試乗記
ボルボ・トラック「FH2026年モデル」に試乗 新採用のデジタルミラー「カメラモニターシステム」の使用感は?
2026年5月26日 00:00
デジタルサポートで視界を広げる「カメラモニターシステム」
カメラモニターシステムを新たに採用したボルボの大型トラック「FH」の2026年モデルが、国内では2026年6月にUDトラックスから発売される。2026年モデルにおける最大の注目点は、従来のサイドミラーに代わるデジタルミラー(カメラモニターシステム)の採用で、メディア向けの先行試乗会でその効果を試した。
まず、実車の外見では、これまでのミラーと違ってキャビン外側にコンパクトに設置されたカメラユニットがある。これにより空気抵抗の低減で低燃費が期待できるだけでなく、キャビン内のAピラー付近に設置されたモニターにより、悪天候時や夜間でも鮮明な視界を確保している。
カメラの位置はこれまでのミラーよりも高めの場所となっており、従来の2つのミラーで見えていたのと同じように、通常ビューと全体を俯瞰する広角ビューを同時に表示できる。また、表示範囲は切り替えができるほか、視界がトレーラーの後端を自動で追従する機能を持っているため、いつでもトレーラーの後端の状況を確認できるようになっている。
また、カメラによる表示となったため、汚れにくくクリアな視界が確保され、ミラーによる風切り音も減少して運転環境の改善が期待できる。さらに、空気抵抗の低減による燃費向上にも効果がある。
カメラで得た映像を表示する範囲である“視界”は切り替え可能で、ミラーよりも広い範囲を映すことができる。たとえば、左側に合流するような場合、トラックの場合は見えにくいところが多いが、カメラの表示範囲を変更することで死角も減らせる。
映像に表示される基準線の位置は任意の場所に設定できる。例えば、トレーラーの後端部分にセットしておけばバックする際の目安になるし、内輪差の基準としてもいいだろう。基準線は左右のミラーともに同時に動く。
カメラは赤外線照射によって真っ暗闇でも視界を確保できる。暗い場合はカラー映像ではなくモノクロ映像になるが、障害物などを確認するためには十分で、さらにデジタル処理によって映像が補正されるので、見やすい映像になる。
暗闇でも確認できるので、夜間の休憩時に不審者が近づいてきたことや、不審者の挙動も確認可能。外に出ることなく安全なキャビンの中から確認できるため、女性ドライバーなどでも安心だという。
エンジンがプッシュスタートに。スマートキー採用のほか、全体的な機能向上
さらに、エンジンの始動方法が「パッシブスタート」へと変更になった。これはいわゆるスマートキーで、これまでのキーを差し込んでひねる方法から、キーを携帯し、車両側のボタンを押すことでエンジンを始動させる方法になっている。
ほかにも、側方衝突警報装置(BSIS)、オートマチックパーキングブレーキ、ボルボ・ダイナミックステアリングなどを搭載し、機能が向上している。
なお、エンジンはボルボD13eSCRから変更はなく、トランスミッションも定評あるAMTの「I-シフト」が組み合わされる。
左後端がいつでも見やすい幸せ! トレーラー後端を自動追従
実際に車両に乗り込んでテストコースを周回する。13リッターのエンジンとAMTの「I-シフト」によって、ポジションを前進の「A」に入れてアクセルを踏めばスムーズに加速していく。ボルボFHの特徴として静かなキャビンが挙げられることが多いが、加速中もささやき声で独り言を言ってもしっかり聞こえるくらいだ。
加速中はシングルクラッチのAMTなので、加速の途切れは積み荷次第で大きくなることもあるが、重い荷物ほど急加速をするものでもないので気になることはないだろう。
肝心のカメラモニターシステムの動作だが、試乗ルートには周回路のほかにきついコーナーを通るシーンもあったが、電子ミラーがトレーラー後端に追従する点が感動的だった。
固定のミラーなら視界から外れてしまうほどヘッドを折ったときでも、何も操作せずにトレーラーの後輪や後端が大きな画像で表示され続ける。きついカーブほど内輪差も大きくなるので内側にある障害物を確認する必要があるが、追従してくれるため確認しやすい。
表示範囲の移動は、動画をパンするようになめらかに移動するのではなく、決められた範囲をパパっと切り替えるようなタイプ。好みもあると思うが、視界が変わったことに気がつきやすいので、ヘッドとトレーラーの折れ具合を把握しながら走るトレーラーなら、この方法もありだと思った。
バック時には残念ながら追従する機能はない。それでもドライバーの手元の上下左右キーの操作ですぐに視界を調整できるので、確認したいところを表示するのは難しくない。
また、テストコースのガレージ内で試したのは薄暗い場所での見え方。赤外線技術で真っ暗闇でも確認できる。その場合、画像がモノクロになってしまうものの、光がないときでも見えることは大型車を操るうえで安心感にもつながる。
ハンドル操作はボルボ・ダイナミックステアリングでらくらく
テストコースのコーナーをまわる際には、レーンキーピングアシストによるステアリング操作なども試してみたが、低速であればトレーラーの後端が車線内に収まるようにステアリングをアシストしてくれる。
そして、ステアリング操作は適度に軽いものの「ボルボ・ダイナミックステアリング」によって、道路の荒れによってハンドルが取られることもなくスムーズにコーナーをいなしていく。
また、今回の試乗日はあまり風が強くなかったので効果を感じなかったが、強風で横風にあおられるようなシーンでもボルボ・ダイナミックステアリングの効果で、修正舵も行ないやすいという。
加えて、ボルボ・ダイナミックステアリングの体験ということで、轍のある未舗装路の走行もしてみた。ボルボ・ダイナミックステアリングの性能は同じという2025年モデルで試乗した。
轍が深い道路では、乗り越える際に大きくハンドルを取られることもあるが、ほとんど感じずに走れた。全く轍を感じない訳ではなく、楽に乗り越えられるようになっている。
特に大型トラックではサスペンションシートの採用が多く、ボルボFHも採用する。そのため荒れた路面では、シートにしっかり収まっていても、ステアリングホイールとの位置関係がシートサスペンションのストロークぶんだけ連続的に変化する。
未舗装路ではシートから飛び出してしまうのではないかと思うほど上下に移動するが、最新のFHでは運転姿勢の変化はあまり感じずに走り抜けられた。
ボルボ・コネクトではジオフェンス機能なども機能拡張
この日はボルボ・トラックの、そのほかのサービスの説明も行なわれた。今回、車両情報をリアルタイムで管理するサービスである「ボルボ・コネクト」にジオフェンス機能が追加された。
これは地図上に仮想領域をセットすると、車両がそこを通過した際にアラートが出る仕組み。車両位置を把握することはもとからできていたが、これによって車両の到着がより分かりやすくなる。ユーザーの活用次第で、さまざまなことができるという。
また、アフターサービスについても、整備契約の「ボルボ・ブルー・プレミア」では新車購入から3年間または5年間、車両メンテナンスの一般部品、駆動系部品、メンテナンスの3つを毎月定額で払うサービスが紹介された。整備拠点も全国で190か所あり、必要なパーツ供給は群馬県太田市のパーツセンターから届くためリードタイムが短いことも強調していた。
今回新型FHを試乗したが、カメラモニターシステムの採用により、特に車長の長いトレーラーで安心して走行できることを実感できた。





































