試乗記
トライアンフ「T120」、KTM「990 RC R」、BMW「R 12 G/S」、ドゥカティ「スクランブラーナイトシフト」に乗ってみた
JAIA輸入二輪車試乗会レポート
2026年5月25日 11:26
- 2026年5月20日 開催
日本自動車輸入組合(JAIA)は5月20日と21日に、輸入二輪車試乗会・展示会を大磯プリンスホテルにて開催した。JAIA加盟各社の最新モデルを取り揃えた試乗会は、輸入二輪車の魅力とその走りを報道関係者などに理解してもらうために毎年行なわれているもの。
記者も試乗会場に用意されたクローズドの特設コース内で、伝統のモダンクラシックモデルであるTRIUMPH「T120」、KTMのスーパースポーツモデル「990 RC R」、レトロなオフロードテイストを纏ったBMW「R 12 G/S」、カフェレーサースタイルのドゥカティ「Scrambler Nightshift」に試乗してみた。
TRIUMPH「T120」
最初の1台は、トライアンフの伝統を象徴するモダンクラシックモデル「T120(ボンネビル)」。水冷4ストローク並列2気筒SOHC 8バルブ 1200ccエンジンを搭載し、最高出力58.8kW(80PS)/6550rpm、最大トルク105Nm/3500rpmを発生する。シート高は790mm、車体重量は233kg。
その特徴は、往年の美しいブリティッシュツインのシルエットを維持しながらも、クルーズコントロールやロード/レインのライディングモード、切替式トラクションコントロールなどの現代的な電子制御を標準装備している点にある。低回転から力強いトルクを発生し、上質でリラックスしたライディングを提供してくれるモデルだ。
走り出して感じたのは“これは上質な乗り物に乗っているな”というのが第一印象。その印象の理由を頭の中で紐解いていくと、バイクとライダーが接触するハンドル、シート、ステップから伝わる情報において、路面と接触するタイヤの感触が鮮明に伝わってくる印象で、なにかの部品がカタカタ、ビリビリといった不快な振動やノイズがなく、純粋な走行フィーリングだけが伝わってくるからと感じた。
シート高は790mmと足着き性が良く、またがった瞬間から安心感がある。エンジンは“ドルンドルン”といった音色で排気音も迫力満点、低回転から発生するトルクもあってか低速域でも扱いやすい。233kgという重量級のモデルではあるが重量バランスの妙なのか、パイロンスラロームで車体をバンクさせていっても安心感は高かった。
上質な乗り心地はライダーとして満足感が高く、こういったバイクが似合うジェントルマンライダーになりたいなと思った次第。
KTM「990 RC R」
2台目は、KTMが送り出すスーパースポーツモデル「990 RC R」。水/油冷4ストロークの並列2気筒DOHC 947cm3の「LC8c」エンジンを搭載し、最高出力は127.84PS、最大トルク103Nm/6750rpmを発生する。乾燥重量は184kgで、シート高は845mmに設定されている。
サーキットやストリートでの圧倒的なパフォーマンスを追求したこのモデルは、アグレッシブなエアロダイナミクス(ウイングレット)やクロモリ鋼製ダイヤモンドフレームを採用。WP製の高性能サスペンションを組み合わせ、シャープでソリッドなハンドリングと卓越したスポーツ性能を実現した戦闘力の高いキャラクターが最大の特徴だ。
シート高845mmというバイクに跨ってみると、まずは本格的なレーシングポジションに身が引き締まる思いがする。
並列2気筒のエンジンはタタタタタタと小気味いい音色。走り出してみると、127.84PSのパワーユニットはスロットル操作に過度に神経質になる必要はなく、ライダーを優しく迎えてくれる。レーシングマシンの見た目に驚かされてしまうが、日常領域での扱いやすさも確保されていた。
