周囲を把握しやすく、またクルマの下部をシースルーで見えるようにもできるため、前から駐車枠に入れたとしても車止めの位置まで的確に示してくれるところが実に扱いやすい。

 地図表示時に空調関係のスイッチを出そうとすると自車位置が埋もれてしまうことや、操作時に指を支える場所がないところはやや改善の余地があると思えるが、アップデートや内装形状を見直してほしいところ。それ以外はいたって快適だ。特に本革シート仕様のみに許されたシートベンチレーションは、暑かった試乗当日にはかなりありがたい装備に感じた。

新型CX-5は軽快さを極めている感じだ

 走り出せばとにかく動き出しの時点から軽快さ極まる。パワーユニットはノイズキャンセリングをしていないが、静粛性もまずまずで心地よいと感じさせるサウンドのみを取り込みながら駆け抜けていく。

 アクセルをわずかに開けた時点からスッと動き出し、交差点を曲がればとにかく機敏に切れ込んでいく。2代目よりも全長が115mm長く、全幅も20mmワイドになっているものの、全体的に扱いやすく、コンパクトに感じられるような動きだ。止まるときはたしかにリニア。右足の動きを踏み始めから即座に展開していく。たしかに軽快だし運転していて面白いところはある。

 高速ワインディングでもノーズの入りはよく、乗り心地はわるくない。けれども、少しシビアすぎるように感じるのは僕だけだろうか? コンフォートなSUVかと思いきや、やはり走りのマツダがやや濃いめ!?

 軽さ重視のパワステ設定は、高速コーナーにおけるステアリングの座りはにぶく、交差点におけるセルフアライニングトルクがかなり強めなところも気になった。また、後席に座れば足下のスペースがCX-8並みとなり、足も組めそうな優雅な空間はいいが、突き上げ感ある乗り心地は予想外だった。

高速ワインディングでもノーズの入りはいい

 けれども続いて乗った4WDのGグレードはまるで異なるフィーリングだった。動きのすべてにほどよいダルさがあり、しなやかに駆け抜けていく感覚にあふれていたからだ。重さだけでなく、駆動がリアにかかるためか、高速コーナーにおけるステアリングのすわりもよくなっている。

4WDモデルのほうが安定感もあるし、しなやかに駆け抜けていく感覚だった
リアの乗り心地はゆったりとしていて眠れそう
高速道路でのACC使用時はウインカーレバーでレーンチェンジをサポートする

 リアの乗り心地にもゆったりとした味が加わり、これなら静かに眠れそうだと思えるほどに、コンフォート性は上なのが明確だった。よって、雪道に行かないからFFでいいや、なんていう選択の仕方はしないほうが無難。現状でのおすすめはやはり4WDだと感じた。

歴代CX-5。ブルーが初代、レッドが2代目、紺色が新型(3代目)。時代とともに洗練され、質感が高められているのがよく分かる

【お詫びと訂正】記事初出時、一部表記に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。

橋本洋平

学生時代は機械工学を専攻する一方、サーキットにおいてフォーミュラカーでドライビングテクニックの修業に励む。その後は自動車雑誌の編集部に就職し、2003年にフリーランスとして独立。2019年に「86/BRZ Race クラブマンEX」でシリーズチャンピオンを獲得するなどドライビング特化型なため、走りの評価はとにかく細かい。最近は先進運転支援システムの仕上がりにも興味を持っている。また、クルマ単体だけでなくタイヤにもうるさい一面を持ち、夏タイヤだけでなく、冬タイヤの乗り比べ経験も豊富。現在の愛車はユーノスロードスター(NA)、MINIクロスオーバー、フェアレディZ(RZ34)。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

Photo:安田 剛