レビュー
【ナビレビュー】「CX-5」のマツダコネクトから新しく対応したApple CarPlayでGoogleマップを使ってみた
Android Autoもチェック
2019年1月3日 07:00
マツダの新世代カーコネクティビティシステムとして2013年発売の「アクセラ」から搭載が開始された「マツダコネクト」。この新世代商品群にほぼ標準で搭載されるシステムは、ダッシュボード上の7インチWVGAセンターディスプレイ、アクティブ・ドライビング・ディスプレイ(いわゆるヘッドアップディスプレイ)、それにセンターコンソールに配置されたコマンダーコントロールが組み合わされたもの。オプションを購入することなくクルマの各種設定が行なえたり、スマートフォンなどと接続することでインターネット放送などのエンターテインメントが楽しめたりする。さらに別途ナビゲーションソフトを購入することで、安価にカーナビゲーションとしても利用することが可能になっている。
ただ、ナビゲーションに限った話をすると、当初はグローバル仕様のソフトウェアが搭載されており、複雑怪奇な道路事情をベースにガラパゴス的な進化を遂げていた“日本のカーナビ”に慣れたユーザーにはあまりにも使い勝手がわるく映ってしまった。そうした事態を改善すべく、幾度かのアップデートを経たのち、現在では日本向けのソフトウェアとなる「マツダコネクトナビPLUS」を採用。さらに、ハードウェア面でも「CX-8」からは「自車位置演算ユニット」を搭載するなど、使い勝手を改善すべく着実に進化を遂げている。
こうしたアップデートの一環として実現したのが、2018年10月に行なわれた「CX-5」および「CX-8」の商品改良モデルから採用されたApple CarPlayおよびAndroid Autoへの対応だ。マツダ車の場合、ほとんどのモデルがマツダコネクト標準搭載ということもあって、市販カーナビの装着ができないというデメリットがあったが、これによって少なくともソフトウェアの選択肢については広がったわけだ。
前置きが長くなってしまったが、ここではマツダコネクトとApple CarPlayを組み合わせての使い勝手を中心にお伝えしたい。iOS 12以上であればGoogleマップ&ナビが利用できるようになったため、地図のバリエーションという面でも利便性が高くなったと言える。
Apple CarPlayでGoogleマップ&ナビを使う
Apple CarPlayを使うのはカンタンだ。コンソールボックス内のUSB端子にケーブル接続するだけ。設定画面の「通信」タブにある「Apple CarPlay接続」にチェックを入れればOK。あとはホームボタンでメニューを表示し、好きなアプリを選択すればいい。ここから「Google Maps」を選択すれば、センターディスプレイに見慣れたマップ画面が表示される。
Googleマップ&ナビでできるのは「目的地の追加」と歯車アイコンの「設定」のみと至ってシンプル。まず、目的地の追加は「最近の検索」「ガソリンスタンド」「レストラン」「スーパー」「カフェ」といったメニューが用意されるほか、「その他」を選ぶことでいわゆる「フリーワード検索」的なことが可能となっている。この場合、検索窓に好きな文字を入力することになるワケだけれども、コマンダーコントロールを回して文字入力するのは正直、不可能といっていいほど面倒。マイクアイコンを選んで“しゃべって入力”するのが正解だろう。4G&常時接続の威力は絶大で、素早くそして正確に発話した内容を認識してくれる。音声認識による目的地検索は一般的な据え置き型ナビでも採用されているけれど、レスポンスのよさという面においてはこちらの方が一段上手だ。
例えば石川県にある「のとじま水族館」に行きたい場合は、そのまま「のとじま水族館に行く」なんてワードでOK。ルート探索まで問答無用に一発でやってくれる。この検索機能は「さすがグーグル」って感じで、「人気のカフェ」だったり、「魚料理が食べたい」だったりと、テキトーなキーワードでも目的地を探してきてくれる。このお気楽さ加減はかなりのメリットだ。