今回用意されたクローズドコースには、直線からブレーキングをして緩やかなコーナーに入っていくようなシーンがあったが、車体をバンクさせて曲がっていくときの安心感は高く、サーキットを速く走るためのマシンであることの一端を感じることができた。日常性も持ちながらもやはりサーキットに行くと楽しいバイクかもしれない。
BMW「R 12 G/S」
3台目は、BMW Motorradのヘリテイジラインに加わったニューモデル「R 12 G/S」。空/油冷の水平対向2気筒1169ccのボクサーエンジンを搭載し、最高出力80kW(109PS)/7000rpm、最大トルク115Nm/6500rpmを発生。乾燥重量は216kg、シート高は860mmとなっている。
このマシンの最大の特徴は、かつての伝説的なオフロードモデル「R 80 G/S」を彷彿とさせるレトロなエンデューロスタイルと、現代の洗練されたシャシー技術が融合している点。フロントには21インチホイールを装着し、ボクサーエンジン特有の低重心による安定感と、どこかクラシカルでタフな旅情を駆り立てるデザインが魅力となっている。
シート高860mmとやや腰高な印象を受けるが、バイクに跨ってしまえば車体が沈み込むので、身長169cmの記者でも足先でツンツンではあるが停車状態を維持できる。ボクサーエンジンの低重心さのおかげか、不思議とグラつく不安はない。
スラロームセクションを走らせても、今回乗った4台の中で一番安心感が高く、その安心感から車体をバンクさせた状態でも余裕を持って操作することができ、自分が狙っているラインどおりにバイクが動いてくれる。
R12シリーズでどのモデルにしようか? と迷っている人であるなら、ルックスで選んでも乗れてしまうバイクだなと感じた。気になっているのであれば、一度試乗してみるのはいいかもしれない。
DUCATI「Scrambler Nightshift」
最後の4台目は、ドゥカティの人気シリーズ「スクランブラー」の中から「Scrambler Nightshift(スクランブラー ナイトシフト)」を選んでみた。最高出力73PS/8250rpm、最大トルク65.2Nm/7000rpmを発生する空冷4ストロークL型2気筒803ccエンジンを搭載。装備車両重量は182kg、シート高は795mmとコンパクトにまとまっている。
ナイトシフトの特徴は、フラットな形状のシートやフラットバーハンドル、バーエンドミラーを採用した都会的なカフェレーサースタイル。エレガントなエメラルド・グリーンのカラーリングでまとめられた佇まいは、ストリートでひときわ目を引く。扱いやすいLツインの鼓動感と、軽快な街乗りを両立したファッショナブルなネイキッドモデルだ。
バイクにまたがってみると、低いバーハンドルによって、やや前傾のスポーティなポジションとなる。エンジンを始動させると“ドカドカドカ”とドゥカティ伝統のLツインエンジンが奏でる大粒のサウンドがライダーを心地よく刺激してくれる。
メカニズム部分が車体中央にギュッと凝縮された見た目の印象の通り、走り出してみると、鍛え上げられたアスリートの筋肉のように、余計な脂肪分を感じさせない乗り心地。全体としてひとまわり小さいバイクを操っている印象で、パイロンスラロームを走らせても車体を左へ右へと傾けるのが非常に楽しいバイクであった。
今回の試乗会では、伝統のスタイルを守るモダンクラシック、最先端のスーパースポーツ、伝統のボクサーエンジンを積むエンデューロ、そしてスタイリッシュなカフェレーサーと、それぞれ異なるキャラクターを持つ4台の海外ブランドマシンを乗り比べることができた。それぞれの個性を肌で体感し、バイクがもたらしてくれる多様な世界観をイメージできたことは非常に有意義だった。
やはり、スペックだけでなく、気になるモデルであれば実際に一度試乗してみることを強くおすすめしたい。また、気候のよいツーリングシーズンを安心して楽しむためにも、こうしたクローズドコースでの試乗やライディングスクールなどを活用し、自身の基本操作を再確認する機会を作るのはリターンライダーや週末ライダーにとって非常によいことだと改めて感じた。


















