試乗記
フォルクスワーゲン「ID. Buzz」試乗 EVとミニバンの組み合わせは絶妙な親和性
2026年10月2日 11:43
フォルクスワーゲンType2、通称ワーゲンバスが登場したのは1950年のこと。ビートルの名で知られるType1をベースに「もっと多くを、自由に運びたい」と誕生したのが始まりだ。愛くるしくアイコニックなデザインはクルマ好きなら誰もが知るところだろう。
それから75年が経過した2025年。フォルクスワーゲンはEV(電気自動車)によってその世界観を再び日本で復活させた。それが「ID.Buzz」である。プラットフォームはSUVモデルの「ID.4」でも使っているMEB(Modular Electric Drive Matrix)を採用。リア駆動を基本としている。くしくも昔と同様のレイアウトで、まさしく発進となった。
今回はそんなID.Buzzでロングドライブに出かけることになった。借り出したのはPro Long Wheelbaseというホイールベースも一充電航続可能距離(WLTCモード)も長いモデルで、それぞれ3240mmと554kmを記録している。ちなみにProというショートホイールベース版は、それらが2990mmと524kmとなっている。
EVとミニバンの組み合わせは親和性が高い
走らせてみればさすがはEVといった感覚で静粛性豊かにスムーズに駆け抜けていく。フォルクスワーゲンのEVは唐突なトルク発生がなく扱いやすさにたけていることが特徴的だが、このクルマもその方程式どおりといった感覚があり扱いやすい。
明るく開けた感覚があるインテリアと共に、くつろぎの空間にはもってこいの乗り味。けれども、その気になりドンとアクセルを踏めば最高出力210kW(286PS)、最大トルク560Nmにより巨体をものともせずに無駄なく加速させていく。その際、後輪駆動によってしっかりと地面をつかみながら押し出す感覚が心地いい。これがもしも前輪駆動だったらこうはいかないだろう。
シャシーは車重2730kg(パノラマルーフ装着車)を収めるためかやや引き締められた感覚が低速では見られたが、速度を重ねれば重ねるほどフラット感が高く、安定した走りを実現するあたりはドイツ的。ワインディングだろうが高速だろうが、手の内に収めやすい運動性能を得ていることもまたフォルクスワーゲンらしい仕上がりといっていいだろう。
また、ロングホイールベースで直進安定性も高く、例えば新東名高速の120km/h規制区間でも外乱によって乱れるようなことなく走っていく。その際、室内の静粛性は高く、後席に座っていたとしてもドライバーと話がしやすいところはEVのメリットだとも思えた。これなら後席で会話の置いてきぼりにされるようなことはないだろう。EVとミニバン、これはかなり親和性が高い。
また、パノラマルーフが生み出す爽快感やインテリアの明るい色使いによってリゾート感は満載。これならロングドライブも苦にならない。さらに航続可能距離もいろいろ我慢せずに使って400kmくらいは余裕なので、パーキングエリアなどで休憩中にちょい足し充電して行けばなんら問題はない。東京~愛知の往復で我慢を強いられたりするようなことは皆無だった。
ウィークポイントとなるのはやはりサイズ感だろうか。全幅1985mmで前述したとおりのホイールベース3240mmである。このプラットフォームはステアリングがよく切れるように設計されているから小回りはきくのだが、それすなわち内輪差も大きくなるということも忘れてはならない。丸っこいが割とスクエアなこともあって、車両感覚はつかみやすく気をつけていれば問題はないが、リアのイン側を引っ掛けないようにと注意する必要はあるのかなと思えた。それさえ気を遣えば駐車するのだって難しくはない。ソコが気になるのであればショートホイールベース版を選択すべきだろう。
そんなID.Buzzはいま、デビュー1周年を記念した「ID.Buzz 1st Anniversary Edition」というミディアムブルーメタリック&キャンディホワイトの専用カラーに仕立てたモデルが発売となっている。アニメの「ドラえもん」とのコラボも始まり、どこかホッコリとしてしまう世界が広がっているから気になる方はぜひチェックしてみてほしい。キャラから成り立ちまで全てにおいて、かつてのワーゲンバスの生まれ変わりともいえる世界が広がっているのだから。















