レビュー
【タイヤレビュー】“疲れにくい”という安全性能を付与したブリヂストンの新タイヤ「Playz PX」を試す!!
セダン・クーペ用「Playz PX」、ミニバン用「Playz PX-RV」、軽・コンパクト用「Playz PX-C」を設定
(2016/1/8 12:00)
商品コンセプトは「疲れにくい」
今から約11年前の2005年2月。ブリヂストンは業界初となる非対称形状タイヤである「Playz PZ-1」を発売した。このタイヤは簡単に言ってしまえば、外側はラウンド形状、内側はスクエア形状とすることで、わだちや突起などの外乱をタイヤが吸収し、“ラク”に走らせようと狙ったタイヤだった。
そして今回発表された「Playz PX(プレイズ ピーエックス)」も、基本的にその考え方は変わらない。非対称形状はもちろん継承。コンセプトは“ラク”から進化し、運転中に蓄積されていくストレス、疲れを低減しようというもの。キーワードは“疲れにくい”である。
そのコンセプトを達成するためにブリヂストンが必要だと考えたことは主に3つ。直進時のハンドルのブレを少なくすること。思い通りのハンドリングを実現すること。そしてレーンチェンジ時にふらつかず、修正操舵を少なくすること。当然のようなことばかりだが、実はそれを達成するのは難しい。
個人的にはこれまで非対称形状のタイヤはあまり好まなかった。外乱を嫌うためのデバイスが、ステアリングインフォメーション性能を低下させ、さらに大入力に対して弱い傾向があったからだ。いくら“ラク”でもきちんと走れなければバツだと考える僕のような走り馬鹿にとって、これまでのPlayzはちょっと物足りなかったのだ。
新生Playz PXは、“疲れにくいタイヤ”を実現するため、非対称形状技術だけでなくトレッドパターンも大幅に見直している。ショルダー部はブロックの1つひとつを大き目にすることで高剛性を実現。センター部の接地性を大切にすることで思い通りのハンドリングを実現する「クロスリーフカットグルーブ」も搭載している。これらの搭載技術により直進安定性、旋回時の操舵角、そしてレーンチェンジ時の修正操舵も少なくなるというのだ。ブリヂストンではPlayzとスタンダードタイヤ「ECOPIA EX20」を装着したそれぞれのクルマに、テスターを乗り比べさせて脳波を計測。すると、ストレス値が低減していたことが分かったというから興味深い。
一方でウェット性能や低燃費性、さらにはライフ性能にまでも配慮をした新トレッドゴム配合技術を搭載。シリカ粒子径を小さくすることで耐摩耗性を向上。さらにシリカやポリマーをうまく分散させるサステナブル分散性向上剤を採用することで、低燃費性能を高めている。
結果としてECOPIA EX20と同等のウェットブレーキ、転がり抵抗性能を達成。摩耗寿命については10%向上することに成功したという。以前のPlayzはECOPIAに比べてしまうと30%以上も転がり抵抗がわるかっただけに、これは大幅な進化といっていい。ちなみにPlayzの実勢価格はECOPIAに比べれば高くなってしまうが、摩耗寿命までを考えればトータルコストはそれほど変わらないそうだ。
思った通りに走り、ストレス軽減を実感
今回はそんなPlayzとECOPIAをさまざまなシーンで比較した。
すると、はじめに走ったウェットハンドリング路では明らかに操舵角が減り、かなり高剛性であることを確認できた。ECOPIAに比べるとケースのヨレも少なく小舵角で素直に走ってくれる。そして切り込み応答も優れていることから、結果としてかなりハイペースで走れてしまう。もう頼りない非対称形状タイヤのイメージはない。これならいつでも思い通りに走り、ストレスが軽減されているというのも頷ける。
それはドライ路面におけるレーンチェンジの収束性、さらにはハイスピードコーナリング時における確かな手応えとグリップ感もかなり高い。ECOPIAと比べてしまえば、エコタイヤと入門スポーツラジアルくらいの差が感じられてしまうのだ。それでいて直進性はしっかりとキープされており、荒れた路面でもきちんと走れそうな感覚がある。
これで燃費がよいならもうECOPIAはいらないのかもしれない。そんなことを思わせるほどトータル性能が高い。それが新生Playzの仕上がりだ。