写真で見る「86プロトタイプ」


 2009年の東京モーターショーで、トヨタ自動車とスバル(富士重工業)が共同開発を行ない、新規に作り上げることが発表された小型FRスポーツ。コンセプトモデルは「FT-86 Concept」とネーミングされ、コンパクトなボディーに2+2のシートレイアウト、そして水平対向エンジンとリアドライブという、近年の国産モデルにはなかったパッケージを持つモデルとして注目を浴びた。

 翌年の東京オートサロンでは、早々にカスタムを施した「FT-86 G Sports Concept」が公開され、ノーマルモデルをチューニングして楽しんでほしいというメーカーの方向性も示された。

、今年に入ってからは、3月のジュネーブショーと9月のフランクフルトショーで、「FT-86II concept」が公開され、4月のニューヨークショーでは北米トヨタの若年層をターゲットにしているサイオンブランドから「FR-S concept」と立て続けに、コンセプトモデルのワールドプレミアを行なってきた。

2009年の東京モーターショーで公開された「FT-86 Concept」2010年の東京オートサロンで公開された「FT-86 G Sports Concept」
2011年のジュネーブショーで公開された「FT-86II concept」2011年のニューヨークショーで公開された「FR-S concept」

 そして、ついに量産版に近いプロトモデルが11月27日に富士スピードウェイで開催された「トヨタ ガズーレーシング フェスティバル 2011」の中で、大勢の観衆の前にお披露目された。

公開された86は量産版に近い状態だと推測される

 公開された「86(ハチロク)」のボディーサイズは、4,240×1,775×1,300mm(全長×全幅×全高)。ルーフ高は1,285mmで、ホイールベースは2,570mm。2009年に公開された「FT-86 Concept」が4,160×1,760×1,260mm。「FT-86II Concept」は、4,235×1,795×1,270mmだった。

 それらと比べ、公開された86は、全幅がフェンダーの抑揚を抑えた分だけ狭くなり、全高が市販モデルとしての最低地上高を満たすために上げられた。FT-86 Conceptから3サイズともに大きくなっているが、FT-86II Conceptと比べると、ボディーサイズがほとんど変わっていない。

 サイズの変更は小さかったが、エクステリアのデザインをチェックしていくと、細かい部分でかなり変化が見られた。ヘッドライトやリアテールレンズは、角が尖ったソリッドなタイプだったのに対して、サイドから下部に丸みを持たせているのが特徴。ヘッドライト下にはウインカーとフォグランプが新設された。フロントバンパーの形状はフォグランプが付いたことを除けば、ほとんど変わっていない。また、サイドラインに違いは見られないが、サイドステップの処理やドアミラー、クオーターガラスの形状が新しくなっている。

 86になりもっとも大きく変わったのが、リアまわりのデザイン。テールレンズの意匠が変わったのは前述のとおりだが、トランクエンドがナンバープレートを取り付けられるデザインになったため、バンパーの厚みが抑えられた。この処理を行なったために、リアまわりのデザインが大きく変わったように感じるのだろう。

 インテリアは初めて公開されたために、比較できないが、メーター中央にはタコメーターが付き、左にはスピードメーター。エアコンスイッチなどのセンターコンソールまわりもシンプルではあるが、ドライバーの直感で動かせるような配置を採用してるようだ。シートは、サイドの張り出しが強いスポーツタイプで、ホールド性を求めている。

 ステアリングも革巻きでグリップに優れている。リアシートは、2名乗車となっているが、エマージェンシーシートと考えたほうがよさそうだ。子供なら無理なく座れるはずだが、大人が長時間座るのは厳しいのかもしれない。その他の詳細は、以下の写真を参照してほしい。

タイヤはミシュランのPrimacy HPを履く。プリウスの17インチ仕様から持ってきたそうだリアバンパーのディフューザー形状はコンセプトモデルから踏襲されたフロントバンパーに新たに設けられたフォグランプとウィンカー
ヘッドライトは、角や下部が丸められた。若干だが表情が柔らかくなったように感じるフェンダーにはダクトがあり、86のエンブレムが付く。カラーはボディー色によって変わるようだ大きく意匠が変わったリアまわり。トランクエンドとテールレンズの形が変わった。
ウイングが着くタイプとないタイプがあった。ウイングの形状はコンセプトモデルと同じ
試乗会場に置かれていた左ハンドルモデル。ホイールやバンパー形状などが異なるホイールは18インチのBBSを装着タイヤはブリヂストンのRE86というネーミングが付いていた。これはコンセプトモデルでも見られた遊び心
初公開されたインテリア。レッドとブラックツートーンでところどころ革が使われスポーティにアレンジされている
6速ATのセレクトレバー。6速MTもシフトブーツが付き、似たデザインとなっている。このモデルにはパドルシフトが付いていないが、ATにはパドルシフトが付いたタイプもある左ハンドル仕様のインテリアエンジンは水平対向4気筒 2.0リッター。最高出力200PS、最大トルク20.9kgmというスペック
試乗車はシルバー、ホワイト、ブルー、レッド、ブラック、オレンジの7色があった

写真で見る バックナンバー
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/photo/

(真鍋裕行)
2011年 11月 30日