で、行きたいところが決まったら、「出発」を選べばルート案内が開始される。その際、施設の営業時間内に到着できないと、それを教えてくれる機能があったりしてちょっと親切。「その他の経路」を選ぶことで別ルートの探索ができたり、設定メニューから「有料道路回避」や「フェリー回避」を選べたりと、項目的には少ないながらもカスタマイズが可能になっている。
ルート案内はGoogleマップを表示しながら、色分け表示したルートや車線ガイド、分岐案内で行なうが、この点に関しては洗練されているとは言いがたい。まず、地図表示そのもののコントラストが低く、道路が分かりづらいため「チラ見」では状況が把握できないのが最大の欠点。車線ガイドや分岐案内といったデータ面に関しては必要最低限といった感じで、収録場所が限定されていることもあって物足りない印象を受ける。やはり「クルマ用の地図ではない」ってことがすべての前提と言えそう。
逆に利点は、余計なコストを掛けることなく交通状況が表示できること。加えて地図更新もタダだ。少し古いけれど2018年6月2日に開通した外環道 三郷南IC(インターチェンジ)~高谷JCT(ジャンクション)はすでに反映済み。ただ、12月8日に開通した後志自動車道 余市IC~小樽JCTは、取材日(12月17日)にはIC名のみ地図上に表示される状態。多少のタイムラグはあることは頭に入れておきたい。
精度面ではマツダコネクトの自車位置演算ユニットを活用しているようで、トンネル内でも問題なく自車位置を表示した。ただ、一般道と高速の2階建て道路に関しては、今回テストしたルートでは判定できていなかった。というより、道路の高さデータを持っていないと考えるのが自然かも。ただ、それによって案内中の道路を外れた際のリルートに関しては素早く、実用上はそれほど問題ないと思える範囲ではある。
ここまでは一長一短といった感じだけれども、最も気になったのが操作性だ。特にルート案内時に縮尺の変更や地図移動をする場合、普通ならコマンダーコントロールを回す、倒すといった操作が対応していそうに感じられるが、このシステムの場合、画面上に表示される小さなアイコンを選択して地図操作モード(?)に入ってから行なう必要があるのだ。手元や画面を見ずに操作できるのがコマンダーコントロールのようなデバイスのウリであるハズが、こんな面倒な操作をしなければならないのでは本末転倒だ。
標準マップも試してみたが、地図やルート案内は異なるものの、インターフェースについては同様にクセがある感じ。音声を利用しての目的地検索に関してはGoogleマップ同様にすこぶる便利だが、あらかじめ用意されているメニューの検索結果は「どうしてこうなる?」と疑問が残る結果に。案内に関しては交差点をオートズームで案内してくれるのはいいと思える反面、高速道路の分岐を「出口」と表現することがあるなど、Googleマップとどちらを選ぶかはいまひとつ決め手に欠ける印象だ。
Android Autoに関してはごく短時間の使用だったため言及は避けるけれど、「検索面は便利。でも地図はクルマ向きではない」といった印象を受けた。
使い方次第では便利
手持ちのスマホを使うことで、なにより手軽なApple CarPlayやAndroid Auto。最大のメリットは目的地検索のカンタンさで、新規スポットにもすぐに対応してくれるのも嬉しい。地図更新に関しても対応速度に関してはともかく、ユーザーが気にすることなく新しい情報を使えるのは間違いなく便利だ。反面、道路に関しての分かりやすさや情報量に関しては、やはり専用のカーナビに利がある。
こうした点を踏まえると、ありきたりだけれども日常の買い物やたまにドライブといった「ライト」な使い方なら不満は少ないハズ。特に、対応したマツダコネクト装着車なら追加コストを必要とせず、すぐに使えるのも嬉しいところ。
カーナビはこれで完璧! というよりは選択肢が増えた、という点でユーザーにメリットは大きいと言えるだろう。